第87話 古の記憶


ジイン 「確かに・・・記憶を司る・・・記憶か・・・それだと全て合点がいく・・・ん?・・・なんだっ?」

 

 カアァァァァッ!・・・

 突如、ジインの周りを眩い光が覆った・・・

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 やがて覆っていた眩い光は徐々に収まり、ジインは辺りを見回した。

ジイン 「・・・なっ、こ、ここは?・・・」

 見渡す限り地平線が広がり、明らかに先程まで自分がいた場所とは違っていた・・・そしてそこに浮かびし女性にジインの眼は釘付けになった・・・


??? 『ようこそ・・・わらわの加護を受けし人の子よ・・・待ちわびたぞよ・・・』

ジイン 「・・・はっ!・・・お、恐れ入ります・・・」

 慌てて片膝をついてこうべを深く垂れ、握りしめたこぶしは微かに震えている・・・

 (な、なんという圧倒的存在感・・・あ、汗が・・・)

??? 『人の子よ・・・おもてを上げるが良い』

 しかし、ジインは膝まずいたままで頭を上げようとはしなかった・・・

??? 『ほう・・・苦しゅうない、面を上げよ・・・』

 心なしか声が弾んでいて柔らかな感じがしたので、恐る恐る顔を上げた。

??? 『うむ、物の道理を弁えておるようで感心感心』

ジイン 「いえ、見に余るお言葉・・・光栄です」

??? 『かしこまらなくても良い・・・どうやらわらわが何者かわかっているようじゃな?』

 そう問い掛けた妙齢の見目麗しい女性、白く透き通った肌に靡く髪・・・ただ美しいだけでなく威厳と品格を兼ね備えている、この御方は間違いなく・・・

ジイン 「記憶を司る女神・・・ムネモシュネー様・・・」

ムネモシュネー『はい、御名答・・・これは褒美じゃ、受けとるが良い』

 彼女が左手をスッと翳すとジインの右腕は瞬く間に元通りとなった。

ムネモシュネー『この程度なら造作もないこと・・・ん?浮かぬ顔をしておるがどうしたのじゃ?』

ジイン 「・・・いえ、私のようなに、このような御配慮をしていただき、些か困惑していて・・・」

ムネモシュネー『ほっほっほっ!そのようなことかえ、それはだけで、心配せずとも妾の加護があれば徐々に起きる、蘇生リザレクション再生リジェネレイトに・・・むっ、そろそろ時間のようじゃ、そなたのが芽吹くのを期待しておるぞ、ジインよ・・・』

ジイン 「有り難きお言葉・・・精進致します」 

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  「・・・ン・・・イン・・・ジイン!」

ジイン 「はっ!ど、どうしました、アボスさん」

アボス 「どうしたじゃないぞ、いきなり糸の切れた人形みたいにその場に崩れ落ちたから焦ったぞ・・・」

ハクブ 『その通りだ、主よ・・・一体何があったのだ?』

 ジインは先程の出来事をかいつまんで説明した・・・

アボス 「ううむ・・・右腕がこうも早くに元通りになっているのだからな・・・」

ハクブ 『・・・流石は神の御力、我々には及びもつかぬ・・・しかし我が主は神の記憶を継承するとは・・・』

ジイン 「継承だなんて・・・そんな大袈裟なものじゃないよ、ムネモシュネー様が持つ膨大な記憶の一部・・・そう、ほんの一部分だけをお受けしたにすぎない」


 そうこうしていると、フロウ達から声がかかった。

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