第383話 猿の遊び場とアンマーーーイ!

「おや御主人様方、もうすぐ日が暮れますぞ」


 天大樹(あまたいじゅ)の根本ではジュマジさんが、

 八匹のキッドナップモンキーを遊ばせている、

 幹とかツタとかで飛び回って本当に楽しそうだ。


「ウッキーッ!」

「ウッキッキー!」

「ウキッキッキッキー!!」


 あれ、ジュマジさんって確かテイマーじゃないよね?

 と思ったら全然違う方向から声が。


「あっ、皆さん」


 少し離れた所から天使族のテーマリーさんが飛んできた、

 が、天大樹(あまたいじゅ)の触手というかツタに瞬時に弾き飛ばされる!

 相変わらず容赦ないなあ、と同時に嫌われてるんだなぁと。


「あいたたたた」

「テーマリー大丈夫?!」

「平気ですよ、衝撃は凄かったですが」


 心配したハーミィさんが速攻で様子を見に行った、

 テーマリーさんは翼を羽ばたかせながらゆっくり降りてくる、

 あまり樹までは近づかないように……あれ? ちょっとおかしいな。


(ハーミィさんは近づいても、弾かれなかったぞ?)

 

 お猿さんたちと遊んでいたツタのうち一本がこっちへ来た、

 僕らの前でぺこりとお辞儀、そして僕と握手、うん、懐いてる。


「ジュマジさんお猿さんの散歩ですか、テイマーでもあったんでしたっけ」

「いや、ティムは天使族じゃな」

「あっそうか、天使族ってみんな生まれた時からティム能力あったんでしたよね」


 雇っている理由のひとつもそれだっけ、

 こっちにティムモンスを置いている時の世話係、

 あと屋敷の留守番を奴隷ふたり(ひとりは少女)だけにやらせるのは、っていう。


(アマリちゃんが少女ってバレて、村の男連中に襲われでもしたら逃がす役割もある)


 このへん、ジュマジさんを奴隷解放したら少し解決する話なんだけど、

 バウワーさんみたいに奴隷解放したせいで? ユルユルダルダルのいい加減になられると困る、

 いやもちろんバウワーさんはまだ許容範囲内だけど、多分。


「わたしたちのー、はなしですかー」

「あっ、ええっとアマタツさん、天使族を近づけさせるから、攻撃しないであげて」


 コクリコクリと頷くツタ。


「もういいみたいだよー」

「「はーーーい」」


 天使ふたりが戻って来た。


「なるほど、天使族だと近づけないから、ジュマジさんも一緒に」

「手前まではテーマリー嬢ちゃんに連れて来てもらって、あとはワシがの」

「お猿さんたち、立体的に遊べてほんっと楽しそうですね」


 随分と高い所まで登っているのもいるな。


「デレス様、上から中を覗いてみましょう」

「あっそうか、クラリスさんの装備を試さないと」

「はい、こちらへ」


 ええっと正面から抱きつくのは恥ずかしいな、

 部外者のストレーナさんも居るし、って天大樹の見物で忙しそうだ、

 あんまり近づくとツタにしっしってされてるのが地味に面白い。


(クラリスさんを背にして、っと)


 後ろから抱きつかれる、うん、膨らみがなんていうか……

 そして力を込められたのち、ふわりとふたりして宙に浮く、

 足元が不安だがアンジュちゃんので慣れてるからそれほど怖くは……


(お猿さんが手を振ってる、ちょっとかわいい)


 天大樹(あまたじゅ)も前に来た時より成長していて、

 もうこれレベル3に上がってるんじゃないかって程だ、

 ならカスタマイズとやらもできるのでは……上から中へ入る。


(クラリスさんは拒否されないな、僕と一体になってるからかな)


 中といっても前みたいに幹から取り込まれるのではなく、

 さらに前にナスタシアさんが入れなかったような、上から入る内部空間だ、

 おお、実が、天大樹(あまたいじゅ)の実が、十個くらい赤々と実っている!!


(青いのもまだ百個近くある、半々のも多いな)


 着地すると実ったのを付けたツタがふたつ揺れてる、

 食べていいよって事なのだろう、ひとつづつ頂いて食べる。


「ありがとう、では、いただきまーー……っ!!」


(こっ、こ、これはーーー!!)


「アンマーーーーイ!!!」


 なんという濃厚かつ甘くて美味しい実なのだろうか、

 これ高級食材、いや単体で高級デザートだなこれは、

 しかも、みずみずしくって喉も潤う、うん、これ一個で一食になりそう。


「とんでもない美味ですわ」

「クラリスさんもそう思いますよね」

「はい、お土産に持って帰りましょう」


 食べ終わるとクラリスさんがタオルを渡してくれる、

 うん、口周りべっとべとになっても構わず食べてたからね、

 要求するとまたひとつづつ揺れた、一度に取って良いのはひとりひとつみたいだ。


「じゃ、戻りましょう」


 また無理して欲張ってくすぐり責めをされたらたまらないからね、

 そうして実を持ってみんなの前を戻ると天使族ふたりが凄い勢いで迫ってきた!


「実! それは、天大樹(あまたいじゅ)様のーーー!!」

「お願いします、お願いします、それを、それをどうか私に!!」


 必死すぎて、引く。


「えっとニィナさん、まずどうぞ」

「うむ、ご苦労」


 ニィナさんが食べるのをヨダレを出しそうになりながら見るハーミィさん、

 もうひとつの実を見続けているテーマリーさんはもうヨダレ出ちゃってるな。


「どうですか?」

「……素晴らしい」

「美味いじゃなくて、そうきましたか」


 すぐに食べ終わってクラリスさんからタオルを受け取る、

 さすが元公爵令嬢、汚れは少ない、一方テーマリーさんは、あっ、喰いつきそう!


 バシーーン!!


「はうーーーーっっ!!」


 あーあー触手に弾かれちゃった。


「アマタツさん、攻撃しないでって……あ、防御か」


 ツタがコクコク頷いている。


「ジュマジさんもどうぞ」

「ありがたいのう、アマリにもあげたいのう」

「えっと、あとまたすぐ取りに行ってもいいよね?」


 ツタに聞くと頷いている。

 ジュマジさんが食べている間、

 僕の前で並んで土下座する天使族。


「お願いしますお願いしますお願いします何でもします」

「食べさせて下さい、お願いします、食べさせてくださいー!!」


 地面におでこをこすりつけている、天使なのに。


「ほんとうに何でもしますからっ、私にできることならどんな辱めでもっ、

 またこの前の夜みたいに、デレス様をいっくらでも●してさしあげますからっ」


 こらこらこらこら!!


「私もです、私もまだ経験はありませんが、誠心誠意、一生懸命、●して……」

「デレス、この天使族、必死すぎて引くのだが」

「僕も引いています、食べさせてもらったお礼にしようとしている事に」


 ストレーナさんに僕が逆レ●プ狂いだとか思われたくないので、

 後で口止めに実を渡しておこう、という事はアマリちゃんとあと二個か、

 もう三個くらいはあったよね、それはシャマニース出張組のために取っておこう。


「あっそうだ、レベル3ならカスタマイズできるはず、ちょっと入ってみますね」


 僕は幹へと突っ込むと中へ取り込まれる!

 そこで見たものは、浮かび上がってきた文字は……!!


「現在メンテナンス中 しばらく経ってからお試し下さい」


 なにこれーーーー?!?!

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