第69話 リザードマン

 前線基地の警邏していたワウリ副長に事の顛末を伝えて、助けた2人の保護を頼み、再び地下陵墓へ入ると、地下3階でリザードマンに遭遇、ジインとシャヤの巧みな交渉により戦闘は回避し、更に物々交換まで持ち掛けられた。


ジイン 「リザードマンが気に入る物って何だろう?」

ルーラー『彼等は武器が良いかと思います』

シャヤ 「・・・剣とか槍の類いかな・・・」

アボス 「確か左手に剣、右手に盾を構えていたな・・・左利きなら、このマイン・ゴーシュはどうだろう?」

 アボスは収納ストレージから、マイン・ゴーシュと呼ばれる短剣を取り出した、するとリザードマンの眼が大きく見開かれた・・・どうやら気になるようだ。

ジイン 「では交渉してみます・・・フムフム・・・えっ、これと交換なの?・・・まぁ、いっか」

 「「「『?????』」」」

 どうやら物々交換出来たみたいだ、リザードマンはマイン・ゴーシュを大事そうに持ち、去っていった。

シャヤ 「・・・で、ジイン、何と交換出来たの?・・・」

ジイン 「うん、このメダリオンだよ」

 それは大きな赤い徽章きしょうだった。

ハクブ 『む・・・その徽章は、もしや・・・』

フロウ 「何か知っているのか、ハクブ?」

ハクブ 『うむ、確か邪教の信徒が身に付けていた物だな、これで地下4階の扉を開けれるようになるはずだ』

アボス 「どういうことだ?」

ハクブ 『地下4階は扉の横には、その徽章を嵌め込む窪みがあり、嵌め込むと扉が開く仕組みの筈だ』

フロウ 「なるほど・・・そのような仕掛けなら信徒以外は扉を開ける事が出来ない・・・」

シャヤ 「・・・うまく考えている・・・でも何故リザードマンが徽章を?・・・」

ルーラー『彼等は攻撃的な性格で戦闘能力も高いのですが、生命を脅かしたりしなければ敵対することも有りません』

フロウ 「つまり、それは邪教の信徒とリザードマン達が争ったという事になるな」

ジイン 「あのリザードマンはこの先大丈夫かな・・・」

アボス 「ジイン、お前のその優しさは素晴らしい、だが俺達が彼にしてやれるのはあれだけの事さ、彼には彼の道がある、それは俺達が立ち入っても仕方のない世界だ・・・」

ジイン 「・・・・・・・・・」

ハクブ 『主よ・・・縁があれば、きっと又逢える・・・我と主がそうであった様にな』

ジイン 「ハクブ・・・そうだね、ありがとう」


こうして一行は地下3階を後にして、地下4階に向かった。

再び地下4階へ入った一行を待ち受けるのは一体・・・


 ~~地下4階~~

ハクブ 『前の事もある、まず我が偵察をしてこよう』

ジイン 「頼むよ、でも気を付けてね」

ハクブ 『主は心配性だな、では行ってくるぞ』

 

 ハクブは翼を羽ばたかせて奥へ消えていった。

ジイン 「・・・・・・」

シャヤ 「ジイン、ハクブなら大丈夫、私の魔力感知で位置はわかるから」

ルーラー『ジインさん、万が一にも危険が迫れば私も飛んで助けにいきます』

 ルーラーはフヨフヨしているが、いざとなれば凄まじいスピードで飛ぶ事が出来るのだ。

フロウ 「さ、一度地図を確認しよう」

 フロウは地図の描かれた羊皮紙を広げた。

フロウ 「この3枚の扉から反対側に点在する部屋も気にはなるな・・・」

 しばらくすると、ハクブが偵察から戻ってきた。

ハクブ 「ただいま、戻ったぞ」 

ジイン 「おかえり!ハクブ、怪我はない?」

ハクブ 「言っただろう、心配無用だと」

ジイン 「いや、念のためにまず身体を清拭クリーニングでキレイにして、翼を消毒ディスィンフェクトあとは治癒ヒールで回復を・・・」

シャヤ 「・・・過保護・・・」

ハクブ 「主よ、そのくらいで・・・皆、待っておるぞ」

ジイン 「はっ!す、すみません!」

アボス 「構わん、してハクブよ、首尾はどうだ?」

ハクブ 「うむ、道中には信徒はいなかったが、見たことの無い魔物がいたのが気にかかった・・・」

ルーラー『それはどのような魔物なんです?』

ハクブ 『見た目はウルフのようなのだが・・・生気が感じられんのだ・・・』

アボス 「それはアンデッドではないのか?」

ルーラー『この地下陵墓にはウルフはいません・・・』

フロウ 「!・・・まさか、邪教の信徒の仕業では?」

ジイン 「扉の向こうで、なにやら怪しい研究でもしているのでしょうか・・・」

シャヤ 「・・・昔に師匠から聞いた事がある・・・動物の死体を縫い合わせ、魔核を埋め魔力で動かす禁術を・・・」

アボス 「これは悠長にしていられんな・・・」

ジイン 「一刻も早く止めさせないと!」

ハクブ 『扉は赤と青があった、我々は赤い徽章しか持ってないから、必然的に赤い扉からだな』

 一行は慎重に急ぎ足で赤い扉に向かった・・・

 ~~赤い扉前~~

アボス 「よし、ここに徽章を嵌め込んでと・・・」

 ガコッ・・・ガチャン・・・

フロウ 「おおっ、鍵が開いたな・・・では乗り込むか」

アボス 「みんな、この先の戦闘は避けられない可能性が高い・・・準備は良いか?」

 全員が力強く、頷いた。

アボス 「よしっ、では行くぞ!」

 ガチャリ・・・


 赤い扉の先へ入ったアボス達を待ち受けているのは・・・

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