第77話 青の部屋②

 右の部屋はどうやら教徒達の寝所の様だな、ベッドが整然と並べられている。

 教徒達はここで何を想い考え巡らせていたのだろうか


ジイン 「アボスさん、微かにお香の匂いがしませんか?」

アボス 「言われてみれば・・・フロウ、そちらはどうだ、なにか匂うか?」

フロウ 「ええ、この部屋全体に漂っているようね・・・」

シャヤ 「・・・教徒達はお香を焚いて寝ている・・・イイ趣味をしている・・・」


 すると、側にいたリーザが突然、ベッドに倒れ込んだ

ジイン 「リーザ!・・・これは一体・・・」

ルーラー『皆さん!一旦、この部屋を出ましょう!この香りはもしや・・・』

 

 一行はリーザを抱えて、慌てて部屋を出た・・・ジインが消毒ディスインフェクト解毒キュアポイズンを掛けると、リーザの容態は持ち直したようだ。

 

リーザ 『・・・・・・』


フロウ 「・・・ルーラーちゃん、さっき香りがどうとか言ってたけど、何か知っているの?・・・」

ルーラー『あの香りは確か・・・耽霊香たんれいこうと呼ばれる秘香で過剰に吸引すると判断能力や思考能力の低下を招きますので、その使用並びに所持は当時から王国法で厳しく規制されています』 

ジイン 「耽霊香たんれいこう・・・聞いた事がある・・・ゾーエ山頂のみに群生する耽美草たんびそうから抽出される特殊成分で作られる秘香だと・・・」

アボス 「成程な・・・就寝時にその香を吸い込ませる事で教徒達を傀儡に出来る訳か・・・これは至るところで使っている可能性があるな」

シャヤ 「・・・そう、例えば捕らえたリザードマンや守備隊員に嗅がせれば意のままに操れる・・・」

アボス 「ならば、急いだ方が良いのかもしれぬな・・・」

ジイン 「ですが、まだ紫色の扉を開ける手立てがありません・・・残りの二部屋を調べなければ・・・」

シャヤ 「・・・二手に別れるのはどう?・・・私とフロウ、ルーラーちゃんにリーザの四人とアボス、ジイン、ハクブの三人で探す・・・」

アボス 「うむ、そうするか」

ジイン 「作業分担ですね」

フロウ 「では、時間を決めておいた方が良いな、今から三十分後に落ち合うとしよう」


 こうして、二部屋を男女に別れて探索することになった。

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