第53話 ~馬車内~四面八臂
一同は辺境伯を伴い、牛馬亭へ向かった、アボス達は馬車内でそれぞれの考えを口にした。
フロウ 「・・・アボス、大司教が立て籠もっているキーレの地下陵墓だが入った事はあるのか?」
アボス 「あぁ、昔に1
シャヤ 「・・・制限?・・・」
ジイン 「百道迷宮のような人数制限があるんですか?」
アボス 「いや、あそこは地下2階に地下街のような前線基地があるんだが、そこを通らないと地下3階に降りれなくて、1
フロウ 「なるほど、つまり前線基地で地下3階以降から来る魔物の侵攻を食い止めているという事か・・・」
シャヤ 「・・・どんな魔物がいるの?・・・」
アボス 「地下1階は、迷宮ラット、迷宮毒蜘蛛、迷宮大蛇だったかな」
ジイン 「魔物は百道迷宮と変わらないんですね」
アボス 「あぁ、だがハッキリ言って実入りは少ないな、一応は宝箱もあるにはあったが・・・」
シャヤ 「・・・地下2階の魔物は?・・・」
アボス 「確かラットと大蛇は複数で現れたな・・・スケルトンとゾンビは単体だったと記憶している」
ジイン 「しかし前線基地の関所があって大司教は一体どうやって潜り込んだのでしょうか?」
フロウ 「おそらくは初めから地下陵墓に立て籠る腹積もりだったのであろうな・・・王都から程遠く、あまり人が立ち入らない場所として王族の地下陵墓は打って付けだからな」
シャヤ 「・・・冒険者も地下陵墓には入らない・・・」
ジイン 「そうなんだ・・・そうするとアボスさんは何故に地下陵墓に行ったんです?」
アボス 「当時は1
シャヤ 「・・・私達も入ってない・・・」
フロウ 「地下陵墓より稼げる場所が周りにあったからな」
ジイン 「・・・・・・・・・・・・」
ジインは考えていた、もし地下陵墓に入るのにギルドの許可が必要なら登録が出来なかった自分はどうなるのか・・・
そんな彼のなんともいえない表情を見たアボスは開口一番、ジインにこう言った。
アボス 「ジイン、心配するな、地下陵墓に入るのに冒険者ギルドの許可は必要ない、迷宮探索ギルドのランク2パーティーが行くのだ、胸を張れ!」
フロウ 「その通りだ、尻込みも気後れもない!」
シャヤはジインの手をそっと握り、
シャヤ 「・・・ジイン、一緒に頑張ろっ・・・」
ジイン 「・・・みんな、ありがとう・・・」
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実はアボスはギルドマスターのベリルから地下陵墓探索を命じられていて、その際、ジインの過去を伝えて処遇を伺っていた
アボス 「リーダー、ジインは以前、冒険者ギルドの登録を断られています・・・しかし実力に関して言えば、そこらの有象無象の冒険者などでは相手になりませんが・・・本当に介入はないのですね?」
ベリル 「アボスよ、
アボス 「・・・申し訳ございません・・・愚問でした」
ベリル 「そんなことは構わぬよ・・・儂だけではない、ロンドネ女史もフィアーもレイテも認めておる、勿論ジインだけでなくフロウ嬢、シャヤ嬢、無論アボス、お前もだ」
アボス 「勿体ない御言葉・・・皆が聞けば大いに喜ぶ事でしょう・・・」
ベリル 「そうかそうか!では又、手合わせを頼むぞ」
アボス 「あ、それはお断りします」
ベリル 「なんで!」
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