第4話 妹ベロニカ
アーサーも帰ってあの日と同様に自分の部屋で読書をしていると、
急に妹のベロニカがノックもせずに部屋に飛び込んできた。
「どうしたのベロニカ急に部屋に入って来て、
いつも部屋に入ってくる時はノックをしなさいと言っているでしょう。」
「そんな事どうでも良いのよ!よくも私を騙したわね!」
「騙した?」
「惚けないでよ、今日アーサー様が来たって聞いたのよ、
私に隠れてコソコソとアーサー様に会わないでよ。」
ああ、あの時と同じ様に愚かで安心する。
先ほどのアーサーとのやり取りが前回と少し違ったんで不安だったけど、
ベロニカの行動や言ってる事は前回と同じね、なら私も今は同じ様に受け答えするだけ。
こんな馬鹿な女でも前回はまだ妹として心配して注意とかもしてたのよね。
「私に言われても困るわ、私だって昨日聞いたのだもの、昨日お母様から聞いてないの?」
「聞いてないわよ、昨日は遅くまで今日あってた男と遊んだから。
それにお母様は、私の顔見るたびに小言ばかりで話したくないわ」
私も前回は少しお母様が苦手だったのよね、同族嫌悪というか。
でも生まれ変わってからは、彼女は彼女で苦悩していたんだと思うようになれた。
今日の事もわざと前日まで教えなかったんでしょうね。
家庭を一切顧みない糞親父に同情の余地は無いけど。
「貴方も何時迄も遊んでないで少しは落ち着ついて勉強でもしなさい」
「なによ、偉そうにお母様みたい。
私はお姉様と違って可愛いから勉強なんて必要ないのよ。
それで今日はアーサー様は何しに来たのよ、私に会いに来たんでしょ?」
「以前からの婚約に関して、正式に私に申し込みに来たのよ。
確かに凄くベロニカの事は気になさって・・・・なさってたけど。」
可愛いかと言われたら肉付きも良いし触り心地が良さそう。
でも絶対貴方はお父様似だからお腹に来るわよ。
今でも横っ腹に第一関節くらい行けるんじゃないかしら。
それにアーサーがベロニカの事を気にしてたかと聞かれるとそんな事ない気もするけど、
あれは照れ隠しね、私嘘は言ってないわよね。
「は?勿論断ったわよね?」
「無理よ、我が家は辺境泊でそこそこの家格はあるけど、
王族からの婚姻の申込みをむげに出来る訳ないじゃない」
「だからお姉様は馬鹿なのよ、お姉様の代わりに私が婚約者になれば良いのよ。
私の方が愛されているのだから。
もう良いわ、明日直接アーサー様に聞いてくるわ」
確かにベロニカの方が愛されているのは事実だけど、
馬鹿に馬鹿と言われるのは来る物があるわね。
通りすがりのタコに、このタコ!!って言われるくらいショッキングだわ。
それに部屋を出ていくなら、ドアを閉めてって欲しかったわ・・・
そう言えば私が処刑された日にベロニカっていたんだっけ、いない訳は無いのだけど思い出せない。
ゴロリ、ゴロリと転がる自分。
クルリ、クルリと回る世界。
それでも最後まで探したのは、私がしたっていたあの男の顔。
今回はきちんと最後まで二人を見届けてあげるわ。
明日アーサーと妹が会うならちょうど良い、どうせ夜まで逢瀬を重ねるんでしょう。
私は少しでも早くレオン君を毒から解放してあげたいから、明日は王城に行こう。
婚約はほぼ内定していたから王城の通行書もあるしいきなりでも問題ないはず。
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