第86話 奥へ
一行は青の部屋から出て、中央の扉を開け中に入り通路を歩いていくと奥の扉の前に人影があった。
アボスは右手を後ろに回し掌を広げて、「止まれ」のハンドサインを出した。
??? 「た・・・助けて・・・」
そこにいたのはボロ布に身を包んだ守備隊員と思わしき女性で腕や足、顔の至る所に裂傷があり、息も絶え絶えで立っているのもやっとの状態だ・・・
アボス 「む、これはいかん、酷い傷だ!すぐに手当てを」
ジイン 「お任せ下さい!」
すぐにジインが回復術を駆使して、治療に当たった。
シャヤ 「・・・あの裂傷はおそらく拷問に因るもの・・・酷い事をする・・・」
チッ・・・チッ・・・チッ・・・チッ・・・
フロウ 「・・・うん、何の音だ?・・・その女性から聞こえてきているようだが・・・」
女性に目をやると首から下げている懐中時計から音がしていた。
ルーラー『彼女の持ち物でしょうか?・・・それにしては奇妙な形の時計ですね・・・えっ』
・・・バ・・・バク・・・バクハ・・・
ルーラー『ど、どこから声が?・・・バクなに?』
チッ・・チッ・・チッ・・チッ・・
ハクブ 『むっ、音の間隔が短くなっている・・・』
バァン!!
なんと、一行が入ってきた扉が開かれ魔物が現れた!
魔物はスケルトンが6体だ!
アボス 「くっ!背後からか、ジインは治療を頼むぞ!」
一方のジイン達は目下の所、治療中だが女性の首から下げている懐中時計からの音がどんどん間隔が短くなっていった・・・
ハクブ 『どういうことだ、まるで警告音のような・・・な、なにか変だ!
・・・バクハ・・・バクハツ・・・バクハツスル・・・
チッチッチッチッチーチーチーチチチチチチチーーー!
ルーラー『バクハツスル・・・爆発!?いけないジインさん、その懐中時計はーーー!』
・・・ジインは刹那の中で思考を最大加速させた・・・
(ハクブが防御をしてくれたお陰で爆発しても僕は致命傷は避けられる・・・がこの人はどうなる・・・ならば、こうするしかない!)
ジインは女性の首から懐中時計を取り上げて見ると懐中時計は猛烈な勢いで点滅をしている!
ジイン 「うぅっおおおぉぉぉっっーー!!
ドッッゴォォォォン!!!!
ハクブ 『あ、
ルーラー『ジインさん・・・あぁ、そんな・・・』
二人はジインの姿を見て愕然とした表情になった・・・
彼の眼前には球形の結界が浮かんでいるが中は血まみれで本来あるはずの右腕がなかった・・・
ジイン 「う~いってぇぇぇぇぇ!! さすがに瞬間的な痛みは強烈だな・・・それよりもお姉さん随分と顔が青いですね、回復が足りなかったのかな?」
治療を受けていた女性は呆然としている・・・
ハクブ 『・・・それは主殿の姿を見て青くなっているのだと思うぞ・・・』
ジイン 「えっ?なんで?」
ルーラー『・・・この現状を見れば、あなたの方が大丈夫?となるでしょう・・・右腕なくなってるんですから?』
ジイン 「あぁ~まぁ、時間はかかるけど
『『えっ、
そんなやり取り中にアボス達が戦闘を終えてやって来た。
アボス 「ふぅ・・・やれやれって、うわぁ!ジイン、お前、腕がないぞ・・・」
フロウ 「腕が・・・ど、どうして・・・」
シャヤ 「・・・ジ、ジイン・・・大丈夫なの・・・」
こちらに来た五人が驚愕の表情を浮かべていたので、ジインが慌てて事情を説明すると、今度は困惑と安堵の表情になった・・・
アボス 「なるほど腕が元通りになるまでには時間がかかる・・・ならば一旦、前線基地へ戻った方がいいか」
フロウ 「女性の保護もあるからね・・・でもそうすると大司教に時間を与える事になるけど・・・」
ルーラー『お二方とも、まずはその方のお着替えてが先かと・・・話はそれからですよ』
アボス 「む・・・それはそうだな、失念だった」
フロウ 「確かにこんなボロ布一枚で放っておいて、ごめんなさいね」
ジイン 「着替えられるのでしたら次元・・・」
次元家屋を準備しようとしたジインだったが、それをシャヤが手で制した。
シャヤ 「ジイン、ここで着替えるからいい・・・男性は向こう向いてて・・・」
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アボス 「それにしても・・・凄まじい再生能力だな・・・いつの間にこのような聖術を身に付けたんだ?」
今、こうしている間にもジインの右腕は結界の中で再構築していった。
ジイン 「それが・・・頭の中に流れ込んできたとでも言えば良いのでしょうか・・・自分でも、良くわからないんですよね・・・」
どうやら、
ハクブ 『もしや・・・記憶を司る女神ムネモシュネー様の御力ではないだろうか・・・』
「「なっ!?」」
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