第4話

僕の周りには個性豊かな友人がたくさんいる。


特にこの2人は別格だ。


ソラは天才画家、イラストレイターでミズキはトップアイドルだ。


今になって彼女たちが騒ぎ出したのだ。その理由はというと。


「エイキ!今日はいいわよね!」


エイキはミズキの威勢の良さにたじろいでいた。


「おう。いいぜ。」


最近ずっとエイキと一緒にAIについて話していたのであまり放課後一緒にいる機会は無かった。


「アルト。今日、買い物一緒に。」


どうやら買い物に行きたいらしい。問題なのは、一緒に行くことは構わないのだが。


「頑張れ。モテ男さん。」


エイキはこの場からそそくさとどこかへ向かった。

危機を感じてここから逃げたらしい。


「と言うことで行くわよ!」


僕は、彼女たちに強引に連れ去られた。

それで、今に至るのだが。


「皆さん!こんにちは!ミズキです!」


どうやら、このショッピングモールでイベントがあったようだ。

それをなぜ見せられているんだ?


「ミズキが、最近、悩んでいるみたいなの。」


ソラにバックヤードでいきなりのカミングアウトだった。


「最近あまり楽しくないらしくて、だから今日みたいにこう言う感じで観客と関わる仕事しているみたい。」


どうやら、相当応えているみたいだ。確かに、テレビや映画の出演が多くなっているみたいで、それがあまり好きではないみたいだ。


「それで、それをアルトくんに相談したかったみたいで。」


それをなぜ、僕に相談するんだ。

それこそ、ソラに相談でも。いや、彼女の場合。


「ソラ。聞いて。」


「何?」


「最近。悩んでいて。」


「なら、辞めちゃえば。」


「いや、そうじゃなくて。」


「なら、続けたら。」


多分、こうなって解決はしないだろう。彼女はどちらかと言うと両極端な回答をする人間だ。


なら、ナツハさんに。いや待て、彼女は。


「ナツ姉。聞いて。」


「なぁに?」


「最近、アイドル活動で悩んでいて。」


「もしかして、キスしろととか言われた?」


「いや、違くて。」


「それとも、枕営業でもしろと。」


「いや、ちょっと聞いて。」


その言葉は彼女には届かない。


「分かったわ。お姉ちゃんに任せなさい!」


彼女の場合、多分その人脈で有る事無い事作り出すことができるであろう。

つまり違う問題が発生すると。


それで、僕ってわけか。


「それで、ミズキ。少し、ソラから聞いたんだが。」


僕たちは、ミズキのイベントが終わり移動して、喫茶店に入店した。


「そうなのよ。聞いて、アルトくん。」


これからこの話は長くなるようだ。エイキみたいに逃げれば良かった。


「と言うことなのよ。どうしたらいいのかな。」


想像通り長い話だった。聞いていた通りやはりテレビや映画の出演があまり好きではないようだ。


「正直、僕には適切な意見は言えないけど、こうやって愚痴を聞くことは出来るよ。」


「そうだよね。」


僕は、隣に座るソラをふと見た。


「ソラ。それは何?」


「これ?」


彼女は、タブレットに絵を描いていた。


「この前、アルトくんがAIの絵が欲しいって言っていたから、今思いついて描いていたの。」


「なるほど。」


僕は、一つ思いついた。


「ミズキ。いいこと思いついた。」


「聞かせて!」


「お話するのは好き?」


「好きだけど。」


「なら、クリアだ!」


僕は、徐に携帯を取り出してあるところに電話をした。


「そうだ!ソラ、買い物はいいの?」


「今は、こっち。」


タブレットに集中している。うん。これこそソラだ。


方針が決まった。あとは実行するまでだ。

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