第16話
大型宇宙船が銀河周縁部を飛行していた、そして何の特長もない惑星系に近づいていった、こんな辺鄙なところのM型惑星では銀河中心からかなり離れているから種子は届いていないのが普通であった、生命の発生は未だ謎であった、確かなことは生命発生後その種子は宇宙空間を漂い伝播していった、けして個々の惑星上で発生したのではなかった、折角種子が惑星上に定着してもエネルギー効率は低いままが普通であり、知的生命体まて進化するにはミトコンドリアが必要であったが、これがなかなか伝播しなかった、ミトコンドリアの配布がこの宇宙船の仕事であった、ミトコンドリアはその惑星の鉱物特性、大気圧、磁気特性など配慮して適正なタイプを選択する必要があった、我々自身はタイプB-3高酸素リン酸タイプであった。
「さっさと撒いて帰ろうぜ」同僚のxb1は面倒くさそうに言った「そうはいっても、現状を調査するから」
科学主任は呟いた、惑星は光合成エネルギーを変換するタイプしかいなかったが酸素量はかなり累積していた、大気圧は我が母星と変わらない、在庫もB-3タイプがあまっている、これを撒くことにしよう、B-3は共生体として細胞に入り込みやがて子孫に引き継がれていくだろう、若干の変異はあろうとも、将来そのタイプは識別可能であった。宇宙船は浅い海にB-3をばら撒き静かに母星に帰って行った
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