4.学校で③

そう言うと、比良坂先生は驚いた様子で、顔を青くしている。


ミコト「……えっと……もしかして、倉橋さんって……研究所の人?」


……?

どういう事?


夜見「え……比良坂先生こそ、異能力研究所の手先じゃないんですか?」


ミコト「いや……違うよ?確かに研究所から手紙で協力の依頼は来てたけど、よく分からないから放置してるし……」


……どうやら、嘘は言っていない様だ。

私は剣を消して、椅子に座り直した。


夜見「……じゃあ、比良坂先生は私の敵では無いという事で良いんですか?」


ミコト「えーっと……多分、そうだよ。倉橋さんが研究所の人じゃないならね」


夜見「なるほど……いえ、すいませんでした。比良坂先生が異能力者だと知って、少し焦っていました……」


ミコト「いやいや、大丈夫だよ。というか……倉橋さんもなの?」


夜見「あ、はい……昨日、というか、今日の夜中に発現したばかりで」


ミコト「……そうなんだ、私は生まれつきこの異能を持っていたから。幼少の頃、色々あってね。

倉橋さんも私みたいに虐められていたら……そう思ってしまったよ」


夜見「なるほど……ご心配感謝します。所で、比良坂先生はどんな異能を?」


ミコト「……これは企業秘密なんだけど……簡単に言えば、相手の精神に入り込む異能、かな?相手の内面と対話したりできるんだ」


夜見「……はぁ」


ミコト「私はこれを使って、人の悩みなんかを聴いてあげているんだよ」


夜見「なるほど、そういう事ですか……比良坂先生のカウンセリングを受けると、悩みなんてすぐに無くなる、って」


ミコト「え、そんな噂があったの?なんだか恥ずかしいな……」


夜見「いえ、まぁ……とにかく、比良坂先生が敵じゃなくて良かった。それなら、一つお願いがあるんです。」


ミコト「お願い?」


夜見「きっと、奴等……研究所は私達の共通の敵です、ですから……協力、しませんか?」


ミコト「えっと……倉橋さんは研究所の人達を潰すつもり、って事?」


夜見「このまま狙われ続けてその度に追い払う生き方をするくらいなら、先に潰した方が良いし、簡単です。」


ミコト「でも……私ってそこまで運動できないし、異能も戦う為の物じゃないよ?そもそも、争う事は好きじゃなくて……」


夜見「それでも、人手は多い方が良いですから。例えば……比良坂先生なら、同じ異能力者の知り合いも居るんじゃないですか?それらの人に、協力を仰いだり。」


ミコト「……確かに、居ない事も無いよ。異能力が原因で虐められた様な子を、受け持った事もあったからね。……でも」


夜見「でも?このまま研究所を野放しにして居たら、きっと奴等は嗅ぎ付けてその人達にも襲撃しますよ。それならさっさと、潰した方が良い。そう思いませんか?」


ミコト「うぅ……わ、分かったよ、確かにそうかもしれないね……じゃあ今日、帰ったら皆に聞いてみるよ。皆が承知してくれるかは分からないけどね……」


夜見「感謝します。それと、詰めるような言い方をしてすいません。」


ミコト「いや、大丈夫だよ!それじゃ、今日はこれでお別れかな……」


その瞬間、窓から何かが入ってきた。


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