第23話 おもてなし②

~~ギルドを出て~~

アボス「フロウ、セグトーチの外湯は知っているか?」

フロウ「急にどうしたんだ・・・外湯?・・・詳しくは知らないな・・・」

シャヤ「・・・宿の温泉と違う?・・・」

ジイン「外湯とは宿泊施設学校外の共同浴場の事で、宿の温泉は内湯と呼ばれているんだ」

アボス「では、説明しよう、フロウ、セグトーチには様々な病気に対応する温泉宿があるな?」

フロウ「ええ、数ある宿の中から私達が牛馬亭ぎゅうばていを選んだのは外傷に効く温泉があるのが決め手だったわ」

シャヤ「・・・探索者にも分け隔てなく接してくれるのも良かった・・・」

ジイン「そうですね、湯治宿だと探索者は敬遠されがちですから・・・」

アボス「まぁ、牛馬亭ぎゅうばていは支配人のレイテさんが元探索者だからな、事情もわかっているのもあるが・・・それにギルドの簡易宿泊所は勿論、探索者専用宿も風呂なしが多い・・・そこで共同浴場、つまり外湯だな、探索者カードを提示すれば格安で使えるが、使えない外湯も存在する」

フロウ「アボス、使えないとは割引がないと解釈したら良いのか?」

アボス「うむ割引のない外湯は専ら湯治客専用か、効能の違う温泉だからな」

シャヤ「・・・違う効能?・・・」

ジイン「効き目の事ですね、ちなみに牛馬亭ぎゅうばていの泉質は硫酸塩泉りゅうさんえんせんです」

フロウ「硫酸塩泉りゅうさんえんせん?」

ジイン「ええ温泉に入った時に何か匂いがしませんでしたか?」

フロウ「そういえば何か焦げたような匂いだったな・・・」

シャヤ「・・・私には甘い香り・・・」

ジイン「それは硫酸塩泉りゅうさんえんせんの3泉質せんしつの1つ、石膏泉せっこうせんです」

「「?????」」

アボス「脱衣場の壁に立て掛けていなかったか?そこに泉質せんしつと効能が書いていた筈だが・・・」

シャヤ「・・・記憶に無い・・・」

フロウ「そんなのあったかな・・・」

ジイン「・・・ちなみに効能は切り傷、冷え性、皮膚乾燥症です」

アボス「おっ、そうこう話している内に目的地に着いたぞ」


~~目的地???~~

フロウ「この立派な建物は?」

アボス「ここは女性人気が高い外湯でな、フロウに入って欲しい温泉の1つだ」

シャヤ「・・・確かに周りは女性が多い・・・」

ジイン「この外湯は美人の湯と言われています」

フロウ「何!!美人の湯!!早く詳細を!!」

シャヤ「・・・詳しい情報カモン・・・」


・・・2人の食いつき方が凄いな・・・ジインがビビッてるぞ・・・

ジイン「ちょっと、2人とも目が怖いんですけど・・・」 


・・・仕方ない・・・助け船を出すか・・・

アボス「ここの外湯の泉質せんしつ重曹泉じゅうそうせんでな、浸かるとツルツルすべすべの肌になるので、「・・・美しい肌はより美しく、そうでない肌はそれなりに・・・」と、専らの噂だ、まさにフロウに打ってつけの温泉なんだ‼さらに・・・ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ!・・・ま、待って待って‼続きを聞いてくれ!」 

 フロウの氷の微笑みにアボスは命の危険を感じた、言葉を選んでいかないと非常に不味い事になる・・・

アボス「さ、さらに、今回は特別に最高級マッサージをお付けしています!是非、ご堪能ください!」

 ~フロウの氷の微笑みが解氷した~

(ハァッ、ハァッ・・・助け船のつもりがこちらが沈没する所だった・・・)

 ~フロウは満足気にしている!~

シャヤ「・・・それはフロウだけ?・・・私は?・・・」

 ・・・シャヤは物悲しそうな表情だ・・・

アボス「とんでもない‼シャヤには一緒に入って貰って、リポートという重要任務をお願いしたい」

 シャヤはこちらをチラリと見て、「・・・マッサージは?・・・」と問いかけてきた。

ジイン「勿論、マッサージ込みで、ただ、フロウさんがメインなので若干短か目になるけど・・・」

シャヤ「・・・それはわかる・・・フロウは念入りに・・・」

フロウ「少し、引っ掛かる言い方だが・・・まぁ、良いか」

「「お二人様、ご案内‼」」 


~~こうして、二人は温泉に入っていった~~

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