6.学校で⑤
……数分経って、ようやく落ち着いた。
まず、あの遥という女性は比良坂先生の妻であるらしく、同じ精神科医らしい。そして、異様なまでに過保護らしい。
さっきの盗聴器の件も、それに当たるそうだ。
そして私達を襲撃した紅音と言う女は、過去に親が死んだ時、遥さんによるカウンセリングを受けていたらしく、それで二人は面識があったようだ。
そして、盗聴器で一連の流れを聞いており、紅音の襲撃が始まったと同時にすぐに自身と比良坂先生で経営している診療所を飛び出し、この中学校まで来たらしい。
そして、私ら、と言うのは。
どうやら遥さんは、私に協力してくれるつもりだそうだ。
比良坂先生に訪れる危機を全て排除すべく、その為に協力してくれる、らしい。
紅音も、遥さんに脅されて半強制的に仲間になってくれた。
夜見「……にしても、遥さん、おかしくないですか……?異常なまでに、力がある、と言いますか……」
遥「ん、そおー?私は普通だと思うけど?」
ミコト「異常ですよ、遥さん……それに分かってるでしょ、それは遥さんの異能だって事」
夜見「……あ、そういう事か、それなら納得する……」
遥「ちぇ、つまんなーい、というかミコト〜!遥さんじゃなくて遥か遥ちゃんって呼んでよ〜!」
ミコト「……一歩譲って遥はまだ良いんですけど……遥ちゃんは、流石に、遥さんでも厳しいと言うか……30代でしょう……?」
遥「えーひどーい!付き合いたての頃の可愛いウブなミコトはどこ行ったのさ!」
ミコト「ここですが……というか、結婚したって言っても、まだ私にとって遥さんは憧れの人ですから」
遥「なにさそれー!私ミコトの嫁なんだけど!ねぇ!」
さっきまでの鬼気迫る表情と覇気を出していた遥さんは、もう目の前にはいない。
今私の目の前に居るのは、駄々をこねる遥さん、それを捌く比良坂先生、首から「私がやりました」という文字が書かれた看板を掛けしょんぼりしている紅音だけだ。
夜見「とにかく……今日は解散にしませんか、もう五時前なんですけど……」
ミコト「あぁ、そうしようか、倉橋さん。これからよろしくね。もちろん、仲間として。ほら、遥さん、帰りますよ……!もうすぐ予約入ってる時間なんですから……!」
そう言った比良坂先生に、遥さんは引き摺られて行く。
遥「あーーー!!!夜見ちゃんまた今度ねーー!!!!ほら紅音も!!!!!今日は家に泊まって!!!!!!」
紅音「あ、うっす……」
ミコト「待ってそれは聞いてないんだけど……!」
遥「どっちみち狙われるなら家に泊めた方が安全でしょ、ね!ミコト!」
ミコト「はぁ……分かりました、岡本さん、着いてきてくださいね」
紅音「っす……あの、夜見……だっけ、すまねーな、また今度」
すっかり大人しいな……信じられない。
夜見「うん、また、今度……」
そうしてこの日、私達は解散した。
……爆破された相談室から目を背けながら。
そして、この時に私を見つめる影がいた事に、私は気付かなかった。
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