第97話 次元家屋にて④ 美味しいは正義

リーザ 「ふはぁ・・・なんという破壊力だ・・・」 

ラナ  「・・・恐るべし・・・あいすくりん・・・」

ルーラー『ほっとけーき、そして、あいすくりん・・・温かい甘味と冷たい甘味があるのに驚きです・・・』

国王  『うむ・・・甘味といえば、果物の蜂蜜掛け位なものだったが・・・しかも彼の話ではまだまだあいすくりんにはバリエーションがあると言う・・・』 

王妃  『本当に甘味が豊富でこの時代の人々が羨ましい限りですわ』

フロウ 「いえ、お待ち下さい王妃様、この時代にもこのような甘味はございません」

シャヤ 「・・・ほっとけーきにあいすくりんの二品は初めて・・・」

アボス 「確かに俺も永らく隊商キャラバンにいたが見たことが無かったな」

国王  『ほぅ・・・』

王妃  『それは一体どういう事ですか?』

ハクブ 『・・・まさか主よ、女神の加護だと・・・』

ジイン 「流石ハクブは察しが良いね・・・国王様、王妃様、先程のは私が加護を賜りし女神ムネモシュネー様から承りし記憶を具現化しただけでございます」

国王  『何? するとジイン殿は女神様の加護を貰っておるというのかね?』

ジイン 「はい、ですが私だけではございませぬ、ご息女のルーラー王女も含めた全員が神の加護を賜っております」


 その言葉を聞いた国王と王妃はお互いに顔を見合わせた。


国王  『ま、まさか、信じられん・・・それぞれの者が加護を受けているなど前代未聞だ・・・』

王妃  『ですが、国王あなた・・・私達やルーラーが人の姿になれたのは、神の御力としか考えられませんわ』


ジイン 「信じられないのも無理もないかと・・・ですがこちらのフロウとルーラー王女による二重の鑑定結果が出ておりますので・・・『無論信じておる』『間違いないですわ』え・・・えぇ?」


国王  『流石は我が娘よ、加護を鑑定出来る程の力を身に付けているとは!』

王妃  『それにフロウさんも素晴らしいですわ・・・きっと名の有る鑑定士なんでしょうね』


フロウ 「私がですか?いえいえ、とんでもありません」

シャヤ 「・・・フロウ、謙遜しなくてもイイ・・・そこいらの鑑定士よりは、よっぽど正確・・・二人とも上級鑑定士並の能力がある・・・その上ルーラーちゃんは魔術にも造詣が深いから一緒にいて楽しい・・・」

フロウ 「こらっ、ちゃん付けではなくルーラー王女とお呼びしないと失礼だぞ、シャヤ」


国王  『構わん構わん、ルーラーも満更でもない表情をしておるし、仲睦まじくて何よりだ、我が娘は良い友に恵まれたな・・・』

王妃  『ええ、本当に・・・皆様方には何とお礼を申し上げれば良いのか・・・うっ・・・うっ・・・』

 

 二人とも感極まったのか眼に涙を浮かべている。

ルーラー『・・・お父様・・・お母様・・・』

 その光景にジインは再び涙で顔を濡らし、他の皆も涙ぐみ、鼻を啜っていた・・・

国王  『済まん、どうやら辛気臭しんきくさくしてしまったようじゃな』

 

 それからしばらくするとアボスがトレーに飲み物を乗せて持ってきた。

 

アボス 「さぁ皆さん、お茶を入れましたので一息つきましょう」


 その後は雑談を交えつつ、お互いの時代についての擦り合わせを行い、情報を交換していった。

そして、暫しの時間が過ぎていき・・・

 

ジイン 「さて、宴もたけなわなところ恐縮ではございますが・・・この辺でお開きの時間となりますので・・・」


ルーラー『すみません、私から少し宜しいですか』

 彼女はスッと手を挙げ皆の方を見渡すと、思い詰めた顔でゆっくりと口を開いた・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る