第8話 原作通りイベントが発生した
街の中を歩きながらスマホを取り出しながらルゼルに話しかける。
「ごめん。ちょっとスマホ触るね。必要な事だからさ」
「い、いえ気にしないでください」
スマホに保存した攻略wikiの情報を見る。
いろいろ隠しイベントとかあるんだけど、俺は自分に必要なイベントだけやっていこうと決めてる。
まず、手始めに
(やっぱり【神速】はマストだよなぁ。これをスルーはありえない)
初代フェイファンで飛び抜けてぶっ壊れと評価されてそのあとのナンバリングでいっさい出てくることのなかった技。
公式すらも強すぎて黒歴史として葬ろうとした救済技。
それが【神速】
やはりこの技の習得はマストだと俺は思ってる。
で、これの習得方法なら俺は自分の頭で記憶してるし、もうスマホを見る必要は無い。
それより謝っとくか。
「ごめんね?俺の用事ばっか付き合わせて」
そう謝りつつ次の目的地に向かう、けど。
その前に聞いておこう。
「そういえばさ。流れで連れ回しちゃってるけど、イヤじゃない?」
「い、イヤだなんてそんなこと、あ、あああ、ありませんよ?!」
そうは言ってるけど、言わせてるんじゃないかな?とか不安になったりもする。
俺は自分に自信がないからさ。
でも、自分の気持ちだけははっきりと伝えておこうとも思う。
チラッ。
すぐに俺から目を逸らしてしまうルゼルの両肩を掴んで口にした。
「俺はさ君を守れるくらい強くなりたいんだよ」
カァァァァアァァァァ。
ルゼルの顔が沸騰したように赤くなった。
「そ、そんな……私に守るほどの価値なんて」
「俺はさ。君のことが好きなんだ……ルゼル」
「え?」
俺の目を見てくる。
そこで気付いた。
あ、俺今告白したわ、って。
(……もっとさぁ、あるだろうが……)
右手で顔を抑えてもだえる。
うわー、恥ずかしー。
もっとさぁ。シチュエーションとか考えらんねぇのかよ……俺は。
そう思いながら指の間からルゼルを見てみると。
「好きだなんて……うれしーです」
ルゼルが抱きついてきて俺の首くらいに顔をグリグリ押し付けてくる。
(うわ……すっげぇ。ルゼルのにおいする……てかクシャミ出そう……)
ルゼルが顔を左右に振って押し付けてくる度に髪が揺れるからそれが鼻をくすぐる。
(ふぁっ……ふぁっ……)
やべ、くしゃみ出そう。
カッコ悪すぎるからルゼルを引き剥がす。
やっとクシャミ衝動が止まったけど。
「ほ、本当に好きでいてくれるんですか?私の事」
「もちろんさ。でも俺はまだ君を守れるくらい弱くないからさ」
そう言って俺はルゼルを連れて歩き出す。
この街には凄腕の忍者がいる。
本当はゲームクリア後に存在を明かされるんだけど、実はクリア前からその忍者は存在してる。
特定の条件を踏めば会えるようになってるので、その条件を満たしに行く。
この街の大きめのゴミ捨て場に向かっていった。
ちなみに原作もこのゴミ捨て場からストーリーがスタートする。
俺は今原作再現をしている、というワケ。
ガサゴソ。
「わっ!ムカデ!」
ゴミ漁りしてるとムカデが出てきてビックリした。
ちなみにこのイベントは原作にもあった。
んで、そうしながら俺はゴミ漁りをして。
いくつかの武器をゴミ山の中から回収してゴミ山から降りた。
名前:日本刀
レア度:D
名前:青龍刀
レア度:D
名前:木刀
レア度:E
ここはゴミ捨て場、捨てられてるものはゴミだからこういうのが中心なのは仕方ない。
普通の人なら武器を買えばいいじゃん?って思うかもしれないけどこれから起きる負けイベントを起こすと武器を強制ロストするからお金がもったいない。
「くすっ」
俺を見て笑うルゼル。
「どうしたの?」
「いえっ。なんか楽しいなって思いまして。こうやって誰かと共同作業するのは初めですから。そのずっとひとりだったので」
ゴミ漁りが楽しいなんて、珍しい子だよな。
そう思いながら俺は日本刀を武器にすることにした。
なんか変なにおいがするけど仕方ない。
(ゲームと違ってこうやって臭ってくるのはやだよなぁ)
ちなみにルゼルはと言うと、本職が魔法使いらしいので杖を選んでた。
最後にこのゴミ捨て場で負けイベントを起こす条件にもなってるアイテムを0にする、というのもやる事にした
「なんかアイテム持ってたら捨ててくれる?」
「アイテムは何も持ってませんよ」
「そっか、ならいいんだ」
これで準備ができた。
次の目的地へ行こう。
この負けイベはイベントを終えると忍者のアヤメという女の隠れ家に運ばれてそこで寝かされることになってる。
なら副作用が出る前にイベントを終わらせて、副作用中はアヤメの家で大人しくしてようと思う。
時間の有効活用だ。
・
・
・
ゴブリンの森。そこが目的地だ。
歩いて俺たちはゴブリンの森へ戻ってきた。
入口からその広いゴブリンの森を見る。
「また、ここですか?」
「うん。ごめんね、行ったり来たりして」
「い、いえ」
襲いかかってくるゴブリンを倒しながら次の条件を満たすのを待つ。
その条件というのはまず夜になることだった。
夜を迎えた。辺りが暗くなった。
「グルルル……」
あちこちから今度はウルフの声。
「構えて」
「はい!」
ダッ!
茂みの中から出てきたウルフ。
狙いは俺じゃなくルゼルなようで俺の横を通っていこうとしたので
「俺の横を抜けれると思うのかよ」
すり抜けようとしたウルフの横っ腹を蹴り飛ばす。
その体が木にあたってそのまま滑り落ちる。
「フブキさん!次が来てます!」
ルゼルの声で次のウルフが来ているのに気付いて今度は
「スラッシュ!」
俺は日本刀を横に振り抜いてウルフを倒そうとしたが。
(これだからゴミ捨て場のもんは!)
切れ味が悪いせいで途中で日本刀が止まったけど。
「っこの!」
気合いで刀を振り抜いた。
そのとき、ダッ!
また新しいウルフが、迫り来ようとしてたけど
「パラライズ!」
後ろから声。
ルゼルが魔法を撃ってアシストしてくれたようだ。
「ガルゥ!」
パラライズ……麻痺魔法だけどウルフの動きが止まっていない。
だが、効果がないわけではなく、明らかに動きが遅くなっている。
しかし
(それで十分だ!)
俺は痺れて動きの遅くなったウルフを斬って倒した。
(ふぅ……そろそろのはずだが)
そう思いながらスマホのカメラアプリを起動。
服の胸ポケットに入れて、レンズだけがムービー撮影モードにして撮影を開始。
カメラが異世界でも問題なく使えることはルゼルの写真の件で分かってる。
(原作は一人称視点じゃない。そんなゲーム世界でこんな一人称視点の動画、めっちゃ珍しいと思うし、俺も見返してみたい)
そう思って撮影を開始したのだ。
そのとき。
「ふ、フブキさん!もっと大きいのが!」
ズン!
ズン!
(来やがったか)
大きな足音を鳴らして草木をかき分けて出てくるモンスターが一匹。
それは
【ビッグウルフ】
原作では特殊個体となっており、絶対に勝てない。
負けイベントのボスだった。
ウルフが目に入った瞬間だった。
ヤツのステータスが目の前に開く。
名前:ビッグウルフ
レベル:168
攻撃力:100
防御力:80
素早さ:100
体力:350
状態:ダメージカット状態
(俺のステータス、いくらなんだろう?)
そう思うと表示された。
名前:フブキ
レベル:125
攻撃力:90
防御力:88
素早さ:90
体力:280
状態:普通
(やるだけやってみよう、こんな機会二度とこないかもしれない。負けイベントに自分で挑めるなんてこと、ね)
あと、ステータスが見れるってことはちゃんと【ライブラリ】というスキルは習得できてるようだな。
原作ではレベルアップで自動的に習得するスキルだった。
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