第6話 模擬戦闘・・・
~訓練所受付~
「すまない、
「はい、お時間はいかがいたしましょうか?」
「そうだな・・・フロウ、1時間でいいか?」
「あぁ、構わない」
「かしこまりました。準備してお持ちいたしますので少々お待ちください」
~5分後~
「・・・アボス、頼んだのは
「・・・あぁ、確かにそう言ったのだが・・・」
・・・?なぜ、ギルドマスターがここにいる?・・・しかもなぜか鼻歌交じりに機嫌良く準備をし始めている・・・
(まぁ聞くだけ無駄だが聞いてみるか)
「・・・あの、ギルドマスター、何をしているのですか?・・・」
「ん?何って準備だよ、準備、いやぁ久々の戦闘だ♪腕が鳴るわい♪」
(も、猛烈に悪い予感がしてきたぞ・・・まさか)
「・・・戦闘ですか?、誰が誰とするんです?」
「何をとぼけておる、お前とワシに決まっておるだろうが、そちらのフロウ嬢には
「確か、俺は2体で頼んだはずなんですが・・・」
「ええい、ゴチャゴチャ言うでないわ、アボスよ、怖気づいたのか?、昔のお前はもっとこう・・・ギラギラして飢えた狼のようだったぞ、ここ何年の間に随分丸くなったのか?」
(ここで昔の話を出してくるとは・・・な、なんて人だ、フロウは興味津々で聞いてるし・・・あっ、ジインとシャヤも来ちまった)
「アボスさん、ギルドマスターと模擬戦をするんですか?」
「面白そう・・・ジイン、談義はまた後でする・・・試合見る・・・」
「いや、勝手にギルドマスターが言ってるだけだ、俺は、するとは言ってない」
「えっ、しないんですか?じゃあ僕がしようかな・・・」
?・・・ジイン、何を言ってるんだ?
「ジイン、待って、私も戦ってみたい・・・ここは譲って欲しいな・・・」
?シャ、シャヤも何を言って・・・???
「待つんだ、2人とも、私も
???・・・フ、フロウまで・・・3人がそれぞれ喧々諤々と言い合っている・・・
いかん・・・このままだと収拾がつかないぞ・・・
「僕が・・・私が・・・いや私が」
「いや、3人とも待て、俺がやる」
「「「どうぞどうぞどうぞ」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・な!なんじゃそりゃあ!!・・・・
「やっと兄さんが言ってくれた♪」
「・・・もう言質は取った♪・・・」
「アボス、頑張ってね♪」
・・・・嵌められた・・・・
「ようやく、決まったか、さぁアボスよ、戦うぞ!」
「り、理不尽だぁぁぁぁ!!」
「「「アボス、ファイト~♪」」」
~15分後~
「ハァッ、ハァッ、く、くそっ、やはりこうなるか・・・」
「どうした、どうした、アボスよ、どんどん来るが良い」
「まだまだぁ!!」
「・・・ア、アボスさんが、まるで赤子扱いだ・・・」
「・・・強いなんて次元じゃない・・・化け物・・・」
「・・・アボスの攻撃を軽く捌いている・・・」
~更に15分後~
「・・・くそっ、ダメだ!まるで歯が立たんとは・・・だがせめて一矢報いる!!」
俺は
「うむ!うむ!その意気込みや良し!!それでは儂も少し本気を出すか!むぅん!!!」
かたや、ギルドマスターは木剣を上段に構え対峙する。
(・・・・や、やはりあの頃と同じだ、いささかも衰えていない・・・悔しいが段違い、いや桁違いだ・・・とても俺の相手ではないっ・・・)
「どうしたアボスよ、こないのならこちらからいくぞっ!」
(ぐぐっ・・・ま、まるで山が圧しだして来るようだっ!!!・・・)
「うおっっー!!!!!」
「ぬううぅぅぅん!!!」
ガッ!!!ガッ!!!!ビシィッッ!!!
「ぐっっっ!!!」
「!!!!!ア、アボスさぁぁぁん!!!!!」
「「!!!ア、アボスゥゥ!!!」」
「それまでだ!!!!!!!!」
その時、訓練所に一際、大きな声が響いた。
俺は打ち込まれた手首を押さえながら声のした方を見ると、そこには「牛馬亭」の支配人が立っていた。
「あ・・・あなたは・・・なぜここに・・・・」
「勝負はついた、ジイン君、アボスさんの手当てを」
「は、はい! さ、アボスさん、こちらへ」
「す、すまない・・・・・」
「「私達も手当てします」」
・・・こうして模擬戦は終わりを告げた・・・
~救護室~
「はい、これで良しと」
「済まぬ・・・3人には情けない姿を晒したな・・・」
(・・・
「何を言ってるんですか、僕だったら1分も立っていられませんよ」
「・・・凄まじい強さ・・・魔術も通じるかわからない・・・」
「私も同意見だな、常軌を逸した攻撃だった、あれで少しの本気とは・・・」
「昔よりは俺も少しは戦えたが・・・それでもあのザマだ、リーダーの底が知れん・・・」
「確か、ギルドマスターってアボスさんが昔いた
「・・・そうだな、以前は棒切れで軽くあしらわれていたな・・・4対1でも全く歯が立たなかった・・・」
「あ、また遠い目をしている・・・」
その時コンコンと救護室のドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
ギルドマスターのベリルだ
「おう、アボス、具合はどうだ?」
「見ての通りですよ、今回もボロ負けです。ていうか一生勝てそうにないです」
「そうでもないぞ、今回は良かった、いや、今までの手合わせでは一番だったな、素晴らしい成長だ、これなら迷宮一階層の魔物とは十分に戦えるぞ」
「リーダーからお墨付きをいただけるとは有難いことです」
ベリルはジイン、フロウ、シャヤの3人を見た。
「フロウ嬢、得物は弓に替えるんだな?」
「は、はい、アボスに勧められて・・・」
「悪くない選択だ、牽制攻撃にはもってこいの武器だからな、近づかれたら短剣で対応すればいい、次はシャヤ嬢は・・・・成程、魔術特化か・・・」
「・・・今までは2人だからそうだった・・・でもこのパーティーなら立ち回りを変える・・・」
「ほう?・・・聞いてもいいか?」
シャヤはチラッと俺を見たので俺は無言で頷いた。
「魔術だけだと魔力枯渇すると役立たずになる・・・なので投擲武器で牽制攻撃する・・・そうすれば魔力を温存出来る・・・」
「うむ、よく考えている、最後はジイン坊やか・・・
むっ、これは・・・聖術に魔術に・・・これは興味深い・・・」
「「「??????」」」
「・・・リーダー・・・ジインの奥が見えないでしょう?」
「この儂の眼をもってしても視えぬとは・・・こんなことはあいつ以来だ・・・」
「アボスさん、ギルドマスターが固まってますけど、一体どうしたんですか?」
「・・・あぁ、それはだな・・・」
???「そこから先は私が話そう」
・・・・・!!!!!!!!!!!!・・・・・
「あ、あなたは・・・」
「・・・牛馬亭の支配人・・・」
「な、なぜ、ここに・・・?」
「ん?ベリル、私の紹介をしていなかったのかい?」
・・・まさか、リーダーの名を呼んだということは・・・
「あぁ、すまん、この後に言うつもりだったんだが・・・少し面食らってな・・・紹介しよう、知ってるかもしれんが牛馬亭の支配人でレイテだ」
「お見知りおきを・・と言っても4人とも顔馴染みだね」
(俺とジインは家を借りているからな・・・フロウとシャヤは牛馬亭の宿泊客か)
「・・・話を戻そうか・・・ジイン君の事だろう・・・おそらく私と同じ・・・」
「そうだな、お前さん以来だ、視えない資質は・・・」
「ジイン君、少し2人で話さないか?」
「え?レイテさんとですか?」
「あぁ、君には有意義な話になると思うがどうだい?」
「・・・・わかりました、アボスさん、行ってきます」
「あぁ、気をつけてな」
レイテはジインを連れて救護室を出ていった。
それから暫くして2人がが戻ってきた。
「ただいま、戻りました」
「「「おかえり」」」
レイテ「アボス君、この後の食事なんだが
「勿論です、皆で行かせて貰いますが・・・」
レイテ「ふふっ、その顔は支払いの事だね、私の奢りと言いたい所だが、それだと遠慮が出るだろう?」
「はぁ、まぁそうですね」
「だからこうしよう、私の奢りでベリルの払いだ、どうだい?いい案だろう?」
すると後ろでベリルが「ブーーーッッ」と水を噴き出した。
ベリル「ゲホッゲホッ!!待て待て!!レイテ!!どうしてそうなる!!」
レイテ「それは当然だろう、アボス君に怪我をさせたんだから、食事代は出すべきじゃないのかい?」
ベリル「ぐ、ぐぬぬぬ・・・し、しかし、あれは不可抗力であって・・・」
「ギルドマスターが出さないんなら僕たちが出します」
ベリル「えっ?・・・・」
「そう・・・私達3人で支払う・・・」
ベリル「いや、ちょっと・・・」
「3人で頭割りしますのでギ・ル・ド・マ・ス・タ・ーは払わなくて大丈夫です」
(まさか、こ、この流れは・・・・)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・出すよ!!!!!!!!・・・・・・・・」
「「「ありがとうございます!!!」」」
レイテ「決まりだね、さぁ4人とも遠慮はいらないよ、個室を用意しているのでゆっくりと今後について話し合ってくれたまえ、最後に支払い担当者にお礼を忘れずにね」
「「「「ギルドマスター、ゴチになります!!!!」」」」
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