第18話 休日 ~フロウとシャヤ~

迷宮探索を終えて2日間の休みとなった。


私達は女性専用の衣服店で肌着と普段着を購入した後、魔術書を買いにロンドネさんの道具店を訪れた。 道具屋のロンドネさんは元探索者で魔術の造詣が深く、シャヤが師匠と仰いでいる方だ。 初老の女性で現役時代は「五元素使いの魔女」と恐れられたそうだ。(ちなみに五元素とは火、水、風、土の四元素に雷を加えたもの)

「・・・師匠・・・私に合う魔術を見繕って欲しい・・・」

「おやおや、しばらく来なかったのにいきなり何だい」

「・・・魔術書を買うお金も用意できた・・・」

「この子は相変わらずだね・・・フロウ・・・シャヤの代わりにあんたが状況を掻い摘んで説明おし・・・」

「は、はい・・・実はかくかくしかじかで ・・・」

「・・・成程、あんた達は命を助けて貰った男達とパーティーを組んで今に至る訳だね・・・でその男達の名は?」

「・・・アボスとジイン・・・早く魔術書カモン・・・」

・・・シャヤは招き猫のポーズをしている・・・


「・・・相変わらずだね、この子は・・・そうかいアボスの若造とジイン坊やかい」

「ロンドネさん、2人をご存知なんですか?」

「そりゃあ勿論この町であの2人を知らない奴はさね、仕事は丁寧で迅速、いやな顔1つせずこなしていくからね、生粋の仕事人だよ」

「・・・2人とも優しい・・・師匠も同じ位優しい・・・だから魔術教えて・・・」

「はん!おだてても何も出ないよ!・・・シャヤ、あんたにはこれをやるよ」

ロンドネは魔術書をシャヤに手渡した。

「それは火玉弾の魔術書だよ、手解きをしてやるから40秒で用意しな」

「・・・師匠は時間に厳しい・・・」

「当り前さね、時は金なりと言うだろう、さぁ2時間で覚えられなかったら追加料金を頂くよ!」

 シャヤは小さな声でボソッと「・・・銭ゲバ師匠・・・」

フロウは慌てて「お、おいシャヤ、聞こえるぞ」

 

「もう聞こえているさね・・・シャヤ、特別メニューにし・て・あ・げ・る・よ」

・・・ロンドネの声は怒気を帯びている・・・

「・・・ヤバい・・・フロウ助けて・・・」

「もう遅いさね、フロウ!しばらく席を外しな・・・そうさねぇ買い物にでも行ってきな、ほれ」

ピンっとフロウに投げ渡したのは・・・1000モル大銅貨だった。


「それでコーヒーでも飲んで、2時間ほどしたら戻っておいで」

「は・・・はい、ありがとうございます、では後程・・・」

(シャヤ、すまないが魔術の習得を頑張ってくれ・・・)


シャヤ、火玉弾の習得完了!

 

 フロウとシャヤの休日1日目終了

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