第91話 大司教と司祭
奥ではフィアー司祭が傷病者達の治療をしており、その中にはレナードの姿もあった。
ジイン 「フィアー様、レナードさんの容態は・・・」
フィアー「うむ、彼の外傷は治療したのだが、いくつかの呪詛が掛けられており、
ジイン 「なんですって!まさかあの時と同じ呪詛だと?」
フィアー「いや、彼に掛かっているのは
ジイン 「なんということを・・・
パァァァァァァァ!!
眩い光りがレナードを包み込むと、ピクッ、ピクッと彼の体が小刻みに反応して呻き声を上げた。
レナード「ううぅっ・・・」
レーア 「に、兄さん!」
レナード「レ、レーアか・・・お、俺は一体・・・」
レーア 「よ、よかった・・・本当に良かった・・・」
大粒の涙を瞳に浮かべレーアは兄の手をギュッと握りこみ頬を寄せた。
フィアー「なんと精神浄化術とは・・・これは凄まじい、正にジイン殿は古の聖者様のようだ・・・」
???「バ、バカな!あれはまさしく精神浄化術・・・それもあのような
声を荒らげたのは祭服を身に纏った初老の男性であった。
ジイン 「フィアー様・・・あの方はもしや大司教では?」
フィアー「うむ・・・我々がレナード殿を退けた後に逃亡しようとしたので、やむを得ず縄で縛り上げたのだ」
グレゴイシス「人聞きの悪い事を言ってくれる・・・これは逃亡ではない、撤退、そう勇気ある撤退だ!」
フィアー「言うに事欠いて撤退だと・・・大司教ともあろう者が聞き苦しい・・・これ以上は聞くに堪えられない・・・黙ってて貰おうか・・・
グレゴイシス「・・・・・・・・・」
フィアー「愚か者の貴方が次に話すのは王の眼前だ、覚悟をしておくがよいでしょう・・・」
大司教は額に汗をビッシリ浮かべ、ワナワナと震えながら
元々フィアーとグレゴイシスは立場や年齢こそ違えど、同じ釜の飯を食った仲であり苦楽を共にした友でありライバルであった、ジインはそのことをフィアーから聞いていた。
フィアー「例えイータクアー侯爵の
ジイン 「・・・心中御察し致します・・・」
(フィアー様の苦渋に満ちた表情と寂しい立ち姿が全てを物語っている・・・)
フィアー「さて・・・大司教の身柄も拘束し、封魔の水晶も取り戻した・・・私達の仕事は終わったが、ジイン殿、君達はまだやることがあるのだろう?」
ジイン 「はい、この奥に大事な用がありますが・・・」
フィアー「レナード殿と妹君の事なら心配せずとも良い、私達が責任を持って連れ帰ろう、任せてくれたまえ」
ジイン 「申し訳ありませんがレナードさんとレーアさんを何卒宜しくお願いします」
レーア 「ジインさん、兄を助けてくださって、ありがとうございます、この御礼はまた改めてさせていただきます」
レナード「御二人方に救っていただいた御恩は忘れません、そして今しばらく御厄介になります・・・」
フィアー「レナード殿、厄介な事などはない、この
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