5.学校で④

ナイト『不味い、今すぐ大盾の騎士を召喚して部屋から出るんだ!』


黙っていたナイトが、突然語り掛けてくる。


夜見「っ!?」


ナイト『今すぐ!』


夜見「分かった!比良坂先生、部屋から出て!」


ミコト「えぇっ!?あ、うん……!」


比良坂先生が急いで部屋から出たのを確認すると、私も部屋を脱出し、大盾を持った騎士を召喚した。

次の瞬間、相談室は爆発した。


私達は、大盾の後ろに隠れていた為に、難を逃れたが……


ミコト「……えっ?」


夜見「……不味いですよ、研究所の刺客です……!」


???「カンが冴えてるなァ……厄介、だが……二人纏めてヤれるなら、効率は良い。し、より芸術的だ。」


夜見「……誰?研究所の刺客なのはもう分かってる。」


???「ど〜せ芸術作品になるんだ、冥土の土産に教えてやるかァ、オレん名は紅音……芸術家だよ。」


夜見「芸術家ぁ……?何よ貴方?と言うか、前の弓のやつは……」


そう言うと、紅音と名乗った赤い髪の女は笑って言った。


紅音「あぁ?……あぁ……はは、アイツか?アイツはなぁ、お前を取り逃したから芸術品になったぜ……?そんで、お前らもこれからオレの芸術品になる。」


ミコト「……あ」


比良坂先生が小さい声で呟いた。

顔が青ざめている。確かに、こんな状況下だし……おかしくないか


夜見「大丈夫です、私がやります……」


そう言うと比良坂先生は少し声を荒らげて言った。


ミコト「ち、違います!倉橋さん、今すぐここから逃げましょう!」


夜見「え?」


……聞き返す暇もなく、後ろから轟音が聞こえた。


???「おぉ……おぉ、私の旦那を傷物にしに来たってゴミはアンタ……?」


煙が晴れると、そこには青い長髪の女性が、紅音の首を掴み上げていた。

……というか待って、旦那?ここには女しか……


ミコト「あわ、遥さん……!」


比良坂先生??

え、比良坂先生って女じゃないんですか??


紅音「ぁ、が……!?なんだお前……?」


ミコト「まずいまずい、まずいって……」


夜見「え、え……?比良坂先生!?」


ミコト「いや、え……ごめん、もう私にはどうしようもないかも……手遅れ、かな」


夜見「え、え……???」


遥「おいアンタかって聞いてんだよ、私の旦那を傷物にしに来たゴミはァ!?」


そう言って比良坂先生に遥と呼ばれた女性は紅音の腹部に深い拳を入れる。入れ続ける。

何時しか、紅音は吐血し始めた。


紅音「ちげ、オレ、はッ……ぁッ、そこの二人を芸術品にしに来ただけだ……ッ」


遥「はぁ〜……何?爆弾で殺すのが芸術だって言うのかしら?なわけないでしょ?頭おかしいの?殺すわよ?」


紅音「な、なんで今来たのに爆弾のことっ……ッ」


遥「岡本紅音……19歳、女……目の前で親が爆発事故に巻き込まれ死亡……はぁ、アンタを診た精神科医の姿すら忘れたって言うの!?えぇ!?あの時にはもうアンタの異能は発現してた……知らない訳、無いでしょ」


紅音「は……ッ、お前、あの時のカウンセラー……っ?」


夜見「えっ、え、比良坂先生??止めなくていいんですか??」


ミコト「……いや、ああなった遥さん、ブレーキ効かなくて……」


彼女は、未だ紅音を掴み続けていた。


遥「はァ〜……呆れるな。で?いまこの状況下で尚、私の旦那を傷物にしようって?紅音。」


紅音「いや、あの……でも、ここでやらなきゃ上から始末されっし……」


遥「……はぁ、これだから問題児は……良いよ、上って言うの?来たって私がぶん殴ってやる。アンタは仮にも……私の担当した子供だからな。

責任取って、最後まで面倒見てやるのが、大人の仕事だよ」


ミコト「あれ、珍しい……遥さんが穏便に済ませようと……」


いや、穏便か????これが?穏便、か?

比良坂先生がこれを穏便って言うって、あの遥って人、普段はどんな……


紅音「……いや、でも……」


遥「うるせーうるせー、良いからやめろ。あー、それとも……私らと一緒に、研究所潰すか?」


……ん?

研究所、潰す?

……ん?


ミコト「わ、今気付いた……!昨日外したはずなのに、また盗聴器付いてる……!」


盗聴器??

なんか置いてきぼりだぞ、私?

待って、まって?

情報量が、多い──


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