第2話 初日
アルマ王国最北端、辺境の地にある「セグトーチ」、王都より馬車で約20日間の距離にあり、最寄りの町からでも乗合馬車で3日間はかかる温泉町である。
額の汗を拭って乗合馬車から降り、「ふ~やれやれ、ようやく着いたか、長かったな・・・さて、まずは迷宮探索ギルドに向かうとするか・・・」
ここのギルドは独特で、「迷宮の迷宮による迷宮の為のギルド」と称されている。
システム自体は冒険者ギルドとさほどは変わらないが、 ルールが厳しい。
まず、階級「0」からのスタートで他のギルドでの階級が高かろうが「1」にならないと迷宮に入る事が出来ない。
「1」になると迷宮探索が出来るようになる。 これが冒険者には不評らしくて、わざわざ辺境くんだりまで足を延ばす者が些少である。
かくいう俺も1人でここまで来た、冒険者ギルドでここの噂を聞き腕試しと湯治目的でここに来た。
昔、
・・・・・まぁそのことは追々話す事にしよう・・・・・・
大通りを歩いていくと「迷宮探索ギルド」が見えてきた、なかなか立派な建物だな。
さぁ新たなる冒険の始まりだ、気を引き締めて行くぞ。
・・・・・・よし、無事に登録出来たな、これがランク「0」のカードか・・・・・・
後は宿の確保だな、受付で訊いてみるか・・・・・
・・・どうやら町にはランク別で宿屋があるらしい、だがランク「0」の間はギルド内の簡易宿泊所を無料で使える上に食堂も温泉も格安で使えるのがありがたい所だ。 ただし依頼を定期的にこなさなければならない。
これで宿も食事も目途が立ったな、ではどんな依頼があるのか確認しよう。
ランク「0」はここだな、どれどれ・・・・・・・
「薪割り」「空き家の掃除」「ドブさらい」「皿洗い」「各店での下働き」etc・・・・・
・・・成程、冒険者ギルドのFランクの依頼とほぼ同じだな、そりゃあDランク以上の冒険者なら受けない仕事ばかりだ、報酬もそれなりだし、なによりプライドの問題だろう、人手不足になるわけだ。
が、俺から言わせれば、下らないプライドだ、それにここのギルドの取り決めだ。
ランク「0」スタートで迷宮探索は不可、町の様々な依頼のみ受注、駆け出しや初心者が受けるような仕事、いいじゃないか、寧ろ初心に帰ってやるべきだ。
俺にはどの依頼も魅力的だ、それこそ迷宮探索よりもまずやってみたい。
この依頼1つ1つが人の為、ひいては町の為になるなら、金など問題ではない。
「薪割り」・・・コツは手斧を薪に少し当て、後はそのまま薪の底を地面にトントンと当てていれば、斧が薪の中にどんどん入り込み、自然と割れていく。
上から思い切り振り下ろしたり、力を入れる必要はほとんどない。
また、下まで斧を入れなくても、途中まで割れれば、あとは手でも割くことができる。鉈でも可
「空き家の掃除」・・・簡単そうに思えるが実はかなりの重労働、大きさにもよるが1人だと段取りを考えないと1日で終わらない、たかが掃除だと侮るなかれ
「ドブさらい」・・・側溝をシャベルで掬って泥やゴミを除去する、これも重労働
「皿洗い」・・・その名の通り、食堂での仕事、皿洗いだけでなくホール業務も請け負う(テーブルの後片付け、注文取り、ゴミ出し)
「各店での下働き」・・・使い走り、炊事、掃除、洗濯、下拵え、食堂の下働きは大変だが賄い付きが有難い
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