第4話 取り消せない過去
姉ちゃんに相談した後だが俺は2階に上がっていた。
そして考えてみる。
姉ちゃんはこうアドバイスしてくれた。
2人にどうしてそんな事をしたのか、と先ずは2人の話を聞いて此方が歩み寄ってみる、という事を、であるが。
これは姉ちゃん流、である。
「歩み寄る、か」
考えながら俺は窓から外を見る。
そして好きなラノベに手を伸ばしてみる。
だが読む気にはならなかった。
そんな事をしている場合では無い、と身体が思ったから、である。
困ったもんだな。
「.....」
横の窓から外を見てみる。
そこでは明かりが灯っていた。
つまり梅もそこに居る、という事だろう。
俺はその光景を見てから前を見た。
そして考えてみる。
「.....梅に後輩に.....」
そんな事を呟きながら俺は息を吐いた。
それから次の日を迎える為に今日は早めに寝る事にする。
一階を見てから寝るか。
そう思いながら降りて行く。
☆
次の日になった。
俺は起き上がってからそのまま家事をしてから教科書を準備する。
それから俺は早めに行ってしまった姉の服を畳んでから。
そのまま玄関から表に出る。
すると.....外壁にもたれかかる様に梅が立っていた。
「何だお前.....?」
「.....謝るつもりは無い。だけど昨日はそれでもやり過ぎたかなって思う。だから一応反省しておくつもり」
「.....」
「.....私はどうしても貴方の顔が見れない」
「そうか。俺もそうだな。お前の顔は見れない」
すると、そう、と複雑な顔をした梅。
それから立ち去ろうとする。
俺はその後ろ姿に、梅。俺がお前にした事は取り消せない。.....お前の気持ちは重々分かる。また仲良くなれる日は来ないとは思う。だけどいつか分かり合える様に努力はする、と答えた。
そうすると足を止めてからグスッと鼻を鳴らしてから。
そのまま梅はまた足を動かして去って行った。
俺はその様子を見ながら空を見上げる。
うざったい程に快晴だった。
「.....気持ちとは裏腹にひっでぇもんだな」
そんな事を呟きながら俺は歩き出す。
それから通学路の交差点に向かう。
すると分かれ道に今度は美津が立っていた。
俺を見ながら眉を顰める。
「.....」
「先輩。.....やり過ぎたって思います。今回は。謝ります」
「.....」
「ですが私はこの大枠の事は撤回しようとは思いません」
「.....ああ」
美津を見ながら俺は頷く。
そんな美津は俺を見ながら、私はこの感情がまだ消えませんから、と言い残してそのまま俺をジッと見る。
助けれる状況だったのに助けなかった俺が悪いしな。
あの時は勇気を持って一歩を踏み出せば良かった。
「.....美津。妹さんは.....今はどうなんだ」
「元気ではあります。仮にも」
「.....そうか」
「ですがやはり心の傷は癒えない様ですけどね。全面的に先輩を責める訳じゃ無いですが.....どうしてですか」
「.....」
なぜこんなにも歪まないといけないんですか、と聞いてくる。
裸にさせられて水をぶっ掛けられていたの思い出す。
俺も妹さんも気付いたんだが。
何も出来なかった。
警察にでも通報すれば良かったんだが。
それもしなかった。
いや。
出来なかった、と言える。
確かにそれは俺が悪いとは言える。
あの時の感情は、恐怖、で逃げていただけだった。
選択肢を間違えたんだと思う。
「言い訳をするつもりはないが。.....俺はあの時。梅の問題も抱えていた。それから人数が多かったのもある。恐怖だったのもある。現実から逃げていたんだろう。自分から逃げていたんだ完全に。だから俺に非は有りまくりだとは思う。もし何なら殴っても良い。何と言っても過去には戻れないから」
「.....殴りません。.....それは同じですから。アイツらと」
「そうか」
「はい。でも知っておいて下さい。そんな事になっていたって」
そして美津は、では、と言いながら去って行く。
俺はその姿を見送ってから。
歩き出そうとした。
すると背後から、やあ、と声が。
俺は背後を見る。
「蘭子?」
「ゴメン。偶然見掛けたからね」
「聞いたのか。俺達の会話」
「途中から聞いたけど.....」
「そうか」
俺は蘭子を見る。
すると蘭子は真剣な顔で見てきた。
それから悲しげな顔をする。
君は精一杯やっている。反省している、と答えた。
「.....私はそう思う」
「お前って相変わらず優しいよな。何もかもが」
「これは優しいんじゃないとは思うけど。.....でも何か特別な感情があるんだろうね。君に対してね」
「.....特別な感情?」
「.....君には色々と助けられているからね」
「特に大きな事は何もして無いじゃないか。.....大袈裟だ」
大袈裟じゃないさ。
そう言いながら俺を見つめてくる蘭子。
見つめられると何か誤解を生むからな、と俺は告げる。
ハッとして、そ、そうだな、と赤くなってそのまま慌てる蘭子。
何でこんなに恥じらうのか分からないが.....まあ妥当な反応だろう。
「君はヒーローだ。私にとってはね」
「そう言ってくれるのはお前だけだよ」
「.....君の抱えているその気持ちはいつか解決するさ。悩む必要は無い」
「.....」
そうだな。
いつかそんな日が来れば良いけど。
思いながら俺は蘭子を見る。
すると蘭子は、じゃあ行こうか。学校に。同志よ、と笑みを浮かべる。
それから手を差し出してくる。
「ああ。じゃあ行こうか」
そして差し出された手を握る俺。
それから蘭子と一緒に学校に登校した。
そしてクラスに向かう。
するとそんなクラスは話題でもちきりだった。
何がと言えば。
俺と蘭子のデート疑惑。
何で.....?
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