第58話 はぐれ魔物?

 ~~翌日~~

 4人は前線基地にある、地下3階に通じる階段がある門扉もんぴの前に来ていた。

 門番として守備隊員が2人いたので話を聞いてみると、扉を開けると細長い通路が続き、その先に階段があるのだが途中にが現れる事があるらしい。

 細長い通路に現れるので戦闘は避けられず、その相手に手こずるようでは、地下3階以降ではかなり苦戦を強いられるそうだ・・・


ジイン 「手こずらなければ苦戦する事はないと・・・」

アボス 「そういう事になるな、だが地下3階の構造や魔物の種類、更にどんな罠が仕掛けられているかが分からない以上、慎重に歩を進めなければならない」


フロウ 「罠は看破のランタンで位置を回避して、私の鑑定で種類を見抜いて無力化しよう」

シャヤ 「・・・魔力感知を使っていく・・・」

ジイン 「そういえば、この次元の腕輪って、地下陵墓でも使えるのかな?」

アボス 「そうだな、試しに使ってみたらどうだ?」

ジイン 「そうですね、地下3階に小部屋があれば、そこで使ってみます」

フロウ 「では、そろそろ出発しようか」


 4人は門扉を開け、更にその奥にある重厚な扉を開けて中に入った。


シャヤ 「・・・魔力感知発動・・・」

アボス 「よし、看破のランタンに火を灯すぞ」

ジイン 「・・・今のところは光りませんね・・・」

フロウ 「まあ、一本道だからね」

  ~~~~~~~~~~~~~~~~

 


 警戒しながら更に通路を進むと、左側に扉があった。

アボス 「?・・・この扉は・・・」

ジイン 「門番の人の話には出てこなかったですね・・・」

フロウ 「何もないから言わなかったのではないか?」

アボス 「どうする?、無視して地下3階へ行くか?」

 3人がそう話していると、シャヤが突然、

シャヤ 「!待って!・・・魔力感知・・・これは一体・・・???」

ジイン 「シャヤどうしたの?」

シャヤ 「・・・赤でも緑でもない・・・これは黄色・・・何故こんな反応が・・・」

フロウ 「なに、魔物でも人間でもないというのか・・・」

アボス 「これは、看過出来んな・・・よし、俺が扉を開けて中の様子を確認しよう」

 

 アボスは左手に盾を持ち、右手で静かに扉を開けた、その後ろではフロウが弓を、ジインが槍を構えている、シャヤもすぐに魔術を撃てる体勢だ。

  ギィィと音を立てて扉は開くと、アボスは滑り込む様に中に入り、3人もそれに続いた。


    「「「「・・・・・・・・・」」」」

 さほど広くないが、入った途端に気温が低く感じられた。

シャヤ 「・・・奥にいるけど・・・敵意がない?・・・」


 4人は目を凝らすと奥から、ぼぉっと蒼白い炎のような物が浮かび上がった・・・


アボス 「むっ!スピリットの類いか!皆、戦闘準備を!」

シャヤ 「アボス・・・待って・・・交渉してみる・・・」

フロウ 「シャヤ、大丈夫?」

ジイン 「待ってシャヤ、僕も一緒に行くよ」


 シャヤとジインは身振り手振りでスピリット(仮)と対話(?)をしている・・・


アボス 「なぁフロウ、スピリットと交渉が出来るのか?」

フロウ 「う~ん、魔術か聖術で念話とかするのかしら?」


 そんな話をしていると、シャヤが右手を挙げ、親指を突き立てた、どうやら交渉は成功したようだ。


アボス 「おっ、上手くいったようだ」

フロウ 「シャヤ、ジイン、お疲れさま」


 聞けば、このスピリット(仮)は、なんと初代国王の娘さん・・・いわゆる王女らしい。

 それを聞いたフロウは儀式礼カーツィを、俺も慌てて、片膝を突いてこうべを垂れた。

シャヤ 「・・・2人とも大丈夫・・・ルーラーちゃんも気楽にして下さいと言ってる・・・」

フロウ 「こら!シャヤ、王女殿下をちゃん付けするんじゃないの!」

ジイン 「まぁまぁ、ルーラー王女からのご要望ですので」

 

 ・・・シャヤとジインのコミュニケーション能力がスゴイ事になってるな・・・

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