第76話 青の部屋

 一行は扉の前にある窪みに青の徽章を嵌め込むとガコンと音がしてロックが解除された。

アボス 「よし、入るぞ」

 ガチャリ・・・ギィィィ

フロウ 「索敵・・・周りに気配はなしだ・・・」

 既にシャヤの魔力感知で中に魔物と人がいるのはわかってはいるが、残念ながら位置までは掴めない、なのでフロウの索敵が必要となってくる、ちなみに罠の類いは看破かんぱのランタンを使用しているので問題はない。

 通路を挟んで扉が四つある・・・後顧の憂いを断つために全部調べておくとするか・・・まず手前の左からだ。

 ガチャリ・・・ギィィィ

 む・・・どうやら物置、いや資材置場のようだな・・・

アボス 「みんな、役立つ物があるかもしれん、手分けして探してみよう」

 「「「『『『は~い⚪△』』』」」」

 ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・十分後・・・

アボス 「・・・色々な物があるな・・・」

フロウ 「これほど多種多様の物資があるとは・・・やはり侯爵が一枚噛んでいるのは間違いなさそうだ」

シャヤ 「・・・噂のルギル商会が卸している・・・」

ジイン 「ルギル商会・・・侯爵領の数ある商会の一つですね、かなり際どい商法で成り上がった悪徳商会だと・・・」

アボス 「うむ、ギルドマスターによると、クバス男爵がパトロンになってから更に悪どさに磨きがかかったらしい」

ルーラー『となると、まさかここにある物資も粗悪品や低品質が混ざっているのですか?』

フロウ 「・・・察しがいいね、ルーラーちゃん・・・鑑定で確認したけど、さすがに粗悪品は少ないが中品質の物に低品質を巧く紛れ込ませているね」

 そういってフロウは回復薬が1ダース入っているケースを持ってきた。

フロウ 「これは低級回復薬だけど12本中3本は最低級回復薬・・・気休め程度の効果しかないわ・・・リーザが見つけてくれたナイフやナタにこの槍や斧も低品質・・・未使用にも関わらず錆が浮いている」

ジイン 「どうやら、武器屋の在庫処分品のようですね」

 リーザの尻尾がシュンとしている、見つけた時はブンブンと振っていたのに・・・

リーザ 『・・・・・・』

アボス 「まぁ、そう気を落とす事もない、その武器は俺が研いでおこう、少しはマシになるだろう」

 気落ちしているリーザにジインが、その旨を伝えるとリーザがキラキラした目で武器を全部渡してきた。

 ・・・うん、出来るだけ早く取り掛かろう。

 他にもハクブが光り物(いわゆるおサイフ)を見つけてきたり、ルーラーはチュニックや肌着類にサンダルや靴を持ってきたので用途を聞いてみると、この先に捕らわれている人がいた時の着替えだと言う・・・確かに捕虜や人質なら着の身着のままだろう、それを憂いての事か・・・流石は王女というべきか、身につまされる思いなのだろう・・・

 その衣服一式はシャヤの魔法袋マジックバッグに入れてもらった、女性用だから男が取り出すのは如何なものかという事だ、我がパーティの女性陣は麗しくもあり逞しくもある、これは負けてられないな・・・しかし女性はフロウ、シャヤ、ルーラー、そしてリーザと4人か・・・そういえばハクブの性別はどっちなんだ?・・・物言いからは雄だと思うのだが・・・

ジイン 「・・・スさん、ボスさん、アボスさん!」

アボス 「・・・はっ!な、なんだっ!・・・」

ジイン 「もうっ・・・すぐ没頭するんだから~そろそろ行きませんか?」

アボス 「あぁ・・・そうだな、みんなも良いのか?」

  「「『『『は~い⚪△』』』」」

 こうして四つある部屋の一つを後にした、次は手前の右の部屋を調べよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る