第382話 行きたい人だけ行けば良いという結論
「デレス、今の話はどういうことだ」
「ニィナさん、喰いつかないでぇー!」
戻って来て早々、誤解させちゃったみたいだ。
「あくまでもモグナミさんを戦力的に譲ってもらえるかどうかを聞いたら、
勝手にアムァイさんが誤解しただけです、ほんっとうです、信じて下さい!」
「……わかった、信じよう」
ほっ、速攻で信じてもらえた。
「それでこっちの話ですが」
「うむ、どうなった」
「ナスタシアさんは個人的に凄く行きたいそうです、
補佐としてヘレンさんも、これならまあ楽して行けるかなと」
考え込むニィナさん。
「ボクも行くよー」
「アンジュちゃん?!」
「明日明後日お休みだしー」
そういやそうだったね。
「アンジュちゃんが行くなら私も」
「クラリスもか」
「やはり保護者は必要かと」
となると、居残りは僕とニィナさんだけ……?!
(お仕置が、ヤバい!!)
「いやクラリスさん、ここは任せましょう」
「はあ」
「アンジュちゃんヘレンさんナスタシアさんだけで、ちゃんとやれるかどうかを見極めたいです」
という理由を取って付けよう。
「デレス様がそうおっしゃるのなら」
「それに、いざとなったらアムァイさんも賢者ですし、ねえ?」
「ああ、もちろんだとも」
良かったー、思い出して。
「あとヘレンさんには八体のサキュバスが、アンジュちゃんにはイワモトさんが、ってイワモトさんは?」
「んーちょっとうるさいからしまったー」
「そっかそっか、うん、わかる」「だすー?」「現地でいいかな」
という事で、とばかりに立ち上がるアムァイさん。
「では早速行って準備しましょう、私の装備も向こうでリンゼンに用意させたいので」
「なんだ、もうか、これからすぐか」
「はいニィナさん、大切なお仲間をお借りします」
明日でも良い気もするけど、すぐ終わるのならね。
「アンジュちゃん、出来れば夕食までには戻るのよ?」
「あいあいー」
僕もヘレンさんに。
「ヘレンさん、ナスタシアさんへの報酬というか、
依頼を受ける条件をしっかり釣り上げてきて下さい」
「お任せ下さい旦那様、そのあたりは、しっかりと」
まあ、大丈夫かな。
「ナスタシアさんもね」「はいデレスご主人様」
という事でニィナスターライツの半分、
行きたい人だけシャマニース大陸へと再び飛ぶのであった。
「では、今回は私めが……行ってまいります!!」
ヘレンさんが転移スクロールを使うと一瞬で消えた、
少し静かになった室内、さあ、僕らはこれからというと……
「デレス様」
「あっはい、ストレーナさん」
「一度、天大樹(あまたいじゅ)というものを、見せていただきたいですわ」
何で知ってるのーーー?!
「えっと、どこからその情報を」
「幻術師のスフマ様が、ジュマジ様との雑談で、ですわ」
あんのじじい……すっかり仲良くなっちゃって!
「デレス、どうする」
「そうですね、まあ様子を見に行きたいとは思っていましたし、
あっ、でもこのメンバーだと飛べる人が」「空中へでしたら私が」
そっかそっか、
クラリスさんそんなマントを入手したんだっけ。
「僕を抱えて運べましたっけ」
「それも試してみようかと」
「そうですね、じゃあ行くだけ行ってみましょうか」
いつのまにか戻って来てた謎幻術師も一緒に転移魔方陣へ向かう。
(ティムモンス小屋では、ウチのテイマーが呑気にハンモックで揺られてら)
「バウワーさん、ケルピーの調子は」
「猿共と別れて安心したようじゃが、寂しくもあるようじゃな」
「そうなんだ」「ワシは散歩が楽になって良い」
そりゃそうだ。
という事で転移魔方陣へ。
「これを試させていただきます!」
ストレーナさんが転移人形シッキちゃんを持ってみんなと入ると……!!
「んふふ~~とんでいっちゃう~~~」
人形の妖しい声を共に……!!
(……うん、無事に到着だ)
いいけど使うたびにこの色っぽい声は、ちょっと恥ずかしいな。
「さささ、さっそく現場へ」
「ストレーナさん、そんな現場って!!」
何か事件でも起きたみたいじゃないかー!
「ふむ待て、その幻術師は必要か?」
ニィナさんが引っかかったみたいだ。
「何か問題でも」
「ストレーナ嬢の仲間だとしてもだ、秘密は最小限にしておきたい」
「わかりま……」「オレも少しなら飛べるんだがな」
うっわドスの効いた声!!
「お主、名前は」
「ハーゴだ」
「見たいのか」「そりゃあな」
かといって観光地にする気は無いんだけれども。
(うーん、なんとなくだけど、やめといたほうが良い気がする)
「ニィナさん、置いて行きましょう」
「デレスがそういうならそうだな、ここで待機していてくれ」
「……わかった」
まさかと思うけど、
何かで天使族を買いたがっていた例のなんだっけ、
ルミトコは秘書だっけ、あのあたりに情報が行ったら嫌だからね。
(とりあえず廊下へ、っと)
「あー、いらっしゃーい」
「えっ、ハーミィさん?!?!」
(翼が……天使の翼が、四割くらい、金色になってるううううう?!?!?!)
これはいったいぜんたい、何があったんだろう。
「ど、どうしたの、これ」
「ええっとこれはその、勇者様に、あれして貰ったおかげで……」
「ぼ、僕のせい?!」
あと白い羽根も何気に二割くらいは銀色だし!!
「これって、パワーアップしたの?!」
「はい、それはもう! デレス様のおかげですっ!」
「そ、そうなんだ」「空腹の辛さも和らいでますぅ」
ストレーナさんがまじまじと見ている。
「ほう、これが天使族……」
あっそうか、油断して隠匿かけてないのか、
でも常時発動じゃなかったっけ、一緒に行動してるからパーティー扱い?
まあいいや、バレちゃったものは仕方がない。
「ストレーナ殿、天使族の件は内密に頼む」
「了解致しましたわ、ズッキ様がご覧になりたいと言いそうですが」
「……その時は食事でも奢ってやれ」「ほっ、ほんとうですかー!!」
ハーミィさんは喜んでいるけど、
ストレーナさんは身に覚えがあるみたいでギクッとしている、
例のあの高額請求書を思い出したんだろうね。
「ハーミィさんだけ?」
「いえ、あとふたり」
「んっと、まあハーミィさんだけでいいや、ついてきて」「はいっ!!」
こうして天大樹(あまたいじゅ)へと向かったのであった、
ハーゴさんは残りの天使族にお茶でも出してもらっておこう、アマリちゃんでもいいけど。
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