第88話 守備隊

レーア 「キーレ守備隊員のレーアと申します、ジイン様の適切な治療によりすっかり回復致しました、それに食料や衣服まで頂いて皆様になんと御礼を申しあげれば・・・」

 レーアは感謝の言葉を述べ深々と礼をした。

ジイン 「頭をお挙げください、レーアさん、私達は人として当然の事をしたまでです」

アボス 「レーア殿、差し支えなければ一体何があったのか教えてもらえないだろうか?」

レーア 「・・・はい、私達は・・・・・・」

 彼女からの話はそれは凄惨なものだった・・・捕らえられての拷問やクスリによる服従、極めつけは実験動物扱い・・・それは人間、亜人、魔物を問わずに行われていた。守備隊の隊長はなんと彼女の兄であり、捕まった隊員や妹を守る為に自ら実験台になった・・・

 「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」

 『『『『・・・・・・・・・・・・』』』』

 その話を聞いていた全員が言葉を失い立ち尽くした・・・

レーア 「皆様にこのような事を頼める義理ではないのですが・・・私の兄レナードを一緒に探してはいただけないでしょうか・・・」

 彼女は声にならない声を振り絞って悲壮な表情で深く深く頭を下げた。

ジイン 「レーアさん・・・お兄様にの事があったとしてもですか?」

レーア 「はい・・・この地下陵墓に入ったときから覚悟はしていますので・・・」

アボス 「・・・しかしレナード殿ならば、窮地を切り抜けているかもしれませぬな」

レーア 「!!!・・・もしや兄をご存知なのですか?」

アボス 「ええ、かつて同じ隊商キャラバンしのぎを削ってきた仲でした・・・彼には借りがある、今こそ返す時・・・レーアさん行きましょう、皆も良いな?」

フロウ 「勿論だ、アボスがそこまで言う男なら、是非とも会ってみたい」

シャヤ 「・・・もとよりそのつもり・・・」

ジイン 「魔力も回復しました、いつでも行けますよ」

 ハクブ、ルーラー、リーザ、ラナも快諾してくれた。

レーア 「皆さん・・・ありがとうございます」


 かくして、一行は扉を開けて階段を降りていった。

地下5階で待ち受けるのは・・・レーアの兄レナードは無事なのか・・・果たして・・・

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