EPISODE Ⅵ ALL YOU NEED IS BEYOND
Ⅰ
Monday ───────
「ヤマネコの荷物が今日届くから、もし私が居ない間に来たらよろしくね」
「何時ぐらいですか?」
「ん〜たぶん、午後だったと思う」
そう言って、ユーコが片田 (へんでん)に手を振って幽合会事務所を出て行った。
荷物の受け取りを頼まれた片田は、また訳の分からない武器とか、私にユーコが好きなアニメとか漫画の真似事をさせて付き合わされるための装備ではないかとあれこれ考えたが、考えるほど恐ろしいので邪念を振り払い、ノートPCのディスプレイに視線を戻して作業に復帰した。
───────2時間後───────
「どーも、あ、あれ、ユーコさんいらっしゃいます?」
公安四課の魚家 (うおいえ)がこれまでに見たことがない程、暗い表情で幽合会事務所に入って来た。
「ユーコさんは外出中です」
片田がちらりと視線を魚家の表情に向けると嫌な予感がした。
またやっかいごとだなと思考したが、ノートPCのディスプレイに視線を戻してカタカタと作業を継続している。
「待たせてもらいます、灰皿いい?」
「はい、どうぞ」
魚家は事務所の中を移動して、応接室のソファー横にある、棚の下段にある灰皿を取り出した。
ソファーにゆっくり腰を落として、きつい表情で煙草に火を点けて煙を吐き出した。
「しんどそうですね、どうされたんですか?」
「はい、色々ありまして、ユーコさんいつ頃戻ります?」
「さあ、連絡しましょ…」
片田がそう言いかけた時に、ガチャッと事務所のドアが開いてユーコが帰って来た。
「
煙草を吸う魚家に嫌味を述べて、疲れた〜とソファーにどかっと腰を下ろして、暗い表情で煙を吐いている魚家にユーコか視線を合わせた。
「メール見ていただけましたか?ユーコさん」
「勿論、この件、条件があるわ、その条件が通らないなら、この件に私達は関わりません」
吸いかけの煙草を灰皿に捻じ込んで、魚家の視線がユーコの顔に向いた。
「条件とは?さっき送られたメールの?」
「そうよ、拘束された銃対隊員3名の救出が最優先で品内の逮捕又は抵抗すれば射殺、しかも今週中に、メサイアセンター内にいる品内を排除するならかなりの戦力がいるわ、クリーナーが四、五人で行っても大量の信徒達に捕まるか、
冷静な分析を披露するユーコを見て、魚家が口を開いた。
「おっしゃる通り、銃対隊員、約四十名が突入してほぼ全滅、三名の人質を来週月曜日に解放すると言ってきているが信用できない、殺害されるのが濃厚、だから私も幾つか手は打ちましたよ」
暗い表情のまま視線をユーコから外し、新しい煙草に火を点けて魚家が口を開こうとした時、
「ヤマネコでーす」
ヤマネコ印の宅急便が事務所にやって来た。
片田がノートPCから離れて事務所入り口に行き、伝票にサインして荷物を受け取った。
「ユーコさん、返信メールの銃火器は分かるんですけど、特殊車両ニ台て何なんですか、一体?」
「そのままよ、さっき知り合いの所で手配して来たわ、生身で突入したくないから」
「ええ!まだ了解してないんですけど?」
「いやーメール見てからずっと考えてたのよねー、これしかやるしかないの」
ユーコは頷き、碧い双眸の先で、煙草を燻らせる魚家の暗い表情を見ながら言った。
全く話が噛み合わないし通じない、魚家は頭を掻いて煙を吐き出した。
「作戦はあるの?」
「はい、今週、木曜日の深夜から金曜日の未明にかけて、
「銃対に後ろから誤射されないでしょうね?」
ユーコの刺す様な鋭い視線が魚家を捉えた。
「極秘作戦なんで、銃対より先に人質の確保と品内の逮捕、または撃破を遂行していただきたいんです」
重たい煙を吐きながら、魚家がユーコと視線を合わせて言った。
「なるほどね、ドサクサ作戦か」
ふんふんと頷いたユーコが、ノートPCで作業中の片田に見積もり額を計算して印刷してくれと頼み、プリントアウトされた書類を魚家に渡した。
「分かりました、じゃあ頼みますユーコさん、片田さんも」
すっと立ち上がり、二人の顔を見てから魚家が頭を垂れた。
「やけに今日は素直ね、いつもなら高い高いって文句言うのにどうしたの魚家さん?」
やけに謙虚な魚家を訝しみながらユーコが言った。
「メサイアセンター前で同僚を失いまして、公私混同してはいけないんですが、この件は金じゃないんで」
ユーコから受け取った見積もり書類を、上着のポケットにしまって、魚家が煙草を灰皿に捻じ込んで作った苦笑いが痛かった。
「ベストは尽くすわ、決戦は金曜日ね」
ニヤリと笑みを浮かべたユーコが右拳を魚家に向かって突き出して、くるっと拳を縦にしてから親指を立てた。
Ⅱ
Wednesday──────
「この特殊部隊みたいな兵装、今日しないといけないんですか?」
「格好いいでしょ、このロゴが最高なの」
丸に幽合会の幽の漢字が描かれた首元のロゴを指差して、
ユーコがニカっと微笑んだ。
そうですかと、片田は小さく溜息をこぼした。
「
「あれ、弾が精神エネルギーって言われましたけど無茶苦茶疲れるんですよ、三日間ぐらい体調最悪でしたから」
チッと片田に聞こえるぐらいの舌打ちをユーコがかました。
片田はそんなユーコを真顔で無視して、目的地の
「こんにちわ、その節はありがとうございました、藤部さん」
笑顔で片田が藤部に挨拶した。
「ああ、片田さん直した左腕の調子はどうだい?」
「はい、違和感はないです」
「最高銃のままでも良かったんだがね」
藤部の少し寂しそうな問いに片田は、ユーコが勝手に頼んだじゃなくて藤部さんも私の左腕で遊んでただけだと内心思ったが、作り笑いで藤部に黙礼した。
「藤部さん頼んでた物は?」
「勿論、ユーコさんは分かってますな」
ニヤリと左側の口角を上げたユーコに、ニヤニヤした藤部の表情を見て片田に悪寒が走った。
こちらへと、三人で藤部商会の隣にあるガレージシャッターの方へ移動して、藤部がシャッターをガラガラと開けた。
「
ユーコと片田に藤部がドヤ顔で紹介した。
腕が二本と脚が四本ある、ハエトリグモを模した灰色の世界的に有名な
二両そこにあった。
「え、これ、タチ..」
と言いかけた片田の口をユーコがグッと手の掌で塞いだ。
「コマコマくんよ」
鋭い碧眼がそれ以上は言うなと、凄まじい圧力を片田にかけた。
「熱光学迷彩は使える?」
「勿論、性能はメールでユーコさんに送った通り、ほぼ完全です」
「最高ね、ありがとうございます藤部さん」
ユーコと藤部は、不敵な笑みを浮かべてガッチリ握手を交わした。
ユーコは藤部と共に公安宛ての請求書とその他諸々の書類を作成し、片田とユーコはコマコマくんの腹部のコックピットに乗り込んだ。
「電源を入れたらAIが起動して自動操縦モードになるから、まあ、細かい事はマニュアルを読んで下さい」
藤部がコマコマの前に立ってコックピットのユーコ達に説明する。
ユーコと片田がコックピットのスイッチを入れた。
ウィィィィンという静かな起動音が聴こえる、
「まいど!コマコマくんやで〜」
独特な関西弁でAIがアナウンスした。
「標準語モードに切り替えます」
そう呟いた片田は、コックピット内にあるマニュアルを速読し、迅速にワイドスクリーンのタッチパネルを押して言語モード標準を選んだ。
「私は多脚型思考戦車のコマコマです、片田さん」
「まいど、まいど〜コマコマくんやで〜コマコマって呼んでな〜ユーコはん」
ユーコと片田お互いのワイドスクリーンにワイプでお互いのバストアップが映し出される、オンライン通信が可能だ。
「コマコマ、武器屋に向かうわよ」
「了解やで、ほな、行きまっせ〜」
「ユーコさんは関西弁モードのままなんですか?」
「そうね、別に私は気にならないから」
「せやせや、ええやーん」
ユーコ達は藤部にそれじゃあと挨拶して、藤部商会を後にして、コマコマに乗車したまま武器屋へ向かった。
Ⅲ
唖々噛對にある、武器屋という読んで字の如しな、
何でも手に入る店へと向かうユーコと片田。
熱光学迷彩で周囲からは透明なコマコマの腹部にあるコックピット内、ユーコがワイプ越しに片田に問いかける。
「そんなに気になる?この関西弁?」
「はい、なんかこの関西弁、ミスター味っ子のカレーの天才、堺一馬君が喋る関西弁みたいで..」
「そう、私は好きだけど」
ふんふーんと、鼻歌混じりでユーコがワイプの片田に視線を落とした。
「着いたで〜ユーコはん」
ユーコが乗るコマコマが武器屋の前で停車した。
ユーコと片田がコマコマの熱光学迷彩をといて街の風景に突如出現し、コックピットから降りて来た。
雑居ビルの地上一階に長方形のデカい看板に漢字で武器屋と書かれた錆びれた店がある。
「コマコマ達を頼むわ」
「了解」
通行人から、奇異の目で見られるコマコマと特殊部隊兵装の片田を残して、ユーコが武器屋に入って行った。
店内は、無数の武器で埋めつくされていて銃や刃物、鉄球に鎖が付いたモーニングスターやあらゆる骨董品から最新のアサルトライフルまで揃っている。
店の奥にあるレジカウンター内側の椅子に、男が一人座っていた。
周りを気にする様子もなくスマホのディスプレイを黙々と凝視している。
読めそうにないおそらく英字で描かれたデスメタルバンドのロゴが刺繍されたキャップを被った、長髪の小柄な男の方へ店内の商品には目もくれずユーコは迷わず進んで行った。
そしてユーコが突然、語気を荒めてキャップを被る男に向かって口を開いた。
「お前は電流爆破を観たいか?」
キャップを被る男が立ち上がり、ユーコと視線を交わして睨み合いながら返答する。
「私は、
「そうかぁ」
と、吐き捨てたユーコがキャップの男を思いきり右手で張り倒してさらに捲し立てる。
「お前の言葉はよーくぞ受け取った、それは、本心じゃな?」
張り倒された男がすっと立ち上がり、ユーコの碧眼を見つめながら叫んだ。
「本心です」
合言葉だったようだ。
男は、スマホをズボンのポケットに入れ、店内に他の客が居ないのを確認してからレジカウンターの机裏側にあるボタンを押した。
店の窓、入り口にシャッターが降りてきてあっという間に外から店内が見えない密室になった。
キャップの男は、バックヤードへ続くのれんを潜り、あーでもないこーでもないとゴソゴソ探して、ハードケース二つをカウンターの上に持って来て、
「苦労したよ、今回は入手困難でね」
キャップの男がユーコの格好を舐め回す様に見てから、
うんうんと頷いた。
「さすがユーコさん分かってらっしゃる、まさかタチ..」
と、キャップの男がいいかけた所でユーコが近づき、キャップの男の口を手で塞いだ。
「コマコマよ、外で待たせてあるわ、後で見る?」
キャップの男は全てを察して、吸い込まれそうなユーコの碧眼を見ながら頭を縦に振ってからハードケースのロックを解除した。
「注文通り、対変異体用にカスタムしたMセットとBセットだ」
開いたハードケース二つには、丸みを帯びた魚を思わせるブルパップサブマシンガン、口径5.45mm×45レーザーサイト内蔵、カートキャッチャー装着とグレネードランチャーが装着されている。
普通サイズのハンドガンとデカいハンドガンがそれぞれ収納されている。
「ああ、それとこれも」
キャップの男が弾薬がパンパンに詰まった、デカいツールボックスをカウンターの上に置いた。
「ありがとう、いつも助かるわ、支払いはいつもと一緒で」
ユーコが軽く左眼で男にウインクする。
ユーコさんには敵わないなと、少し照れてからキャップの男がカウンター裏のボタンを押して、店のシャッターロックを解除した。
電話でユーコが片田を店内に呼んで、受け取ったハードケースとツールボックスを持って、コマコマの所に二人で戻って荷物を積み込んだ。
コマコマに荷物を積み終えて、ユーコ達が出発しようとしていると、武器屋からキャップの男が店から出て来てユーコ達の所に駆け寄って来た。
多脚型思考戦車コマコマくん二両を見て、歓喜に浮かれたキャップの男がユーコにゴニョゴニョと何か耳打ちするとユーコがニヤリと微笑してから小さく頷いた。
「あ、あの少佐、これからどちらへ?」
キャップの男が少し緊張しながらユーコに聞いた。
「そうね、
片田が何をやってるんだこの二人は、と呆れた顔をしていそいそとコマコマくんのコックピットに乗り込んだ。
続いてユーコが微笑を浮かべたまま、振り向かずに右手を軽く背後に振って、コマコマくんのコックピットに乗り込み、熱光学迷彩を起動して片田とユーコが乗るコマコマくんがキャップの男の視界から消えた。
「素子ぉぉぉぉぉぉ..」
キャップの男が何故かそう叫んでからその場で敬礼した。
Ⅳ
Thursday Midnight──────
ユーコと片田は多脚型思考戦車コマコマくんに乗り、魚家に指示されたメサイアセンター近くの集合地点に向かっていた。
「ユーコさん、今、どの辺ですか?」
コマコマくんコックピット内ワイドスクリーン右端に映る、サウンドオンリーのデジタル表示がユーコの視界に入る。
魚家から通信が入った。
「今、集合地点から約15kmって所かしら」
「了解、集合地点でお待ちしてます」
街路灯がぼんやり灯る、暗い道路を二両の多脚型思考戦車コマコマくんが疾走していく。
Friday──────
集合地点で魚家達がブリーフィングを行なっていた。
「銃対が撃ち合っている間に我々クリーナー部隊で、メサイアセンター中央にある塔の最上階、神の間に潜入、人質を救出して正体不明の教祖品内の逮捕か、殺害」
魚家の説明を聞いた、黒いニンジャ装束のハヤブサが呟いた。
「クリーナー部隊て、たった二人かい?」
黒いスーツに頭部に包帯を巻いた、凶商の門田が有刺鉄線が巻かれた黒いバットをぐるぐる回しながら魚家に言った。
「私達もいます」
暗闇から声がする。
「は?どこや?誰やねん?」
キョロキョロする門田の真横に光学迷彩を解いて片田が現れた。
「えあ!?あんたユーコさんの所の」
「片田です」
「四人ね、まあいけるんじゃない、私達はさしずめジョーカー抜きの
魚家の隣に光学迷彩を解いたユーコが現れた。
「正面からの突入は銃対に任せて、ユーコさん達はなんとか、その..」
魚家がユーコ達が乗って来た、コマコマくんに視線を向けてからユーコに苦笑した。
「俺とこのニンジャはどうすんの?」
「門田さんとハヤブサくんにはメサイアセンター裏手にあるマンホールから地下道を通って内部に潜入してもらいたい」
「まあ、しゃあないな人質が最上階におらんかったら、その品内とかいうイカれた教祖様と一戦交えなあかんもんな」
バットを地面にぐりぐり押しつけながら門田が魚家に言った。ハヤブサが小さく頷く。
「コマコマ、状況は?」
「ユーコはん、メサイアセンターに異常はありまへん」
メサイアセンターを監視しているコマコマくんにユーコが問いかける。
「ええ、そのロボ喋れるんスか?」
門田が煙草に火を点けようとしたが止めて、ユーコの顔を見て言った。
「そうよ、思考AIが搭載されているから」
さらっと凄い事言うなと驚きながら、門田が煙草に火を点けて煙を吐いた。
「魚家さん、あなた大丈夫?顔色が悪いけど」
「ええ、あんまり寝てなくて…」
暗い表情の魚家を気遣ってユーコが聞いた。
「そう、作戦は理解したわ、それでどのタイミングで仕掛けるの?」
「はい、銃対がもうすぐ…」
「ユーコはん!なんか戦車二両がメサイアセンター正面に向かって接近してまっせー!」
魚家の話しを遮るコマコマくんの報告を聞いて、ユーコと片田が走ってコックピットに乗り込む。
魚家はハヤブサと門田にメサイアセンター裏手にあるマンホールの位置を再度確認して車に乗り込んだ。
「状況開始!」
ユーコの声が月下の集合地点に響いた。
Ⅴ
キャタピラーが駆動する独特な音と共に、戦車がメサイアセンター正面敷地内に侵入していく。
戦車の後方には赤外線ナイトビジョンを装着した銃対の隊員達がぞろぞろと着いていく。
隊員達の背後には装甲車が停車していて、完全武装のアサルトライフルを構えた隊員や狙撃を行う隊員も配置されている。
夜空に無数のドローンが浮かび、メサイアセンター上空を飛んでいた。
「ドーーーン、ドーーーン」
二両の戦車から主砲の重爆発低音が響いた。
砲弾がメサイアセンターに直撃して、ガラスの割れる音や建物が破壊される音と同時に、四方八方から銃撃音が辺りを埋め尽くしていく。
「銃対の連中、人質救出する気あるのかしら?これじゃ、まるで戦争ね」
「ユーコさんどうしますか?」
コマコマくんコックピット内、ワイドスクリーンのワイプ越しにユーコと片田が通信をしている。
「そうね、正面は見ての通り、銃対の戦車砲に誤射されたくないから私達は側面から行きましょう」
「了解」
コマコマくんの熱光学迷彩を起動して周囲から姿を消し、
ユーコ達はメサイアセンター左側面に向かって移動する。
物騒なジェット噴射音が響く中、メサイアセンターの窓からロケットランチャーが発射され、戦車近くに着弾し、闇夜に茜色の炎を上げて爆発した。
「救世魔神教会って本当に宗教なの?」
ユーコが眉間に皺を寄せて呟いた。
「ユーコはんそれじゃあ行きまっせー」
コマコマくんがそうアナウンスして、二本の腕からワイヤーアンカーを出してメサイアセンターの側壁をよじ登って行く。
メサイアセンター正面は壮絶な銃撃戦が繰り広げられていた。
地下道──────
「せんまいし、臭っ、最悪やのう、終わっとる」
「静かにしろ、山田」
「門田や!誰がドカベンじゃボケ、バット持っとるだけや共通点」
ハヤブサと門田が魚家に指示されたマンホールに入り地下道を進んで行く。
「これメサイアセンターのどこに繋がってんねん?二人でいきなし敵のど真ん中に出たら終わりやんけ」
「その時は全力で戦うだけだ、岡田」
「門田や!そらタイガースファンやけど、別に野球好きちゃうし、ってか古ない?例え?ニンジャのオッさん」
「少し黙れ」
そっちがボケてきたのをツッコミ入れただけやのに、味方やなかったらバットでどつきまわすぞと思いながら、
門田はハヤブサの背後を着いて行った。
ハヤブサの進む先に上から光が差している、ハヤブサが恐る恐るチラッと頭上の光が差す方を見た。
「戦闘配置に急げ、不信心な輩達を排除せよ」
武装した信徒達が慌ただしく建物内を移動する足音が聞こえる。
「で、どうすんねん?」
門田がハヤブサに囁いた。
ハヤブサは門田に声を出すなと無言の圧をアイコンタクトで示すと、足音が遠のくのを少し待って、頭上の排水溝の金属製の蓋に手をかけてゆっくりズラし、頭を出した。
「大丈夫だ、参るぞ」
そう言ってハヤブサがすっと室内に侵入した。
「マジか、ニンジャのオッさん」
そう呟いて、門田もなんとか排水溝から這い上がって室内に入った。
凄まじい銃撃音の中、二人は周囲を警戒しながら進む。
遭遇した数人の信徒達をハヤブサが、迅速に背後から音を立てないように気配を殺して近づき、首を忍刀で掻き切っていく。
その光景を見た門田は、めちゃめちゃ強いやんこのオッさん、ヤバッと少しビビりながら後を着いていく。
二人でなんとか外に銃をぶっ放している信徒達に気づかれずにくまなく捜索したが、人質の姿はなかった。
そして二人は建物中央にある塔の階段を最上階を目指して登って行った。
メサイアセンター中央塔外壁──────
ユーコ達が乗るコマコマくんが、ワイヤーアンカーを利用して塔をよじ登って行く。
建物正面では相変わらず銃対と信徒達の壮絶な銃撃戦が続いている。
「ユーコさん、今ハヤブサから連絡がきた、人質も品内もやはり中央塔最上階で間違いないだろう」
魚家から通信が入った。
「そう、今登ってるわ」
二発の戦車砲から放たれた砲弾がメサイアセンターに直撃した。
ユーコ達に振動が伝わってコマコマくんの車体が激しく揺れた。
「余り時間がなさそうね、コマコマ、塔の屋上まで急ぐわよ」
「ほな、いきまっせ」
ワイヤーアンカーを壁から外して空中にコマコマくんが飛び上がる、ユーコと片田がコックピットから脱出して回転しながら屋上に着地した。
「バトー光学迷彩を使うわよ」
「片田です」
サブマシンガンを構えた片田が真顔のまま光学迷彩で周囲に溶け込み消えた。
ユーコも光学迷彩を使い姿を消して、周囲を警戒しながら屋上にある非常階段の扉を開けて中央塔の中へ入って行った。
中央塔最上階、神の間──────
「クソッ戦車だと、圧力をかけたのにどうなっているんだ」
玉座から立ち上がり品内浄 (しなないじょう)は苛つきながら吐き捨てた。
白い袈裟を着た大柄な体格に白く長い長髪、口元を隠す白いフェイスベールには救世と漢字で縦に描かれている。
「侵入者です、二名、塔を登って来ています」
「我が息子達よ、排除するがいい穢れた犬共を、神の力を見せてやるがいい」
黒く歪んだ品内の視線を受けて、頭に白い頭巾を被る巨大な斧を持った、身長ニm以上はある、おそらく常人ではあり得ない体格の屈強な信徒と、同じく頭に白い頭巾を被った、
大鎌を手に持ち、背中に黒い翼が生えた小柄な信徒が塔階段を降りて行った。
「ダダダダダダダダ」
低く重たい乾いた射撃音が室内に響いた。
ユーコが背後から品内にサブマシンガンで強襲した。
品内が前屈みに身体を折り曲げる、片田が床に跪き
そして、再びユーコが背後から品内を撃った。
「ぐあああああ、誰だ?」
ユーコに撃たれて品内の白い袈裟が紅く血に染まっている、そして、血反吐を吐いて品内が床に倒れた。
「人質を屋上へ、急いで」
ユーコの叫びに呼応して片田が人質達と共に降りて来た非常階段の方へ強引に引っ張って行く。
「あんたが、品内浄ね」
光学迷彩を解いて姿を現したユーコが、床に倒れた品内に銃口を向けながら少しづつ距離を詰める。
「お前は、だ、誰だ」
床に倒れた品内が、体勢を起こして跳ね上がり、近づいて来たユーコに両腕の袈裟袖から銃口を向けて、いきなり乱射して来た。
「まだ、生きてるの?」
ユーコは側転から低い姿勢で品内の銃撃を避ける。
二人は致命傷はないものの、お互いに被弾しながら至近距離で撃ち合う。
「貴様、傷口が塞がっていくだと」
「あんたも普通ならとっくに死んでるわ」
空の薬莢が散乱する床の上、二人は銃口をお互いに向け合ったまま、その場から動かなくなった。
中央塔、階段──────
螺旋階段を駆け上がるハヤブサと門田の前に突如現れた、巨大な斧を持った大柄な信徒が、思い切り斧を振り下ろしてきた。
ハヤブサが間一髪、巨大な斧の一撃を避けて、忍刀で斧を持った信徒に斬りつけたが全く手応えがなかった。
「硬いな」
「お前達が侵入者だな排除する」
そう言うとハヤブサに向かってまた大柄な信徒が、巨大な斧を振りかぶる。
「なんやコイツら」
門田がそれを見て足を止めると、空中から大鎌が門田に振り下ろされた。
「あっぶな、まだおるんかい」
門田も大鎌の一撃を避けて階段を下がって行く。
黒い翼を羽ばたかせながら大鎌を持った、信徒が門田の様子を空中から伺っている。
「ニンジャのオッさん、そのデカいのあんたに任すで、このキショい奴は俺が
「承知」
そうハヤブサと話すと門田は大鎌の攻撃をなんとか避けながら階段を駆け降りて行った。
「私は救世魔神教会の斧田 (おのだ)、貴様をここで排除してやろう」
「外道に名乗る名など、ない」
ハヤブサの身体が斧田を通り越すように跳ね上がり、すれ違い様に忍刀で斬りつけた。
「愚かな不信心者め」
斧田はハヤブサの斬撃を喰らっても微動だにせず、着地したハヤブサを巨大な斧で薙ぎ払う。
「ぐう、化け物め」
斧田から上方の階段に叩きつけられたハヤブサが呻いた。
「救済だ」
斧田が絶叫しながら、巨大な斧を頭上に高々と振り上げた瞬間、ハヤブサが忍刀を斧田の顔面目掛けて矢の如く投げつけた。
「ふん」
顔面に忍刀が刺さったまま、斧田が巨大な斧を振り下ろす。
ハヤブサが階段を転げ落ちる様に斧田の股の間をすり抜けた。
「外道、滅殺」
巨大な斧は階段に突き刺さり、ハヤブサが斧田の背後に身体をくの字に曲げて密着し、ゼロ距離から斧田の背中に両腕と両膝を変形させた砲口を向ける、
「ドーーーーーン」
高熱を伴う赤い爆発音と共に斧田が爆ぜた。
斧田の身体が消し飛ぶ、階段に転がる斧田の頭部に被った漢字で救世と書かれた白い頭巾をハヤブサが捲り上げると、斧田の顔面が露わになった。
赤い三つ目に窪んだ鼻、大きく開いた口から見える牙、変異体だ。
それを確認したハヤブサは斧田の顔面にもう一度、変形した腕の砲身から赤い光を放った。
「クソが、すばしっこいの」
ハヤブサからだいぶ下の方の階段上で、門田が大鎌を持った黒い翼が生えた信徒の空中から振り下ろされる攻撃を有刺鉄線を巻いたバットでなんとか防いでいた。
「ケケケケ、私は救世魔神教会の飛田 (とびた)、お前を排除する」
「飛田か、そのまんまやないか、俺が凶商の門田や」
大鎌の鋭い斬撃を幾度もバットで受け、門田は徐々に両手の力が入らない程、消耗していた。
「こら、ヤバいな」
大鎌の斬撃がついに門田の手から有刺鉄線が巻かれたバットを弾き飛ばして階下に落下させた。
「ケエエエエエ」
この隙を逃さないと奇声を発し飛田が、丸腰の門田との距離を一気に詰めて、急接近しながら大鎌を振り上げた。
「アホが」
門田の右腕の先が変形してブラスターガンになり、銃口から青白い閃光がストロボの様に走って、接近して来た飛田に連続着弾し、爆ぜた。
「ケ、ケェ..」
飛田の断末魔が小さく聴こえてから、全身が黒く細切れになった飛田の身体が空中に霧散し、階下に落下していった。
「誰がバット一本でこんな所に乗り込むねん、アホが」
ん?と門田が階下に目をやると煙と仄かに赤い炎が見えた。
「やってもうたー、バットに仕込んどる爆薬、下で爆発したんか。こらあかん火事や!燃えとるぞ!おーい!ニンジャのオッさん!えらいっこっちゃ!」
門田はハヤブサのいる上階へ階段を駆け上がって行った。
中央塔最上階、神の間──────
「あんたも
「
ユーコと品内はお互い銃口を向け合ったまま、間合いを伺っている。
片田と人質が去ってからどれくらい時間が経っただろうと少し考え、ユーコは品内に銃口を向けたまま眼線を品内から外さず、静寂に包まれた室内に立っていた。
ユーコの頬から汗が床に滴り落ちるその瞬間、時が止まった。Δ
「困ります、これ以上は」
静止した時の中をカツカツと革靴を鳴らしてユーコと品内の間に、長いダークブラウンの髪に翠色の眼に黒いスーツを着た小柄な少女が歩いてユーコと品内に近寄って来た。
「ユーコさんには悪いけど、品内は私達の獲物ですから、って分からないか」
少女はナイフを取り出して、品内の胸に突き立て胸部を開いていく。
開かれた品内の胸部の内側にある肺や心臓、その奥深くに赤い石が見える。
それを少女はナイフで抉り出すとニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「これこれ、探してたんですよ、ずいぶん探したけれど見つからなくて、品内の体内にあったとはねぇ..ホムンクルス石」
赤い石を眺めた後、石を上着のポケットにねじ込んで少女はナイフをしまった。
そして、ゆっくり静止した時の中をユーコの方へ歩み寄る。
「私なら
静止した時の中、銃口を品内に向けて立っているユーコを嘲笑い、それじゃあまたと手を振ってケタケタ笑いながら少女は何処かへ立ち去った。
静止した時が動き出す、ユーコの頬から汗が床に滴り落ちた瞬間、
「ダダダダダダダダ」
ユーコが構えたサブマシンガンを品内に発砲した。
銃を構えたまま品内の身体が痙攣して、胸部から大量に黒い血液を流した、真っ黒くなった身体が灰の様になっていく。
違和感があった。
品内を仕留めた、それは確かだ。
いままで品内は再生していたのに何故今更、急に再生しないのか?ユーコは、上手く言葉に出来ない物凄く気持ち悪い違和感を抱いて、何かがおかしいと周囲に視線を走らせる。
「ユーコ殿!ご無事で!」
「はぁ、はぁユーコさん、品内やったんすね、そんな事より火事や、下から火が上がってきよる、早よ出んと焼き鳥になってまう」
ハヤブサと息をきらせた門田が神の間に雪崩れ込んできた。
「ユーコ殿、魚家殿から連絡が来まして、迎えのヘリが屋上に向かってます」
「え、ええ、人質は屋上で片田が保護しているはずよ」
巨大な違和感に囚われながらもユーコは、ハヤブサと門田と共に非常階段から、片田と保護した人質が待つ屋上へ向かった。
中央搭屋上──────
「こっちです、大丈夫助かりますよ」
片田が人質だった銃対の隊員達を連れて非常階段の扉前まで階段を上がってきた。
少し扉を開けて屋上の様子を伺う。
三人、背中に黒い翼が生えた信徒が見える。
手には違法改造されたマシンガンが握られていた。
片田は、銃対隊員達にここに隠れてじっとしていて下さいと隊員達に言って、光学迷彩を使い周囲に姿を溶けこませ隊員達の視界から消えた。
「ん?」
「どうした?」
「いや、今、何か音がしたような?」
三人の信徒達は辺りを警戒している。
「ダダダダダダダダ」
片田が三人に信徒達に近づいてなんなく射殺した。
バタバタと地面に倒れる信徒達。
「片田さんお待ちしておりました」
「待っとたでー、ユーコはんわ?」
コマコマくん達が熱光学迷彩を解いて片田の側に寄って来た。
「私は大丈夫です、ユーコさんは下で品内を」
片田が言いかけた時、
「上よ!」
非常階段入り口からユーコの叫び声が夜空に響き渡る。
片田達の頭上に視認出来る限り十名以上の黒い翼で空中を浮遊する信徒達がいた。
そして奇声を上げて片田と横に居たコマコマくんに襲いかかって来る。
「コマコマ、薙ぎ払え!」
ユーコの号令に反応してコマコマ達が空中の信徒達に両腕の銃口を向けて迎撃する。
「数が多過ぎる」
鴉の大軍が餌を取り合うように急降下しながら、迎撃するコマコマくんと片田に銃弾の雨を浴びせ、さらに袈裟袖から伸びたスリーブナイフで斬りつける。
「危ない片田さん!ゴゴギ」
「あかんやん!ガギギギ」
コマコマくん二両が片田を庇うように盾になり被弾した。
「モ、ウ、ア、、ン、」
「カ、ツ、、ウ、、ヲ、、、マ、ス」
二両のコマコマくんが破壊され車体から煙を出して動かなくなった。
片田は撃ち尽くした銃を地面に落として、左腕を空中に向けて構えた。
鴉の様に群がる信徒達に照準を定める。
「ヤバい離れて」
ユーコの声がかすかに周囲に聴こえた気がした。
辺りが一瞬、昼間のような明るさに包まれていく。
「バーーーーーーーーーーン」
凄まじい爆炎と爆発音、茜色に染まる夜空。
空から信徒達の肉片と黒い雨が屋上に降り注いだ。
片田の左腕のメカニカルアームが露わになり、腕全体から硝煙が上がっていた。
「あんた、加減を知らないわけ?」
ユーコが片田の側に寄って来た。
「なんか、前と違いませんこれ?」
「あ、言ってなかったか、藤部さんに最高銃並にパワーアップしてもらったの」
「勝手に強化しないで下さい」
「まあ良かったじゃない全て上手くいったから」
ユーコのニヤニヤした顔を、片田が睨んでいると夜空に轟音を響かせる公安四課の輸送ヘリが見えた。
ハヤブサと門田が手を振って合図を送っている。
中央搭屋上に無事到着した輸送ヘリのハッチが開いて、魚家が出てきた。
死人の様な顔をした人質を先頭にユーコ達は乗り込んだ。
魚家に、ユーコが壊れたコマコマくん二両も回収しろと半ば強引に交渉したのは言うまでもない。
中央搭屋上を離陸した輸送ヘリから眼下に広がるメサイアセンターは、黒い黒煙を纏い激しく燃えていた。
銃対隊員達と戦車が引き揚げて行く、多くの死傷者達が運ばれていく光景がユーコの碧眼に刻まれた。
「任務完了ね..」
腑に落ちない感情を抱えたままユーコが呟いた。
Ⅵ
Sunday──────
神解空港ロビー、多くの人々が行き交っている。
その中に、ソファーに座った長いダークブラウンの髪に翠の眼、黒いスーツに身を包む少女が搭乗予定の飛行機を待っていた。
「探したわ、清子ちゃん」
「嘘、ユ、ユーコさん?」
声をかけらて驚いた、翠の眼を見開いた清子が歩み寄って来るユーコを見てソファーから立ち上がった。
「ど、どうしてここに?」
明らかに動揺した清子がユーコに問いかける、
「ああ、そうね私の
はぁ?と理解し難い返答に、真顔になって清子が黙った。
「あなた、やるわね、Ⅵ《シックス》なんでしょ?」
ユーコがニヤリと口角を上げて清子に問いかける。
「ど、どうしてそれを?誰から聞いたんですか?」
「まあ、それはいいじゃない、品内を殺ったのあなたでしょ?」
ユーコの碧眼から射るような視線が清子に向けられた。
「どうしてそう思うんですか?」
清子があからさまにシラを切った。
「まあ、女の感ってやつかな」
「なら、違いますよ、私、品内達から逃げているのをユーコさん達に助けてもらったじゃないですか?」
「助けてください〜って、騙されたわ〜、ヘッドギアに黒いカラコン入れて、止まった世界の悲劇のヒロイン」
すっとボケてうやむやにしようとする清子を冷静に受け止めて、ユーコは清子の翠の双眸から視線を外さない。Δ
「あ〜めんどくさ、殺すぞババア」
静止した時の中でユーコに向かって罵詈雑言を吐き捨てる清子。
「まあ今回、私の任務をお手伝いをしてくれたから見逃してあげるわ、オ、バ、サ、ン」
そう言って静止した時の中を一人、清子は歩き出した。
「ん?」
振り向いた清子にユーコの碧い視線がぶつかる。
まさかね、勘違いだろうと思い清子は歩き出しユーコの前から消え去って行った、空港内を多くの人々が行き交っている。
はっと気がついたユーコは、
「また、やられたか」
そう呟いてもう何処にも見当たらない清子を探すことはなく、空港の外で待つ片田の所へ向かった。
「で、どうだったんですか?」
車内のルームミラー越しに片田がユーコに聞いた。
「限りなく黒に近いグレーかしら」
「そうですか」
ムスッと頬を膨らまして不貞腐れながらスマホをいじるユーコを、ルームミラー越しに片田が少し微笑しながらチラッと一瞥した。
「テテテン、テン、テン、テテテー……」
車内に懐かしいケミカルなサウンドが充満する。
「ほんとユーコさんTM好きですね」
「ふー ふふん ふ、ふー..ふふふふ、ふんふふふ…………」
ハンドルを握る片田が小さく溜息を漏らした。ユーコは鼻歌を歌いながら流れる車窓を見ている。
「ん?えッ!何これ?」
ユーコが上着の右ポケットから一枚のくしゃくしゃの千円札を取り出した。
その千円札の裏には、赤い文字の下手くそなカタカナで、
「クソババア」
と書いてあった。
ユーコは喚きたい衝動と込み上げて来る怒りをなんとか抑えて、
「あのクソガキ..」
そう呟いて窓を開け、その千円札を投げ捨てた。
────────
See you in the next hell…
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