16.止まる時間

???「……あの。皆さん、元気ですか?調子は?」


夜見「……え?」


突然そこに、なんの脈絡も無く、車椅子に座った水色の髪をして、眼帯をつけた少女が現れた。


???「……あ、すいません。あの、でも……仕事、いや、もう仕事じゃなくて、あの。」


さっきまでの雰囲気とは打って変わって、皆が神妙な面持ちをする。


???「私は……逃げて、来ました。仕事に行くふりをして。」


雫「いやっ……それより、お前どうやって入ってきたんだよ?急に出てきたぞ?」


???「……それは、まだ、言えません。でも……貴方達と同じ、異能を使った、とだけ。」


夜見「……!」


私が口を開く前に、性谷先生が口を開いた。


涼「ヘイちょっと待ちな、貴方達と同じ異能イズ何?」


???「……?この場にいる方は皆さん、異能力者なのでは?」


涼「……!?」


性谷先生は驚いた顔で私達を見つめる。まあ急にこの場にいる全員なんて言われたら……


……いや、待って?

この場にいる、”全員”?


夜見「性谷先生?」


涼「はい」


夜見「貴方も、ですか?」


涼「……もしかして、”コレ”、貴方達も持ってるの?」


そう言うと性谷先生は、私と同じように何も無いところから桃色に輝く剣を出現させた。


ミコト「……おっと。これは急展開だね?」


???「あぁ、やっぱり……そうですよね……?あの、助けてください……もうすぐ、追手が来てしまいます……あ、ほら、もう……」


彼女がそう言うと、窓が割れて、三人の追手と思わしき人物が突撃してきた。


……と、思ったのも束の間。一人は気づくと何かに心臓を貫かれ、血を流して倒れた。

よく見ると、貫かれたその先に、銃弾が落ちているのが見える。


???「っ……はぁ、はぁ……一人は私が始末しましたから……後、お願いできますか……!」


息を切らしながら、彼女がそう告げた。


性谷「……よくわかんないけど……私は可愛いロリショタの味方だからね!やらせてもらうよ!」


夜見「……追手が三人で、足りるわけない。」


雫「こーんなの、一瞬だね」


……その言葉通り、呆気なく戦闘は終わった。


涼「ふー……終わった……というか……保健室が不潔になったんだけど、どうしてくれるの?」


???「あ、すいません……!」


涼「これ見られたらマズイし……どうにかできないの?」


雫「あー……それならボクがサイコキネシスで適当な所に放り投げておくよ」


涼「あ、ほんと……?助かるよ……この血は……さっさと掃除しなきゃなぁ……」


……この日は、この後皆で必死に保健室の掃除をした。

一時間くらいしたあと……


涼「ふぅー、疲れた……というか、結局貴方は誰なの?」


???「……私、ですか?私は……日和、桜日和です」


そう彼女……日和は言った。


日和「私はもう……後戻りできません、から……貴方達の仲間にならせてください」


夜見「え……いいの?」


日和「……はい、研究所を離反した以上、追手から狙われる生活からは逃げられないでしょうから……それならば、と」


夜見「……分かった、そういうことなら喜んで受け入れるよ」


日和「本当、ですか……!では、これからよろしくお願いします……!」


涼「……ごめん研究所とかなんとかって何?」


夜見「……あー……そうでした、何も説明してませんでしたね」


性谷先生に諸々の事情を説明した。

異能力研究所の事や、私達がやろうとしていること、全て。


涼「……なるほどね……そうか……うん、分かった、それ、私も協力するよ」


夜見「え、本当ですか……!?」


涼「うん、子供ばっかりで放っておけないからね。私もついていくよ。」


夜見「……ありがとうございます、心強いです」


……こうして、性谷先生と、日和が仲間になってくれた。

そろそろ実行の時だろう。

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