第23話 現代ダンジョンに来た
俺は日本の東京に存在する1の塔と呼ばれるダンジョンにきていた。
同行者はエルーシャとルゼルだ。
イキシーはゲームしてて来なかった。
ダンジョンに入ってからルゼルに振り返った。
「動画撮影、お願いできる?」
「は、はい!おまかせを!」
そう言ってくれた彼女に撮影を任せて俺はダンジョンを進んでいく。
ちなみに顔バレ防止のためにガスマスクを付けてる。イキシーにもらったものだ。
ルゼル達も同じだ。
姿を隠してる理由はもちろんフェイトブレイクを持ってるからだ。
こんなもの現実世界にあることがおかしい。
もしかしたらフェイク、とかレプリカって誤魔化せるかもしれないけど。念の為、ね。
ぴらっ。
エルーシャが紙に目を落とす。
「まず、第一層のボスがデスウルフだそうだ」
彼女が持っている紙はイキシーが印刷してくれたものだ。
もちろん、スマホにデータとかで保存しとけば持ち運びも便利なんだろうけどエルーシャにやらせるには不安だったから印刷してもらった。
「なるほどな」
答えて一層のボスエリアへ続く扉を開いた。
すると中にはデスウルフと呼ばれる2メートルくらいのウルフがいた。
「うおーっ。つよそーだなー」
デスウルフの目には縦に傷が入っていた。
歴戦のモンスターって感じの見た目だが……さぁ。その実力はどんなものなのか。
俺はフェイトブレイクの剣先を向けた。
「きゃーーー!!かっこいいですぅぅ!!!」
ルゼルにそう言われて恥ずかしくなってきた。
ので剣を下ろしてルゼルに目を向けた。
「そういうのさ、あんまり言うのやめてくれる?さすがに、恥ずかしいからさ?」
俺がそう言った時
【ハイスピード】
俺の視界の端に浮かび上がるスキル名。
どうやらウルフがスキルを使ったようだけど。
(おそっ)
俺はウルフの発動スキルを見てから振り返った。
スローモーションみたいになって近付いてきてるウルフ。
そんなに遅ければ、こんなこともできるよな。
俺はウルフの左側に歩いていって。
「フェイトブレイク」
剣を下から上に軽く振り上げた。
するとウルフの首が吹き飛んでいく。
それを見て思う。
「弱いねこのウルフ。中ボスだったのかな?」
エルーシャに目を向けると彼女は紙を見て答える。
「いや、大ボスって書いてる」
え?ほんとに?
うん。
正直さ。
日本のダンジョンなんてゲーム世界と比べたら大したことないって思ってきたけどさ。
(今ので大ボスだったの?!)
俺がこの前魔王城で相手にした雑魚モンスターたちの方がよっぽど強かったんだが……。
ほとんどイキシーやエルーシャが倒してたとは言え、俺だって撃ち漏らしの処理とかはしてたけど、そんな雑魚でも今のウルフよりは強かったんだが……。
「ちなみに次のボスは?」
「キングトロール、その次の階層にいるのが塔の最終ボスである【ウィンドドラゴン】という敵みたいだ」
おっ?
ドラゴンいるのか、このダンジョン。
これは期待出来そうだな。
俺のフェイトブレイクにももう少し見せ場をやりたいからな!
もっといい勝負をしてそれで勝利、とかいいんじゃないだろうか。
そう思いながら俺は次の階層へと向かった。
まず、キングトロール。
3秒で死んだ。
「えぇ……」
さすがに困惑する。
俺が入って近付いて剣を振ったらキングトロールは死んだ。
「今のボスのランク分かる?」
「Bランクモンスターって書いてる。その次のウィンドドラゴンはSランクモンスターって書いてあるぞ」
そう言って紙を折り畳んでポケットに収納するエルーシャ。
(Sランクか、流石に強いんだろうなぁ)
そう思いながら俺は階層を進んだ。
最終ボスに続く扉を開けて俺は空を飛んでるドラゴンに目をやった。
「ギャオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
ここまで振動してくるほどの咆哮。
ビリビリくるな。
(楽しませてくれそうだな)
【神速】
神速という技は直線距離であるのなら空中にも飛び出せる。
次の瞬間、俺はドラゴンの翼に捕まっていた。
そして
「くらえ!」
剣を翼に突き刺すと。
「ギャオオオオオオオオオオオ!!!!!」
怒り狂ったドラゴンが俺に向かって風を飛ばしてきたので、剣を抜いて地面に降りた。
着地してから上を見上げると今の一撃でダメージをかなり受けたのか、ユラユラと落ちてくるドラゴン。
それに向かって俺は走り出して。
首に向かって剣を振ると。
ドラゴンの首が飛んでった。
「え?」
なんで?
もっとこう。ガキン!とかって剣が通らないものだと思ってたんだけど、あっさりと剣が通った。
それでドラゴンが死んだ。
「弱い……」
思わず呟いたところにルゼルが駆け寄ってきたので伝える。
「ここで録画は止めていいよ」
「は、はい!」
保険のためにエルーシャを連れてきたんだけど、なんの意味もなかったな。
モンスターが弱すぎてさ。
「日本のダンジョンのモンスターってこんなに弱かったっけ?俺くるダンジョン間違えた?」
そう思いながらルゼルからスマホを返してもらって位置情報を確認してみたけど、やっぱ1の塔はここで合ってるんだよな。
(テレビとかダンジョン系の配信者の間では高難易度ってことで知られてたはずなんどけど)
俺は光になって消えていくドラゴンに目をやった。
(弱いんだけど……もっと遊ばせて欲しいよなぁ)
「はぁ、どっかに楽しませてくれるモンスターいないのかなぁ」
俺はそう呟いた。
◇
1の塔で落ちたドロップアイテムとか報酬は全部適当な店で換金してきた。
それから家に帰ってきてから動画を見返した。
俺がフェイトブレイクを振ってるだけの動画。
なんの面白みもない動画だった。
でも
「動画撮っちゃったしなぁ」
一応ヨーチューブにアップロードしておくことにした。
あまりにも映えがなさすぎて誰も見る人はいない気がするけど。
仕方ないよね。
そう思いながら俺はイキシーの部屋を覗いてみた。
(まだゲームしてんのか)
ずいぶんフェイファンにハマったらしい。
今どのシリーズをやってるのか、とかフェイファンの話もしたいし近付いて話しかける。
「今どれやってるの?」
「ツー」
2と言えばあれか。
フェイファンは基本的に世界観が被ることってあんまりないんだよな。
初代がオーソドックスな異世界ものだとするなら、2は学園モノだったはずだ。
実はと言うと2の世界には入ってみたいなぁとか思ってたりしてた。
ちょうど2の世界に欲しいものがあるんだよね。
俺はイキシーが遊んでるゲーム画面に指をやった。
今はちょうどゲームが始まったくらいだった。
その画面に説明セリフが流れてた。
『今年の魔道学校対抗戦を優勝したチームには大賢者の杖を進呈する!』
そういう説明がされていた。
フェイファンには7種の神器というものがあるのだ。
基本的にシリーズにひとつずつ存在しており2は今のがそうなのだ。
(この武器が欲しい!)
ちなみに1の神器は当然フェイトブレイクだ。
神機は全部集まると凄いことが起きるとか、起きないとかそういう話だったような気がする。
ちなみになかなか集まるのはキツい。
やっぱり4がネックになるからだ。
「4の神器が分かってないもんなぁ。しかも分かったところで(世界観が)きついからなぁ」
うーん。
って考えてるとイキシーが声をかけてきた。
「4の神機はこれじゃないのか?」
そうして見せてきたモニターにはWIKIのページが映ってた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます