第37話 階層主との戦い

第1階層主ゴブリンチーフとの戦闘は一方的な展開だった。

 先ずは作戦通りにゴブリンチーフとの1対1《タイマン》にするべく、取り巻きのゴブリン(緑)×2体をフロウが長弓で瞬殺、もう1体の(赤)もシャヤの新魔術「雷のサンダーアロー」で弱らせた所へジインのフレイルで撲殺した。

 焦ったゴブリンチーフは戦斧を力任せに振り回すが、

アボス「遠心力頼みの大振りなど、永久に当たらんよ」

更に焦ったのか大きく振りかぶったところへ、「それは悪手だな、シールドバッシュ!」ドォォン!!

「ガッ!?」ゴブリンチーフは盾での攻撃をモロに喰らい、揉んどりうって倒れこんだ。

アボス「残念だったな」

慌てて起きようとするゴブリンチーフの頭に思い切り長剣を叩き込んだ! ドゴン!! 頭を守っていた兜は大きくひしゃげ、ゴブリンチーフはそれきり動かなくなった。

アボス「ふぅ・・・終わったぞ、みんな」

ジイン「お見事です!お疲れ様でした!」

フロウ「完膚無きまでに打ちのめしたな」

シャヤ「・・・与し易かった?・・・」

アボス「まぁ、打ち下ろすか、薙ぎ払うが攻撃方法だからな、至極読み易い上に稚拙だった、それより、みんながゴブリン達を倒してくれたお陰で倒す事が出来たんだ、ジイン、フロウ、シャヤ、ありがとう」

 3人は照れくさそうにしている・・・どうやら誉められ慣れていないようだ・・・

ジイン「アボスさん・・・あっ!見て下さい!出口前に宝箱が有りますよ!」

フロウ「階層主撃破のご褒美か?」

シャヤ「・・・中身が楽しみ・・・」

 木の宝箱ではなく、鉄の宝箱に4人は破顔一笑した。

フロウ「先ずは罠の確認をする・・・うん、仕掛けはなし・・・鍵も掛かっていないな、では開けるぞ」

 ガチャン、ギィィィ

宝箱を開けると、中には魔核と赤い石の指輪、肩掛け鞄に古い銅貨が数枚入っていた。

アボス「これはゴブリンチーフの魔核か?」

フロウ「どうやら、そのようだ、それに指輪・・・この石はガーネットのようだ・・・」

ジイン「ガーネット・・・柘榴石ざくろいしの事ですね」

シャヤ「・・・マジックバッグ・・・」

アボス「第1階層主にしてはかなり良い方だな」

フロウ「何か基準でもあるのか?」

アボス「大まかだがな、3階層程度の極小迷宮だと、何にも出ない事もあるし、出ても綺麗なだけの石とか、鉄の破片とかもあったな・・・」

ジイン「宝箱にも当たり外れがあるんですね」

シャヤ「・・・これは当たりかな・・・フロウ、鞄を鑑定して欲しい・・・」

フロウ「おぉ、そうだった、簡易鑑定・・・うん、拡張機能は3m四方、防汚、防水・・・」

アボス「ほぅ・・・なかなか良いな」

フロウ「指輪も鑑定してみるか・・・石はガーネット、装着者の生命力を高める効果がある」

アボス「うむ、これも良い品だ、それにしても然したる怪我もなく階層主を倒せたのは重畳ちょうじょうだった」

ジイン「そうですね、作戦が功を奏して何よりです」

フロウ「階層主のゴブリンチーフは決して弱くなかったが私達とは相性が悪かったな」

シャヤ「・・・次は2階層・・・」

アボス「そうだな、だが急いては事を仕損じる、先ずは帰ってゆっくりと身体を休めよう」

ジイン「迷宮を出る迄は気を緩めずに行きましょう!」

フロウ「あぁ、私には温泉が待っている」

シャヤ「・・・美味しい食事がしたい・・・」

アボス「はははっ、帰ったら鶏豚けいとんだな」

 

 こうしてアボス達は迷宮を後にした。

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