第3話

 帰り道の電車中あのことを聞こうか、モヤモヤと悩んでいるうちにメッセージの通知が来た。画面には会長の名前が映し出されていた。


「さっきは本当ごめん。なんか変な寝言とか言ってなかった?」


 これはあのことを聞く絶好の機会だ。向こうから話題を振ってきたのだから、何も臆することはない。


「らんって人の名前呼んでましたけど……」


 少し言い方を変えた方がいいかな。もう少し丁寧な言葉で……と考える頃には送信のマークを押していた。


「あー……それは……」


 するとすぐに既読が付き、歯切れの悪そうな返事で返ってきてしまった。もしかして聞いちゃいけないことだったのだろうか。後悔していると続いて返事がきた。


「実は次のサークル本のネタ考えてて……」


 思いがけない返信で少し驚いた。ちゃんと会長らしくサークルのことを考えていただけだった。それぞれのメンバーが所属している学科に関連した創作をテーマにしようと密かに考えていたようだ。

 勝手に早とちりしてしまって申し訳ない気持ちになった。


「そうだったんですね。内容を聞いてしまっても大丈夫ですか?」


「いいよ。むしろ聞いてほしい」


 聞いてほしい。たった一言で心臓が跳ね上がったような気がした。

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二人夢の中 花守架音 @716flowerbell

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