6「蒼氓」とおじさん、の巻
「……大丈夫ですか。寒くはありませんか?」
優しい女性の声が、頭と背中にゴザをかけて座り込むわたしの
その声を聞いた
柔らかな優しい声。
「……『お
言いながら女性は
娘さんの白い手からお汁粉の
「……食べてからで構いませんので、これ読んでみてください」
そう言って優しい声の娘さんは、わたしの椀を持ってない方の手にそっと一枚の紙を握らせた。そのまま娘さんは地面に
娘さんは自分の小さな両手の中にある
「……けして諦めないでください。あなたの居場所は必ずありますから」
優しくて、どこまでも暖かい言葉。
わたしは自分の顔を上げて、目の前の娘さんの顔を見る。
娘さんは頭に被ったフードの下で微笑みながら、混じりっけのない瞳でわたしを見ていた。
娘さんのフードの胸元に、『
「…ファリス殿下」
立ち上がった娘さんは、もう一度わたしに笑顔を向けた。被ったフードの下で、娘さんの長い金髪と『
「……食べてくださいね。器と
娘さんはそう言って部下のまだ若い男とともに、わたしの前から去っていった。わたしのように雪の中で道の上に座り込んでいる別の男の元へと、『お汁粉』を届けるために。
娘さんと若い男が去るのを見送ったわたしは、娘さんから頂いた甘いお汁粉を食べた。娘さんの温かい手から離れたお汁粉は少し冷めてはいたが、久しぶりの汁物の温かさと豆の甘みと細切れの芋と肉の味が、わたしの冷え切り
ふと、わたしは空を見上げた。
わたしの上に降っていた雪は、いつの間にか止んでいたようだった。
…………
わたしが、ゆっくりとした動作でお汁粉を食べていると先程とは別の娘さんに声をかけられた。
娘さんは自分は『ギルド』の職員だと名乗った。
「……異世界の方、ですよね。安心してください。見捨てませんから」
ギルドの娘さんは、後半は自分自身にも言い聞かせるかのようにつぶやいた。ギルドの娘さんは『メイドさん』とでも言うのか、なんだかメンソレータムのキャラクターのような格好をしていた。
「…先程、ファリス殿下から頂いた『紙』を読むことはできますか?」
そう言われて、さっき
「『この刻印を読み取ることが出来た方は……
バルダンギルドまでおいでください』……?」
紙に描かれた紋様にはそう書かれているようだ。
こんな複雑な紋様としか思えないものがなぜ読めるのかは、わたし自身にも分からなかった。
「…はい。あなたのお名前を教えてくださいませんか?」
ギルドの娘さんに聞かれ震える声でわたしは答えた。
「……【
続く…
≈≈≈
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