第6話 杖を作ろう!
それからというもの、なんだか色あせていた私の毎日はきらきらし始めた。
放課後はすぐにネネを探す。
見つけたらまっすぐ、イオのお家へ。
お話ししたり、お菓子をごちそうになったり。
それから魔法をみせてもらったり!
樹がいないのはさみしいままだけど、イオって友達ができたから、すこしはましになった。
イオもあまり、人付き合いがなくて。
気づけば、イオと私は幼なじみみたいな関係になっていた。
そのおかげで学校も、それなりにうまくいっている。
だって私にはイオがいるもの。
「このぐらいでいいかな?」
「だめ、全然足りないわ。もっと削っちゃっていいの」
ナイフで枝を削るなんて、初めての体験だ。ちょっぴりどきどきしながら、すーっと右手を動かした。
何をしているかというと。
なんと今、私は魔法の杖を作ってる。
きっかけはさっき、私がイオに聞いたからだ。
——私も魔法って使えるのかな? って。
イオは、やってみないとわからないわ、って言ってた。
鳥の羽を浮かすくらいなら、ちょっと練習すればできるようになるらしい。
だけどそれは、魔法の適性があればの話。なかったらどうしたって無理。
あと、魔法を使うには杖がいるんだけど、その杖も自分で作らないとダメみたい。
杖作るなんて、できそうにないし。
やっぱりだめかあ、ってぼやいたら、イオはこう言ったのである。
——杖作るなんて簡単よ? なんなら今から作りましょうか。って。
「サキは誕生日いつ?」
イオは分厚い本を開きながら聞く。
「十二月二十一日だけど……」
「え、本当に? すごい、それはぴったりだわ!」
ほら、ここみて、と開いたページを指差した。
私の誕生日と同じ数字の横に、木のスケッチが描いてある。
「これ、
イオは興奮で、ぴょんぴょん飛び上がりながら説明してくれた。
「それって、すごいことなの?」
「ええ、特別な守護樹木の杖は、普通の杖より魔法が使いやすくなるらしいの!」
え、それは嬉しい! 私もテンション上がってきた。
モミの木は裏に生えてるから、取りに行きましょ、とナイフを取るイオ。
そういうことがあって。
いい具合の長さの枝を、持ち手の部分を残して先っぽから削っていく。
茶色の皮がするって剥くと、中は真っ白でびっくり。骨みたいだ。
イオがもう少し、ってアドバイスしてくれて、少しずつ、細くしていく。
十分くらいで、OKが出た。
ナイフを握ってる右手がきしきしする。ちょっと疲れた。
でも、なんだか楽しい。
「じゃあ、仕上げをしましょ」
「うんっ!」
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