8話☆ まるで滝行してる筋肉ビルダー

施設案内が終わった後自室に戻ったけど1つだけ気になることがあった。


ジムとかあるらしいけど、どこにあるか教えてもらえなかったんだよね。使ってみたいから美月は知ってそうだし美月に聞こうかな、でも迷惑じゃないかなぁ。うぅ、中々切り出せない…


 


「何か聞きたいことでもある?」


「え?な、なぜ私の考えてることが?」


「顔を見ればわかるよ」


 


とうとう美月も優華みたいに私の考えてることが分かるようになってしまった…私のプライバシーどこ?


 


「ジムとかは校舎の近くにあるよ、確か屋内プールとかもあったはずだよ。あとプライバシーは無いよ」


「あ、ありがとう、ナチュラルに考えてること読まないでください。あとプライバシーはあって欲しいなぁって…」


 


私のプライバシーは無くなったらしいです。


というかお腹が空いてきちゃったな、EPEXやりたかったけどお腹空いたし、確か寮に食堂があったはずだから優華を誘って行こうかな


 


「食堂に行くなら私も付いていこうかな」


「…言葉って必要ないんだね」


 


優華に電話をしてご飯を一緒に食べるか確認する


 


「優華、一緒にご飯食べよ」


「わかった、けどちょっと待って。今いs」


「ハーッハッハッhゴホッゴホッ」


「先輩、高笑いして偶に咳き込むのやめません?」


「断るッ、私からこれを取ったらアイデンティティがなくなってしまうからな!」


「先輩は演劇部の部長なんでしょう?喉を痛めちゃまずいですよ」


「ハーッハッハッハ!私の喉はこれくらいで壊れる位に弱くないぞ!」


「とりあえず後で行くから友奈は先に食堂に行っといて」


 


なんか大変そうな人と優華が一緒になってしまっていた。めっちゃテンション高そうだったなぁ、あの人絶対に陰の者特効もってる性格だよ。


可哀想な優華に合掌して先に食堂に向かっていく。


 


「ここの食堂は美味しいらしいよ」


「どうやってそんな情報仕入れてるんです?」


「…世の中には知らないほうがいいこともあるんだよ」


「アッハイ」


 


 


「ひ、広いですね」


「そうだね、これだけ広かったら席が満席なんてことも無さそう。それじゃあ空いてる席に行って食べよう。」


「はい」


 


「メニュー表ってこんな厚さでした?」


「普通はこんなに厚くないよ」


うん、まあ、その、なんだめっちゃ厚いんだよねコレ


何ページあるんだってくらい厚い、多分普通に教科書位の厚さだけど読みやすいように分類分けされてて結構読みやすい


なんかネタ料理って分類があるんだけど、なにこれめっちゃ気になる


えーっと…カレービルダー、シチュービルダー、ビルダーしゃぶしゃぶ…ビルダー好きすぎだろ、逆に気になるしカレービルダー頼んでみよ。


 


「何にしたの?」


「えっと、このカレービルダーってやつです。」


「それってネタ料理にあったやつだよね、面白そう。じゃあ頼もう」


 


そう言って美月がタブレットで注文してくれる。


 


…何も話題がない、話すことがない、この空気辛い…


 


「おーい友奈!」


「あ、優華」


 


救世主だぁ!これで地獄みたいな空間から解放される。助かった…ってあれ?誰か一緒にいる


 


「ハーハッハッハ!私もどうせだから一緒に食べようと思ってね、付いてきてしまったよ」


 


電話の時に聞こえた陰キャ特効もってそうな人だぁ…金髪ショートで瞳孔が星型の高身長な美少女だった、でもどこかポンコツそうな雰囲気がしてる。絶対に褒められて調子に乗って失敗するタイプだ


 


「自己紹介をしよう、私は天から野に向けて光輝く明るい星で天野明星あまのあかりだ!みょうせいと書いてあかりと読む、演劇部の部長をやっている!ぜひあかりと呼んでくれ!よろしく!」


「先輩、よろしくお願いします」


「先輩、よ、よろしく、お願いします」


「あかりと呼んでくれてもいいんだぞ?」


「先輩を呼び捨てはさすがにできません」


「そうか…」


 


めっちゃしょぼーんってしてる。すごいこっちをチラチラ見てきてあかりって呼んでくれって意思がヒシヒシと伝わってくる。


 


「おまたせしました。こちらがカレービルダーと神栄学園の叡智を集結させた味覚破壊シリーズの1番です。」


「これは…筋肉ビルダーだな」


「筋肉ビルダーですね」


「筋肉ビルダーだよねこれ」


「え、私のご飯筋肉ビルダーなの?」


 


私が頼んだものは紛れもなくカレーだったはずだけど到着したものは皿の上にポーズで鎮座している米でできた筋肉ビルダーだった。凄く精巧に作られていてその筋肉ビルダーは実際の筋肉ビルダーのような再現度だった。


…おかしいだろ!ビルダーってそっちのビルダーだったのかよ!カレーをビルドするのかと思ったよ!


 


「それではカレーを掛けていきます。」


「凄いな、滝行してるみたいだ」


「カレーで滝行…」


 


そのビルダーの上からカレーが掛けられている姿はまるで滝行しているビルダーだった。めっちゃ食べ難いんだけどこれ、人食べてるみたいになっちゃうじゃん!


 


「てか草薙さんの神栄学園の叡智を集結させた味覚破壊シリーズの1番もやばくない?」


「辛いものが好きなんです。」


 


気になって見てみるとそれは、赤黒くマグマのように煮え滾っている麻婆豆腐で人間が食べるようなものではないと直感で伝わってくる。絶対これ辛いやつだ、味覚破壊シリーズとか言ってたし食べたら一生後悔しそう


 


「私達も頼まねばな、優華は何にする?」


「私は普通にカルボナーラでお願いします」


「私達の物が来るまでに冷めてしまいそうだから先に食b」


「おまたせしました、カルボナーラと大盛りオムライスです。」


「ハーハッハッハ!やっぱりここは来るまで速いな!」


「速いで済む次元じゃないでしょ」


「それじゃあ料理も来たし早く食べよう!」


「「「「いただきます」」」」


 


私のこれどうやって食べたらいいんだろう、やっぱり頭から順に食べるのかな?


って美月は味覚破壊シリーズを笑顔で食べてるし、怖ぁ


──────────────────────

時雨友奈

結局ビルダーを倒して足から食った


草薙美月

やっぱり辛いものは美味しいですね


姫野優華

顔面から笑顔でカレーの海に沈むビルダーの姿が頭から離れず笑い苦しんだ


天野明星

大盛りオムライスの量は普通のオムライスの3倍


神栄学園の叡智を集結させた味覚破壊シリーズ

0番から8番まであり、それぞれのテーマを極限まで追求したものとなっている。

テーマはそれぞれ

1番は辛味 2番は甘味 3番は苦味 4番は酸味 5番は渋味 6番は塩味 7番は不味さ 8番は美味さ

0番はカオス(全ての融合)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る