第51話 領主様との謁見①

 馬車に揺られること数十分・・・一行は領主邸に着いた。

ベリル 「さぁ、着いたぞ、ここが領主様の御屋敷だ」

アボス 「おぉ~ここが領主様の?・・・」

ジイン 「えっ・・・」

フロウ 「これは思ったより・・・」

シャヤ 「・・・ちっちゃくない?・・・」

 4人は大きい御屋敷を思い浮かべていたので、あまりの小ささに驚いた。

レイテ 「フッ、やはり驚いたようだね」

ロンドネ「ここの領主は倹約家でね、大きな屋敷など不要だと言っているのさ」

フィアー「そうだね、大きければ大きいほど維持費が掛かるから勿体ない、それにお金を掛けるなら民に還元すべきだと・・・いやはや他の領主達には耳が痛い言葉だろうね」

ベリル 「そのせいで他の領主や貴族には煙たがられているがな、まぁ立ち話もここまでにしておこう、領主様がお待ちかねだ、行くとしよう」

 

 ~~領主邸前~~

一同は門番に要件を伝えると門を開けてもらい中に入った。

 ~~領主邸玄関~~

執事長 「お待ちしておりました、どうぞお入りください」

 ~~領主邸内~~

アボス 「中は・・・凄くシンプルだな」

ジイン 「僕はこのくらいの方が綺麗で良いと思います」

フロウ 「私も同意見だ、落ち着いた感じが良い」

シャヤ 「・・・殺風景・・・」

ロンドネ「これ、こういう時に使う言葉は無味乾燥だよ」

フィアー「二人とも、なかなかに毒舌ですな」

レイテ 「みなさん、お静かに、領主様が来られましたよ」

 コツコツコツと足音がした方を見ると、そこに現れたのは見るからに堂々たる偉丈夫な男性が立っていた。

 その姿を見た俺達4人は即座にひざまづいた。

ベリル 「これはこれは、アイラード辺境伯直々のお出迎えとは・・・恐れ入ります」

アイラード「うむ、呼び立てて済まぬな、ベリルギルド長、それにレイテ支配人、ロンドネ女史、フィアー司祭よ、息災でなによりだ・・・」

 ギルドマスター達が揃ってお辞儀をした。

アイラード「そう、畏まらないでくれ・・・後ろにいる者達が期待のパーティー四面八臂しめんはっぴだね」

 アイラードがアボス達4人に鋭い視線を向けた。


アボス(・・・す、凄まじい氣だ・・・ジイン達が畏縮するほどとは・・・恐らくリーダーやレイテさん達に勝るとも劣らん実力だ・・・本当に領主様なのか?)


レイテ 「アイラード辺境伯もお変わりなく・・・こちらの4人を紹介してもよろしいですか?」

アイラード「是非、頼むよ、4人とも顔を上げてくれないか」


 アイラード辺境伯からの言葉で、俺達4人は顔を上げた。

アボス 「お初に御目にかかります、四面八臂しめんはっぴメンバーのアボスと申します」

ジイン 「同じく、ジインでございます」

 俺とジインは辺境伯に向かって、深くお辞儀をした。

フロウ 「フロウと申します、お見知りおきを」

シャヤ 「魔術師シャヤです、よろしくお願いします」

 片や、フロウとシャヤの礼は、片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋を伸ばしたまま挨拶をした、これはカーツィと呼ばれる、お辞儀の一種だ。

 2人とも流れるような美しい所作だ。

 過去にこういう経験があったのだろうか?

 実は、貴族の御令嬢だとか・・・まさかな・・・


アイラード「・・・これは、丁寧な挨拶をどうも・・・(あの2人、確かどこかで見たことが・・・)では応接室でお待ちしておりますぞ、執事長、案内を頼む」

 そう言って、アイラード辺境伯は奥に向かった。


執事長 「それでは皆様方、応接室まで御案内致します」

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