9話☆ ヨシッ!私にしては頑張った!
施設案内の翌日、とうとう学園生活が始まる日になった。
なってしまった、何と言っても今日は全陰キャを地獄に叩き落したイベント、『自己紹介』がある。
終わりだぁぁぁ!どうやって自己紹介しよう、自分の自己紹介の時だけ変な空気になって場が白けるという最悪の結末を辿るかもしれないぃぃ
「安心して、そんなことにはならないよ」
「思考を読まないで!」
そもそも自己紹介以前にクラスのメンバーと自分が馴染めるかどうかすら怪しい、というかそもそも知らない人に話しかける時点で無理なんだよ!
「クラスの人と馴染めなくても私がいるよ」
「え?一緒なの?」
「クラス表ちゃんと見た?」
「見てないです…」
クラス表なんて物もあったなぁ、完全に忘れちゃってた。
確かここら辺にあったはずだから確認しよ
「優華とは別になっちゃった…」
「私が一緒だから安心して」
優華とは別になっちゃったのは悲しいけど美月が一緒なら心強い!私の学園生活は1年間は安泰だ!やった!やった!
「もうそろそろ時間だから行こう」
「はい」
「急に落ち着くね」
〜教室〜
「私達は1年A組だからここだね」
うぅ、緊張する。扉を開けた瞬間に段ダムが突っ込んできたらどうしよう
やばいやつがいたら心配だし美月の背中にピッタリくっついて隠密状態になろう。
説明しよう!
隠密状態とは陰キャ特有の陰の薄さを発揮して「え、居たんだ」って言われるあの状態である
美月が扉に手を掛けゆっくりと開ける。
そして視界が開けて教室の様子が見えてくる。
ワイワイガヤガヤと賑やかにしている教室の生徒達は大して変な服装じゃなくみんな制服を着ていた。
一部の生徒は髪型の主張が強いけどそこまで酷いのは居なくてちょっと安心した。
「出席番号順みたいだからちょっと離れちゃうね」
「え」(絶望)
そうだった…美月は草薙くさなぎで私は時雨しぐれで席が離れちゃう
飽くまでも休み時間をやり過ごせるだけで授業中の班での交流や隣の人と話し合ってください。はやり過ごせないんだ!どうしよう、隣の人と話し合ってください。って言われた時に相手の人が他の仲いい人と話して話しかけれずに交流の時間が終わっちゃう…
そうやってうだうだしていると教師が入ってきてしまった。
「はい、皆さん席についてください!」
教師はまさかのロリだった、明らかに教卓に身長足りてないしどうするんだろ…あ、踏み台置いてそこに乗ってる。
「え、ちっさ」
誰かの呟きが静かな教室に響く。それと同時に先生の顔から笑顔が消えた
「今私のこと小さいって言った人、二度と言わないでください!私だって気にしてるんです!車運転すると絶対に職務質問されるし!コンプレックスなんです!こんなでもちゃんと成人してます!うるさいです!」
めっちゃ怒ってるけど全然怖くない、やっぱり小さいからかな
「はぁ、はぁ、こんなことしてたら時間が足りなくなっちゃいます。自己紹介をします、私の名前は
「めぐちゃん、なんか趣味はないのー?」
「めぐちゃん!?まあいいです。趣味は料理ですね、最近はお菓子を作るのにハマってます。」
「えー!いいじゃんお菓子作り、今度私にも食べさせて!」
「機会があったらいいですよ」
「やったー!」
なんか金髪のギャルが話を進めてくれてる。正直言ってこういうタイプは聞いてるだけだと面白いし最高なんだよね。ただし話し掛けられた時は考えないこととする。
「さて、そろそろ雑談はやめて大事な物を配りますね」
一旦話が落ち着いた所で先生が何かを配り始めた。
「めぐちゃん、これってスマホ?」
「まあ、そんな感じです。このスマホみたいなのは学園生活に於いてとても大事な物です。これはニャルフォンって言って、これでイベントの告知やジムなどの使用申請、課題の提出をします。そして、1番大切な機能がNPの管理です。」
「NPってなに?」
「それに関しては学園長からデータを預かってるので再生しますね」
先生が手に持っていたタブレットを教卓の上に置くとニャル先生のホログラムが出てくる
「はーい☆みんなに這い寄る混沌、ニャル先生だぞ☆今回はNPについて知りたいっていうからしょうがなく、ほんとーにしょうがなく説明してやるぞ、有り難く聞き給え。
NPはニャルポイントって言ってここ、神栄学園で使われるお金の代わりみたいな物で、1NP=1円だぞ、円をNPに替えることはできるけどNPを円には替えられないから注意してね。
ここで気になってくるのはどうやってNPを稼ぐの?って話だよね、NPは学園祭や運動祭などで貰えるし、学園内でバイトすればいいから安心してね☆けどぉ問題行動を起こすとNPを減らされちゃうぞ☆以上、ニャル先生のありがたーいお話でした」
めっちゃウザかった、正直言ってまた殴りたくなった。周り見ても青筋を立ててたり拳を握ってたり銃構えたりしてるしやっぱり相当ウザいんだろうなぁ
「ということでした。一体どこで使えばいいかって話なんですけど、食堂や学園内の商業エリアなどで使えます。」
「めぐちゃん、商業エリアってなに?」
「まず、この学園の土地の分け方から説明しますね。
この学園は学業エリア、商業エリア、生産エリアの3つに分けられます。
学業エリアはここで、学校やジムなどの自分を鍛える施設があります。次に商業エリアです、商業エリアは巨大なショッピングモールがあり、そこで大体の物は手に入ります。それこそアニメのグッズからゲームや服は当然、家具も売っています。最後に生産エリアですね、生産エリアは畑や畜産、漁業、発電などが行われてます。」
「へぇー、ありがとね、めぐちゃん」
「もうこんな時間ですか、じゃあ自己紹介を始めましょう」
あっ(絶命)
忘れてたぁぁ!ニャル先生のウザさで何にも考えてなかった!どうしようどうしよう
「それじゃあ出席番号順でお願いします。最初に
「私の名前は相伊藍です。趣味は読書です。よろしくお願いします。」
良かった、フォーマットは普通だ。もしかしたらやばいフォーマットになっちゃうかもだからセーフ
「クハハハ!我が名は✝
あぁ、終わった。フォーマットが崩れ去った。しかもなんだこいつ厨二病じゃねぇか中学で治してから高校こいよ。なんだよ暗黒騎士ダークネスナイトって同じ意味繰り返すなよ
「俺は
ナイス熱盛!よくフォーマット戻してくれた!というかなんで暗黒騎士が先で熱盛が後なんだよ、「ん」と「つ」だろ!まあいいや神栄学園だし。というか熱盛なら趣味は野球であれよ
そんな感じで一々自己紹介にツッコミをしていると気付けば自分の番になってしまった。
いやいやいや、どうしよう、趣味は普通にゲームでいいか?
えぇい!ままよ!
「…時雨友奈、趣味はゲーム」
端的に目的を伝えて周囲の反応を見回す、美月が微笑んでた
ヨシッ!私にしては頑張った!吃らなかったし頑張った!偉い!
適当に後の人の自己紹介を聞き流して終わるのを待つ
「自己紹介が終わりましたね、そしたら一旦休憩時間なので休憩していてください。終わったら教科書のデータを配布します」
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時雨友奈
やり切った!
草薙美月
殺気出しちゃってるなぁ
姫野優華
私がメインヒロインのはずなのに…
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