第81話 扉の向こう

 扉を出た先でアボス達はフロウ達と合流した。

アボス 「すまん、どうやら待たせたようだな、どうしたんだ皆、思い詰めた顔をしているようだか・・・」

フロウ 「アボス、実は・・・」

 フロウは青の部屋での出来事を伝えた。

ハクブ 『・・・なんと、そのような事が・・・』

ジイン 「これは一刻の猶予もないですね・・・」

アボス 「うむ、この先の部屋に入る前に準備を整えるとするか、確か先程の戦利品で使えそうなのがあったな」

 収納ストレージから武器や防具を取り出した。

アボス 「さぁ、リーザにはこのスティレット、フロウにはこの革鎧だ」

フロウ 「・・・ちなみにアボス、その革鎧はどんな魔物から手に入れたのだ?」

アボス 「おお、よく聞いてくれたな、これは血湧き肉躍るスケルトン達からだ」

シャヤ 「・・・スケルトンは血も肉もないよ・・・」

アボス 「・・・たしかに・・・」

ジイン 「・・・フロウ、安心して全部ちゃんと清拭クリーニングしてるから」

 装備を整えた一行は一番奥の扉へ向かうが、近づくにつれ漂ってくる血の匂いが扉の向こうの惨状を連想される・・・


アボス 「みんな、準備はいいか、中は恐らく先程の赤い部屋より酷い光景になっているはずだ・・・」

 ゴクリと生唾を飲み込んだ音が聞こえ、みなひたいには汗がにじみ出ている、無理もない事だ・・・しかしはらを決めねば精神が持たぬからな、少し大仰おおぎょうにするのが丁度良い。


フロウ 「私の索敵では複数の気配がするな」

シャヤ 「・・・一つは大きな魔力を感じる・・・」

ルーラー『双頭獣オルトロスの様な怪物がいる可能性がありますね』

ジイン 「出来うる限りリスクは負いたくありませんが、手掛かりがない以上は危険な橋を渡ることも辞さない・・・これはやむを得ませんね」

ハクブ 『我は皆を守るだけだ、無論リーザ、お主もな』

リーザ 『・・・(私は良い仲間に巡り会えた、神に感謝せねば)・・・』

 一行は緊張感を保ちつつ慎重に扉を開けて中に入ると、目についたのは床をうごめくスライム達だった。

 より一層とキツい血の匂いはしているが、どうやらこのスライム達がをしてくれたお陰で視覚的には幾分と楽になった。

 周りに気を配らせて、ゆっくりと歩を進めていくと、最奥に三つ首の怪物が鎮座していた・・・獅子の身体と頭に狼の頭ともう一つは・・・リザードマンの頭だった・・・


リーザ 『!!!アアアアアアァァァァ!!!』

 そこにいる者の鼓膜をつんざくような叫び声でリーザが恐慌状態に陥っているのが見て取れた・・・その声により三つ首の怪物は、カッと目を見開いた。

  『ガアアアアアァァァァ!!!』

 獅子の口から放たれた炎のブレスがリーザに襲い掛かる!

アボス 「いかんっ!!リーザを守れぇぇ!」

ハクブ 『やらせんっ!水流幕ウォーターカーテン!』

 すんでのところでハクブの術が間に合い、炎のブレスを防いだが、リーザはその場に頭を抱えて蹲っている・・・


フロウ 「くっ・・・ジイン!ルーラー!リーザを連れていって!アボス!シャヤ!ここは私達で凌ぐよ!!」


 今、三つ首の怪物との戦いの火蓋が切って落とされた!

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