第98話 次元家屋にて⑤ ルーラーの想い
ルーラー『まず改めまして父と母、そして私を助けて下さりありがとうございました』
深々と礼をしてから彼女は言葉を続けた。
ルーラー『ほんの短い間ではありましたが、私は皆さんとこの先も一緒にいたい気持ちが強くなりました・・・ここを出て皆さんと旅がしたい・・・どうか私をパーティーに加えていただけませんか?』
決意表明とも取れるルーラーの言葉を全員が黙って聞いていたが、そこにアボスが問い掛けた。
アボス 「しかしルーラー王女、旅の
するとルーラーは臆することなく凛とした姿で、
『勿論です、新参者に特別扱いは不要・・・使い走りや雑用など何でも使って下さい』
フロウ 「さすがは王女だけの事はある・・・確固たる地位は人を強くすると言うがその通りだな」
シャヤ 「・・・でもルーラーちゃん、私達のパーティーは対等であり平等がモットー・・・」
ジイン 「そうです、シャヤの言うように役割分担こそあれど各々が盾であり剣でもある・・・誰か一人に押し付けるような真似はしません」
アボス 「うむ、だがルーラーにそこまで言ってもらえたのは我々としては喜ばしい事だ、こちらこそ宜しく頼む」
ルーラー『え・・・それでは・・・』
「『ルーラーちゃん、私達のパーティへようこそ!』」
パチパチパチパチパチパチ
ルーラー『よ、よろしくお願いします!』
こうして地下陵墓で新たな仲間が四人増えた
ハクブ・・・迷宮クロウの亜種らしいが真相は定かではないが、もしかしたら神の遣いかもしれない・・・
ルーラー・・・アルマ王国の王女でスピリットから進化を得て精霊人となった、現在の容姿は生前の病気になる前でこれは精霊王の粋な計らいによるものである。
正式名称はルーラー=アルマディル
リーザ・・・地下三階で出逢ったリザードマンで物々交換を持ち掛けられる、その後は地下四階で大怪我をしている所を救出されて行動を共にした
ラナ・・・地下四階で怪物の一部にされていたリーザの妹、ジインの蘇生術により一命を取り留める、その後は姉と一緒に従魔になる。
国王 『それでは我が娘を宜しく頼みますぞ』
王妃 『ルーラー・・・皆様と仲良くするのですよ、私達はいつでもあなたを見守っているわ』
ルーラー『お父様、お母様、ありがとう・・・』
アボス 「よしルーラー、我々の初仕事は生存者を無事に地上まで送り届ける事だ、良いな?」
ルーラー『えっ?・・・それはつまり・・・』
ジイン 「そう、目の前のお二方ですよ」
フロウ 「おおっ、護衛任務とは腕が鳴るな」
シャヤ 「・・・ルーラーちゃん、ファイト・・・」
ハクブ 『フフッ、回りくどい事が好きだな、だが・・・それで良い・・・いや、それが良いな』
リーザ 『帰りは魔鉄の巨盾を装備した私に任せて貰おう』
ラナ 『お姉ちゃんが先頭なら私は最後尾で奇襲に備えるようにするね』
ジイン 「先ず地下二階の前線基地を通って地上に向かいます、ではお二方よろしいですか?」
国王 『無論それは願ってもないことだが本当に良いのだろうか・・・』
王妃 『あなた・・・ここまでお膳立てして頂いたのですよ、私達は従うだけですわよ』
アボス 「忘れ物はないか?出発するぞ!」
「『はい!!!』」
こうして一行は新たに仲間の四人に国王、王妃を加えた総勢十人で地下陵墓を後にした・・・
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