第33話 ギルドにて③

 コンコン・・・ガチャ・・・

職員「失礼します、ギルドマスター、アボス様方をお連れ致しました」

ベリル「おおっ、待っておったぞ!」

「「「「失礼します・・・」」」」

レイテ「やぁ、久しぶりだね」

(?・・・なぜレイテさんがここに・・・)

アボス「リーダーじゃなかった、ギルドマスター、私達にどんなご用件でしょうか?」

ベリル「アボスよ、かしこまった物言いはいらぬ、此度のジェイク討伐ご苦労だった」

アボス「本体とはどういう事ですか?」

「「「??????」」」

ベリル「そういえば話してなかったな、迷宮に取り込まれた探索者は魔物化して幻体と本体になるのだ」

アボス「なっ・・・」

フロウ「前に私達が倒した元探索者はもしや幻体なのか・・・脱出するのが精一杯だったので探索者カードは見ていないが・・・見落としたのかもしれないな・・・」

シャヤ「・・・フロウ・・・」

レイテ「もし、幻体なら少し厄介だね・・・」

 それまで黙っていたレイテが口を開いた。

ジイン「レイテさん、それはどういう意味でしょうか?」

レイテ「とにかく奴等は執着心が強い・・・いつかまたフロウさんとシャヤさんの前に現れるかもしれん・・・」

「「・・・・・・・・・」」

 フロウとシャヤは青い顔になり、俯いてしまった・・・

アボス「フロウ、シャヤ、心配するな、そんな連中など全部纏めて叩き斬る!」

ジイン「その通り、所詮は魔物と変わりありません、対策はいくらでもあります!」

 二人が決意に満ちた顔で力強く言葉を発した。

フロウ「・・・アボス・・・」

シャヤ「・・・ジイン・・・」


ベリル「ガハハハハッ!!流石は儂の秘蔵っ子だ!!そうでなくてはな!」

レイテ「ジイン君、いい啖呵たんかだったよ、実に気に入った」

ベリル「そんなお前たちにプレゼントだ、先ず討伐報酬の金貨10枚(50万モル)、そして儂から金貨10枚だ」

レイテ「私からも金貨10枚を進呈しよう」

「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」

ベリル「ん?4人とも何を呆けておる、これで終わりではないぞ、更に・・・収納ストレージ・・・あった、これじゃこれじゃ」

 机の上には革の鎧と青銅の盾に麻のゲートル、それに長弓とフレイルが置かれた。

アボス「リーダー、これは?・・・」

ベリル「何を言っとるアボス、隊商キャラバンの時に置いていったお前の持ち物ではないか、忘れおったか?」

アボス「・・・いや、そんなはずは・・・ゲートルなど・・・」

ジイン「あぁー!そうなんですか、ギルドマスター、わざわざありがとうございます!」

 ジインは片目をパチパチさせている!

アボス「どうしたジイン?目が痛いのか?」

ベリル(アボス・・・お前は相変わらず腹芸が出来ん男よの・・・見ろ、3人とも呆れておるではないか・・・)

ジイン(こ、こんなに分かり易いサインを出しているのに・・・)

フロウ「アボス、せっかくギルドマスターが置いといてくれたんだ、受け取ったら?」

アボス「いや・・・しかし・・・」

ベリル「ええい!しかしももないわ!はよう、受け取らぬか!」

アボス「は・・・はいぃぃぃ!」

 (やれやれ、ようやく受け取ったか・・・全く、呆れる馬鹿正直じゃわい)

ジイン「アボスさん、僕はフレイルがいいです」

アボス「えっ?」

フロウ「私は長弓がいいな、そろそろ新しいのが欲しかったんだ」

アボス「えっえっ?」

シャヤ「・・・麻のゲートル頂戴・・・」

アボス「いや、ちょっと・・・」

ジイン「革の鎧と青銅の盾はアボスさんで、良し!これで振り分け完了!」

アボス「・・・はい・・・ありがとう・・・」

 (???よく分からんが、まぁ、いいか・・・)

 無理矢理、納得したアボスであった。


 

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