第5話 それから・・・・③
~数日後~ギルド応接室にて~
「「先日は私共を助けていただき、誠にありがとうございました!」」
「フロウさんシャヤさん、お二人とも頭を上げてください、私達は当然の事をしたまでですよ、同じ探索者仲間ではないですか」
フロウ「しかも、助けてもらっただけではなく、教会での施療費や服代まで出していただいて誠に申し訳ない」
シャヤ「お陰様で路頭に迷わずに済みました。重ね重ねお礼申し上げます」
2人は深々と頭を下げて感謝の意を表した。
そこにジインが「私も昔にアボスさんに助けていただいたんです、そのアボスさんも昔に
(あっ、ジインここでその事を言うなって・・・・ギルドマスターの顔が思いっ切りニヤけてるよ・・・・・)
ギルドマスター「よしよし!!、この話はここまでだ、彼女達の気持ちも十分に伝わっただろう、アボスよ、そこで折り入ってお前に相談がある」
アボス「相談?・・・リーダー・・・じゃなかったギルドマスターからですか?猛烈に悪い予感しかしないんですけど」
ギルドマスター「ガハハハッ、まあそう言うな、今お前さんは迷宮に潜る仲間を探しておるが難航しておるそうだな」
アボス「はい?難航ってまだ募集してから数日しか経っていませんが・・・」
ギルドマスター「そこでだ」
アボス「いや、どこで?」
ギルドマスター「まあ、聞け、ここにいるお嬢さん2人がお前さんのパーティーに是非とも入りたいと相談を受けてな、どうだ?良い話だろう」
アボス「ま、待ってください、確かに有難いお話ですが、彼女達なら他からも勧誘はあるでしょう? 既に引く手数多のはずでは?」
ギルドマスター「ほう?その口ぶりだとお嬢さん方の事は知っているようだな」
アボス「勿論です、このギルドの将来有望な新人でしょう、最速で階級「1」に昇格した才色兼備の美女2人組で依頼の達成率も非常に高く、指名依頼も数多い、これで知らない方がおかしいですよ、さらに・・・」
トントン
ん?背中をノックされたぞ、ジインか、なんだ?
ジイン「アボスさん、アボスさん、もうそのくらいで・・・見てください・・・2人とも顔が真っ赤になってます」
アボス「え?あ・・・・・・」
ヤバい、つい熱くなってしまった。
「「・・・・・・・・・・」」
ギルドマスター「ガハハハッ、そこまで知ってるなら話は早い、ま、あとは若い者同士で話し合ってくれい、あ、結果は教えろよ、じゃあなアボス」
アボス「言い方!お見合いじゃないんだから!」
ギルドマスターは笑いながら去っていった。
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
天使の通り道
アボス「・・・コホン、では気を取り直して、フロウさん、シャヤさん、先程の話ですが私達のパーティーを選んだ動機をお伺いしたいのですが」
フロウ「はい、受けた恩を返すにはパーティーに入り共に探索するべきだと2人で決めました、その後ギルドマスターにあなた方との約束を取り付けて貰ったのです」
シャヤ「それともう1つあります・・・正直2人だと探索に行き詰っていた・・・そこで【ゼロ・ブラザーズ】の噂を耳にしまして・・・」
・・・・・ゼ、ゼロブラザーズってなんじゃぁぁぁ!!!・・・・・
アボス「すみません、ゼロブラザーズとは一体?・・・」
フロウ「え?ギルドマスターが仰ってたんですけど・・・御二人のパーティー名ではないのですか?」
俺はジインと顔を見合わせた、ジインも頭を振っている・・・ということは・・・
アボス「あのクソリーダー!勝手に名付けやがったな!!」
ジイン「ア、アボス兄さん、どうしましょう」
アボス「お前も乗るんじゃないっ!」
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
アボス「・・・はっ!すみません・・・取り乱してしまいました」
ジイン「アボス兄さん、それでどうするんですか?」
アボス「・・・断る理由はない、願っても無い話だ、フロウさん、シャヤさん、あなた方をパーティーに迎え入れます、どうか宜しくお願いします」
「ジインです、よろしくお願いします」
フロウ、シャヤ「「こちらこそよろしくお願いします!」」
こうして俺達のパーティーに新たに2名、加入した。
・・・・・・早くパーティー名を考えよう・・・・・・
その後、応接室を出て、ギルド受付係にパーティー登録を申し出た。
受付「はい、4名様でのパーティー登録申請を承りました、パーティー名は【ゼロ・カルテット】でございますね」
「え?いやまだ何も・・・・・」
受付「名前はギルドマスターよりお聞きしておりますが・・・何か?」
・・・また、やりやがった・・・・
受付「こちらの名前はお気に召さないでしょうか?」
アボス「はい、お気に召しませんね」
受付「では、ギルドマスターよりもう1つ伺っております」
アボス「・・・気が進みませんが、聞くだけ聞きましょう・・・」
受付「さすらいの4人組です」
「「「「・・・ダサッ!!!!」」」」
受付「さてどちらになさいますか?」
「「「「・・・・ゼロ・カルテットでお願いします・・・・」」」」
ジイン「それで、アボス兄さん、この後はどうしますか?」
アボス「そうだな、まずはオリエンテーションをするか」
「「「オリエンテーション???」」」
アボス「ああ、各々の役割を明確化して相互の連携を強化するための説明会と言えばわかるかな?」
ジイン「要は自己紹介みたいなものですね」
フロウ「成程・・・話し合いか」
シャヤ「それは必要・・・どこでする?」
「ギルドの訓練所でするとしよう、その後に確認も出来るから丁度いい」
~訓練所にて~
アボス「ではオリエンテーションを始めよう、因みに知られたくない事は伏せて貰って構わないぞ、何もかも言う必要はないからな、まずは俺からいこう」
アボス「名前はアボス、階級は数日前に「1」に昇級した、得物は剣で他の武器も一通り使える、パーティーでは前衛を担当予定だ、とまぁこんな感じだな」
フロウ「アボス殿、質問しても宜しいだろうか?」
アボス「畏まった言い方はなしだ、アボスでいい」
フロウ「わかりま・・・わかった、ではアボス、聞くが一通りとはどこまで使えるのだ?」
アボス「そうだな、おおよその武器は使えるな」
フロウ「凄まじいな・・・どこでそんな修行を積めば使えるようになるんだ・・・」
アボス「おいおい、勘違いしないでくれよ、使えるだけであって使いこなせる訳じゃない、因みに魔術はからっきしだ」
シャヤ「・・・使えるだけでも十分凄い・・・この後が楽しみ・・・」
ジイン「次は僕がいきますね、名前はジイン、階級は「1」得物はメイスですが他も使えます、パーティーでは回復兼盾役担当予定です」
フロウ「すまない、先程と同じ質問だが・・・」
ジイン「あ、僕はメイス以外は剣に槍です、あと聖術と少しの魔術が使えます」
シャヤ「!魔術・・・ますます楽しみ・・・語り合いたい・・・」
アボス「次は私だ、名はフロウ、階級は「1」得物は短剣、投擲、だな。手先は器用なので解錠は任せてくれ」
アボス「ふむ、フロウよ、弓矢は使ったことはあるか?」
フロウ「弓は獣狩りでならあるが迷宮ではまだないな」
シャヤ「・・・ただ、私たちは今は手持ちが寂しい・・・迷宮で武具を破損した・・・」
フロウ「・・・・・・・・・・・・・・・」
アボス「その心配には及ばん、武器防具は此方で用意するので問題ない、この後で試してくれないか?」
フロウ「そうか、そういう事なら・・・何か何までお世話になります」
シャヤ「最後は私、シャヤ・・・階級は「1」魔術師だけど、聖術も使える・・・早く確認したい・・・」
アボス「・・・よし、では武器と防具の確認をするぞ、
フロウ「?・・・アボス・・・確か魔術はからっきしだと言ってなかったか?」
アボス「ん?ああ、この
シャヤ「・・・たしか
ジイン「まあまあ、アボスさんですから」
フロウ「そうだな・・・深く考えないでおこう・・・」
シャヤ「・・・魔力を全振りしている?・・・いや・・・それでも・・・」
フロウ「あ、シャヤが思考の渦に入りかけてる・・・」
アボス「おーい、一通り出すぞ、確認してくれ」
ドサッ、ドサッと武具が
ジイン「アボスさん、多くない?」
アボス「量はあるが、店売りの入門用だけだぞ・・・弓、弓はと、有ったこれだ、そらフロウ、ショートボウだ、あと布の鎧と帽子にブーツだ」
シャヤ「む・・・フロウばっかり・・・私にも見繕って・・・」
ジイン「あっ、シャヤこっちに用意してるよ、ローブに樫の杖、帽子に靴と」
シャヤ「ジイン・・・優しい・・・そっちに行く・・・」
アボス「フロウ、そこに的があるから練習してみたらどうだ?」
フロウ「そうだな・・・アボス、せっかくだから練習に付き合ってくれないか」
アボス「別にいいが、シャヤ達は放っておいていいのか?」
フロウ「あぁ、大丈夫だ、ジインと魔術談義したいと言ってたからな」
アボス「そうか、ならば一緒にやるか」
~1時間後~
アボス「ふむ、やはりフロウは弓の才能があったな」
フロウ「あぁ・・・自分でも信じられんが・・・アボスはどうだ・・・それは弩か?・・・聞くまでもなかったな、凄まじい腕だな・・・」
アボス「俺は久々だが体が覚えているものだな、それにしてもフロウが僅かな時間でここまでとは恐れ入ったな、狩人さながらだな。よし的当てはここまでだ、次は受付で
~ジインとシャヤ~
「・・・であるから・・・ここは・・・」
「なるほど・・・・とすれば・・・・」
・・・・2人の談義はまだまだ続く・・・・
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