12.少し遅れた転校生①

……ん

朝か、なんだかジャンルが変わる夢を見た様な気がする……


ナイト「あ、夜見、起きましたか?」


夜見「??なんで貴女私の事抱き締めてるの?」


ナイト「え、先にしてきたの夜見じゃないですか」


夜見「えっ」


ナイト「え?」


もしかして……夢じゃなかった?

え、だとしたら私だいぶ恥ずかしい事してない???


ナイト「してますよ……??」


待って、しれっと頭の中を読み取らないで


ナイト「いや、勝手に流れ込むんですよ……」


夜見「と、とにかく……私のやった事、忘れて」


ナイト「いや……え、無理ですよ、あんなの……忘れたくても忘れられません」


夜見「……とにかく、学校に行かなきゃだから。離してもらえる?」


ナイト「離してないのは夜見の方なんですが?」


え、うわ、ほんとだ……なんでこんな恥ずかしい事を私はしてるの……?


ナイト「……知りませんよ」


とにかく。私はベッドから出て、朝の準備をした。


夜見「明里は今日休みなんだっけ?」


明里「うん!なんか知らないけど休みだってー」


夜見「そうなんだ……とにかく、危ない事にならない様に気をつけてね」


明里「はーい」


夜見「ん、じゃあ行ってきます。」


そんな会話をして、私は外に出た。

十数分歩いて学校に着くと、蓮夏が居た。

そして蓮夏は私を見るなりこちらに笑顔で駆け寄ってきた。


蓮夏「よ、夜見ちゃん、おはよう……!ね、ねぇ、夜見ちゃんは聞いた?」


夜見「え、何を?」


蓮夏「夜見ちゃんのクラス、転校生……来るらしいよ」


夜見「……え、そうなんだ……面倒だな」


蓮夏「とにかく、行ってみたら?」


夜見「や、言われなくても行くけど……」


蓮夏「あ、そっか……早く伝えたくって忘れてた。じゃあ私も、自分のクラスに戻るから……またね」


夜見「うん、またね」


そんな話をして……私は自分の教室に向かって歩みを進めるが……

転校生?今はまだ四月だけど、それでも下旬なんだけど。

転校するにはあまりに遅くない?

……まあ、なにか事情があるのかもだけど。

頭の中で考えを巡らせていると、あっという間に教室に着いた。

教室は既に転校生の話題で持ち切りで、美少年を望む女子、美少女を望む男子。

そんな欲に塗れた声を聞いて、私は内心呆れていた。


読書をしながら待っていると、ホームルームの時間になった。

担任の塩崎先生が入ってきて、騒いでいた他の生徒達を黙らせた。


塩崎「今日は皆に嬉しいお知らせがありまーす。……まぁ、皆もう知ってるかもしれないけど……このクラスに、転校生が来ました。ほら、入ってきて」


その声がしたすぐあとに、教室の扉が開き、更にそれと同時に、私以外の女子が黄色い声をあげた。

入ってきた転校生が、望み通りの美少年だったからだろう。

金色の髪に蒼い瞳。少し童顔で背も私より小さく見えるが、そういうのも最近は逆に女子の母性を掻き立てるのだろう。


塩崎「……んじゃ、挨拶してね」


……次の瞬間、場の空気が変わった。

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