第52話 領主様との謁見②
~~応接室内~~
アイラード「では、改めて、此度の件は誠に感謝致す・・・本来ならば、携わった全ての者を招きたい所だが、そこはご容赦願いたい」
辺境伯は一同に深く頭を下げた。
アイラード「まず、パーティー
「「「「はい!」」」」
アイラード「そなたたちはならず者の捕縛、並びに人質の救出と治療に尽力した、この功績を称え、金一封を贈呈致す」
アボス 「はっ!ありがたき幸せ!」
俺達は一礼をして後ろに下がった。
同じように、フィアー司祭、ロンドネ女史、レイテ支配人、ベリルギルド長と行われていった。
アイラード「さて、皆も分かっているとは思うが、これで終わった訳ではない・・・首謀者を止めない限り、第二、第三の事件は起こるだろう・・・皆の知恵を借りたいのだ」
(・・・確かにアイラード辺境伯の言う通りだ・・・ならず者達を捕まえた所で所詮は末端・・・痛くも痒くもないだろう・・だがイータクアー侯爵の取り巻きを減らしていくのも悪くない・・・)
考え込んでいると横にいたジインが手を挙げた。
ジイン 「アイラード様、発言させていただいてもよろしいですか?」
アイラード「おお、ジイン君か、構わぬよ」
ジイン 「ありがとうございます、まず私達はギルドマスターから、この誘拐事件を企てたのはイータクアー侯爵だと伺いました、この認識で間違いないでしょうか?」
アイラード「うむ、大方はそうだな」
ジイン 「ありがとうございます、では、侯爵を糾弾したとして有罪にする事は可能でしょうか?」
アイラード「・・・それは無理だろうな・・・イータクアー侯爵は狡猾な男だ・・・一切の痕跡を残さない、ならず者が自供したとて侯爵に行き着く事は不可能だ」
ロンドネ 「それなら、ミーシャ達に呪詛を掛けた大馬鹿者を取っ捕まえて吐かせたらどうだい?そいつなら侯爵との繋がりはあるかもしれないだろ?」
フィアー 「確かに、あれほどの呪詛だと、上位媒体がないと発動は難しい・・・出所を探せば行き着く可能性は有る」
アイラード「なるほど・・・まずは呪術師に関しての情報収集か、おそらく貴族のお抱え術師だろう」
レイテ 「アイラード様、心当たりがおありなのですか?」
アイラード「うむ、クバス男爵の所に妖しげな術師がいると聞いた事がある」
ベリル 「クバス男爵ですか・・・あのルギル商会のパトロンの一人ですな」
アボス 「リーダー、ルギル商会といえば強引な手法で成り上がった、イータクアー侯爵領の商会ですね」
フロウ 「その噂は私達も耳にしたな、法ギリギリの悪どい事も平気でする商会だと」
シャヤ 「・・・安い代わりに品質はイマイチ・・・」
ベリル 「商人の風上にも置けんような連中だ、
(リーダーは商売に関しては常に真剣だからな、怒るのも無理はない)
アイラード「ベリル・・・温厚なそなたがそこまで怒るとは・・・どうやら、ルギル商会がこの事件の鍵を握っているようだな、詳しく調査しよう」
アボス 「アイラード様、もう1つ気掛かりな事がございます、発言してもよろしいですか?」
アイラード「うむ、気掛かりな事とは?」
アボス 「はい、実はならず者の頭領が逃亡先に遺跡の町キーレと言っていたのですが、なんでも地下陵墓に叛逆者が立て籠っているそうです」
アイラード「・・・その話なら私も王都で聞いた・・・この国の大司教グレゴイシスが突然叛旗を翻し、王家の秘宝である封魔の水晶を奪ったそうだ、大司教ともあろう方が何故?と様々な憶測が飛び交っているようだ」
フィアー 「なんということだ・・・グレゴイシス大司教がなぜ、そのような真似を・・・」
レイテ 「遺跡の町キーレと言えば、ガルバン・カルツオーネ伯爵の領地では・・・確か今は御子息が領主代行をなさっているはず・・・」
ロンドネ 「・・・一難去ってまた一難・・・妹夫婦の次は甥っ子とは・・・参ったね・・・」
ベリル 「アイラード様、このような事が続くとは考えられませぬ・・・もしや、イータクアー侯爵とも関係があるのではないでしょうか?」
アイラード「確かに解せぬな・・・レイテ殿、カルツオーネ卿は今、どちらにいるのかな?」
レイテ 「はっ!牛馬亭にて療養しております」
アイラード「ならば、皆で参ろうぞ!此度の事はカルツオーネ卿にもお伝えせねばならぬ」
こうして、アイラード辺境伯と共に牛馬亭に向かった。
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