オモチャ箱

山田 こゆめ

オモチャ

オレは人を殺した。

少年刑務所に服役中だ。

どうやらオレは罪を償っている最中らしい。オレの殺した奴等の冥福を祈れと言うが馬鹿じゃないのか。

オレには贖罪の気持ちなんて、これぽっちもねぇよ。それにオレだって考えてるさ、両親の事を考えて10代でやってやった。

顔名前は未成年で出ない事ぐらいしってたし、更生の余地ありで、罪も軽い。

殺した数も二人。死刑になんて、な、ら、な、い。

それに数年間我慢していれば、そのうち出れるしな。

まぁ多少の精神鑑定ぐらいは我慢してやるよ。

そしたら、晴れて新しい戸籍と名前をゲットして、新しい人生のはじまりだオレは勝ち組だ。ざまあみろ!


数日経ったある日、オレは他の刑務所に移動が決まった。

そこは簡素で綺麗な白い建物だ。

とても刑務所とは思えない造だ前に居た刑務所とは雲泥の差だった。

やっぱりオレは勝ち組だな、こんな良い所で暮らせるなんて、ここの職員だと言う男が施設を案内しながら、オレに一言

「考えた方がいいですよ。」

と、一体何が言いたいんだこいつは?ああ、もしかして、オレが殺した奴等の事か?だったら、くだらねーと思ったが、

「分かりました。」

いい子風で答えた。

なんせ、ここは刑務所だ取り敢えずは従順に従っている振りをした。

一通り説明すると職員は仕事が有ると行ってしまった。

オレはやる事も無くブラブラと外を歩くことに決めた。

まぁ外と言ってもデカイ塀に囲まれてはいるが、天気も良く散歩するにはいい。

それにしても、受刑者いねー。

部屋にでも籠もってんのか?引きこもりとかマジウケるな。

ふと人が視界に入った。

そこは塀の日陰にベンチと椅子が置いて有り、そこで男が本を読んでいた。

オレは意気揚々とその男に近き

「はじめましてーオレ今日から此処でお世話になりますー」

馬鹿にしたように言うと。

男はチラッと視線を上げただけで、また本を読み出した。

流石にイラッとし男の持っていた本を払って捨ててやった。

どうする?おこるか?ワクワクと待ってたのに、男は本を拾い、また読み出した。

何だコイツ気持ち悪。

もう、いいや他の所にでも行くかー。

今度は施設内のプレイルームに着いた。

そこでは人形と遊んで居る男が居た。

後ろから近寄り見ると、いい年の男がおままごとをしていた。

コイツもヤバイな。

関わるのよそうとしたが、いつの間にか男はオレを見ていた。

そして笑った。さっきの奴とは打って変わって、コイツは気味が悪い。

オレは仕方無く自室に戻る事にした、さっき職員に言われた部屋の名前が確か「おもちゃ」馬鹿にしている。

どうしてと職員に聞くと、此処の施設の名前がおもちゃ箱だと言われた。

此処を造った奴は相当おめでたい奴だったんだろう。

オレは疲れて自分のベッドで夜まで眠ってしまった。

夜18時ご飯だと起こされた。朝案内した職員だった。

どうやらここの施設の職員は、コイツ一人で管理していると、それも夜になると帰ってしまうらしい、どういった放任主義なんだか「だったら、夜に出歩いてても平気だよな?」

すると職員は馬鹿にした口調で

「暗くて、怖いですよ?夜は…。」

その言葉にカチンと来て

「ああ?怖くねーよ。オレが何をして此処に居ると思ってんだ?お前!いいぜ深夜になったら、散歩にでもでてやるよ。」

その言葉に職員が、鬱蒼と笑った。


深夜を過ぎたあたり。

オレは部屋から廊下に出た。

廊下には非常灯がついていた。

これぐらいだったら歩ける。

なんだよ全然平気じゃないかよ。

これ位だったら外に出ても平気か?

オレは肝試しでもするかの様に外に出た。

流石に真っ暗で何も見えない。

どうするか、少し考えて、そうだ昼間あの男が座って居たベンチ迄行って引き返すか、目的が有るのと無いのでは、意味が違うしなーそれに明日あの職員に言うにも話しやすいし、そんな事を考えてながら、手探りで歩いていると、暗闇にも大分慣れて来た。

うっすら白いベンチが見える。後もうちょっとでゴール。

何て考えて居ると………あれは、なんだ?


何か見える。

なんだあれ……。

其処にはどうしてか昼間の男が居た。

男はそこで本を読んでいた。

この暗闇で。

何で?

そして不意に男は本から顔を上げるとオレを見た。

オレは思わず後ずさりをした。

すると男はニタリと笑いながら、持っていた本から、栞を取るようにナイフを取り出した。

オレは叫んだ。

そして段々目が慣れて来たのか男が持っていた本の表紙が見えた。

『臓器の全て。』

オレは無我夢中で走った。

後ろも見ずに

「ハァハァハァ!」

死にたくない!死にたくない!死にたくない!この恐怖から逃れるように、必死に走った。

死にものぐるいで自分の部屋に入りドアを閉めた!

でもここは鍵が掛からない!

何処か隠れる場所は……オレはベッドの下で息を殺した。

どうにか朝まで持ちこたえれば、職員が来てくれる。

それまで待てば…

しばらくすると、

キィ、バタン。

キィ、パタン。

とドアを開けて閉める音が、オレを探してる。

廊下を歩いて居る音が段々大きくなってる。そして遂にオレのドアの前で止まり、

キィ。

「ん、ふふふ」

近づいてくる。

バレませんように!バレませんように!必死に祈った。

男の足が見えた。

しばらく男はじっとしていたが、

いきなり男はベッドにナイフを突き立てているようだ。

「ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!」

永遠に続くかと思った音が、ピタリと止まった。

このまま出て行ってくれ!頼む!すると男の足が出口の方に、ヤッタ!これで、助か、、


男と目が合った。

男がニタリと笑った。


早朝、いつもの様に施設の鍵を開け中に入ると、血の臭いがした。

職員はロッカーの中から掃除用具を取り出し。

昨日入った『おもちゃ』の部屋に、案の定ベットの下から何かを引き摺り出したかのような跡が、

「………。」

職員は黙って掃除をした。

一通り終わると今度は引き摺った後の血をモップで拭き取った。

引き摺った後は外迄続き、ベンチの所で終わっていた。

そこには男がいつもの様に本を読んでる。

でも昨日と違うのはテーブルの上には、臓器がキチンと綺麗に並んでいた。

職員はそれを黙認すると、掃除用具を持ち施設に戻り片付けた。

そして今度はプレイルームに行くと、いつもの様に、男が人形と遊んでいた。

その人形は一般の成人男性の大きがあり、目が無かった。

無いと云うより糸で縫われていた。

その隙間から綿が出ていた。

職員はそれを確認して管理室に戻った。

そしてスマホを取り出し。

「もしもし、私です。はい。新しいおもちゃは気に入ったようです。それで次のはいつ届きますか?」

電話口から

「しばらくは、無理だな。そう、更生の見込みが無い10代は手に入らないんだよ。もっと馬鹿が欲しいんだがね。」

「そうですか。でも当分は大丈夫そうです。大分あのおもちゃ気に入っているようなので」

「そうか、では次が決まったら連絡する。」電話が切れた。


此処は、猟奇殺人専門の施設。

収容されて居る人間は猟奇殺人者だ。

定期的におもちゃを渡さないと、あいつらは職員に手を出そうとする、その被害を出さない為にも反省も無く更生の見込み無しの判断された10代の馬鹿がおもちゃとなる。

加害者の両親にも了承済みだ。

殺されても構わないと

それに、この先出て来られても困ると、だったら少しでも役に立つのならば、それに自分が殺した人達の気持ちも、味わう事が出来たんだ。

社会の癌となる者が死んだんだ何の問題も無い。

さて、次のおもちゃは、いつくるのだろうか?

早くおいで?

皆君が来るのをまってるよ?

楽しく遊ぼう

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