第68話 地下4階

 地下4階に下りた一行は重々しい雰囲気に息を呑んだ。

アボス 「より一層、空気が変わった感じがするな」

シャヤ 「・・・魔素が濃くなっている・・・」

フロウ 「ルーラー、この階にはどんな魔物がいるの?」

ルーラー『はい、まず3階層のポイズン・スライム、スケルトン、上位種のスケルトン・ウォーリアー、ゾンビで、新たにアシッド・スライム、イグニス・ファトゥスです』

ジイン 「アシッド?酸性のスライム?」

ルーラー『ええ、強酸を飛ばして武器防具を腐食、人体に掛かると熱傷します、ですが飛ばす動作がやや緩慢なので避けやすいです、魔術で倒す事をお勧めします』

アボス 「そうだな、武器が腐食してはかなわんからな」

フロウ 「ルーラー、そのイグニス・ファトゥスとは?」

ルーラー『はい、別名は愚者火と呼ばれ、東方諸国では鬼火とも呼ばれています、属性武器でないと物理攻撃が通りません・・・ですので水魔術が有効です』

ハクブ 『イグニス・ファトゥスなら、我の水魔術が尤も効果的だろう』

ジイン 「それは頼もしいな、そのときは頼むよハクブ」

ハクブ 『うむ、任されよ』

アボス 「それでは行くか、ルーラー、済まないがマッピングを頼んでも良いか?」

ルーラー『はい!地下4階もマッピングは出来てます、それと相当数の人間・・・邪教の信徒達がいると思われます』

シャヤ 「・・・出来るだけ邪教の信徒とは戦闘を避けていきたい・・・無理は禁物・・・」

フロウ 「そうだな、話し合いで済むならそれに越したことはない、あえて危険を冒すのは得策ではない」

 

 一行は羊皮紙に写し出された地下4階の地図を確認した。

ジイン 「この階も左右対称シンメトリー・・・真ん中の扉を2枚開けた先に地下5階への階段があり、左右の扉の先はかなり大きな部屋・・・邪教の信徒は左右に陣取っていそうですね・・・」

アボス 「そう考えるのが自然だな」

シャヤ 「・・・魔力感知で確認する・・・」

 その時、前方から声がした。

??? 「これはこれは斯様な場所にとは・・・崇高なる我が神のお導きか・・・」

 「「「「『『!!!!!!』』」」」」

 そこには、神官の服を纏った男が立っていた。

フロウ 「異教の神官か!」

神官  「冒険者が何の目的かは存じませんが、これより先は通行止めです、立ち去りなさい」

ジイン 「我々はキーレ守備隊員の安否確認に来ました、御存知ありませんか?」

神官  「・・・守備隊員というのは、この者達のことですかな?(ニヤリ)」

 男が指を鳴らすと、後ろから鎧姿の者が2人現れた。

神官  「彼等は、崇高なる我が神の忠実な兵士となりました・・・戻ってその様に伝えなさい」

兵士  「「「スベテハワガカミノタメニ!!!」」」

アボス 「ほう・・・つまり、安否確認は済んだので帰れと言っているのか?」

神官  「そういうことです、もう用はないでしょう」

アボス 「そうはいかん、まだ大司教を捕まえていない」

神官  「!・・・なんだと!貴様等、やはりな・・・お前達やってしまいなさい!!」

 兵士達は襲いかかってきた!!

アボス 「愚か者が・・・すでに終わっている・・・」

ルーラー『土流縛アースバインド!!』

ハクブ 『水流縛ウォーターバインド!!』

ジイン 「あれだけベラベラ話してくれたので、もう準備万端です、睡眠スリープ

 兵士(守備隊員)は捕縛して眠らせた。


神官  「くっ!!ここは一旦、退くしかない・・・」

 神官は慌てて逃げていった。

シャヤ 「あ、逃げた」

神官  「これは逃げていません、一時撤退です!貴方達、あとで覚えておきなさい!」

フロウ 「ふぅ・・・間抜けな神官で助かった・・・」

アボス 「ルーラー、ハクブ、ありがとう、捕縛完了だ、さてこの2人を正気に戻さねばな・・・ジイン、頼むぞ」

ジイン 「はい、まずは鎮静セデーション、そして解呪ディスペルと、これで良し・・・ところでこの2人はどうしますか?」

アボス 「放置しておくわけにもいくまい・・・他の隊員達の行方が気にはなるが、まずは前線基地に連れて帰ろう、収納ストレージ

 

 アボスは車輪付き大型担架ストレッチャーを出して、2人を乗せて前線基地に戻った。

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