第12話
「こっちに来い、そんな狭い船じゃ息が詰まるだろう」もっともな話だ、キャプテンはコロナが心配だつたが移動するよう命じた「五郎、転送準備だ」あきれた五郎が言った「転送なんてスター・トレックの見すぎやんか」
皆は文句たらたらに埃だらけの宇宙服に着替え調査船のハッチに入っていった。
治が迎えに来ていた、首から下は凛々しかった連邦直属船のキャプテンらしいいでたちであった、腹も出ていない、しかし首から上が問題だった、なんと禿げている、手塚は思わず苦笑した、治は見逃さず言った「まぁーそういうことだ、皆寛いでくれ、ここは広いし美味いものもある、個室は自由に使ってくれ、それはそうと医者はいないか?さっきの戦闘で一人ケガを負った診てほしい」「医者はいないが、昔免許を持っていた者がいる、銀 診てやってくれ」銀は頷いた、銀は医者として連邦に入隊した、最初の十年は順風満帆であったが、コロナの蔓延により開発されたワクチンの不完全性に気が付き即時中止を訴えたが、反逆分子として免許剥奪され収監されていたらしい、そして現在は短期労働者として貨物船に乗り込んでいたのだ。
医療機器は揃っていた、患者も戦闘のせいもあるが、ほとんどは持病が悪化したものだ、よくこんな持病持ちが宇宙を飛べるのか不思議であった、コロナによる人材払底のあおりでのお目溢しなのだろう。
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