第175話 エドソンVSアン姉ちゃん
ナナとカレンとの試合が終わると、次は、エドソンとアン姉ちゃんとの試合が始まる。
もう、完全にグラスホッパー男爵家頂上決戦である。
有り得ん修行により、修羅と化したアン姉ちゃんと、大戦の英雄エドソンとの戦い。
本当に、一体、どうなるんだろう。
『これは、エドソンさんの勝ちで間違いないですね!』
なんか、鑑定スキルが言い切ってしまう。
「なんで、断言できちゃうんだよ!アン姉ちゃんだって、ヤバいくらい強くなってるだろ!」
俺は、納得いかなくて反論する。
だって、アン姉ちゃんって、存在自体が人間凶器だし。
『ご主人様。エドソンさんって、本当に凄いんですから。コナン君との稽古見ててもわかりますよね?』
「確かに、あの気が狂った速さのコナンに、普通に着いてってるもんな。
だけど、そのコナンをも、アン姉ちゃんは、一蹴したんだぜ?」
『それでもです! 大戦の英雄と言われてるのは、伊達ではないのです!
実際、サラス帝国との大戦でも、完全負け戦だったのに、エドソンさん1人で戦況をひっくり返したと言われてますから!』
「それほどなのか? でも、死に戻り前、1万の兵士に、15人で突撃して、死んじゃってるじゃねーかよ!」
『その時も、殆どの兵士を、エドソンさん1人で、やっつけたんですけど……
調子に乗ったジミーが敵に捕まって、エドソンさんは、敵の言いなりになって、無抵抗で殺されてしまったんです……』
鑑定スキルは、もしかして泣いてるのか、言葉に詰まりながら話す。
というか、今更ながらの新情報。多分、敢えて、鑑定スキルは伏せてたのかもしれない。
ジミーに囚われ過ぎると、カレンとトップバリュー男爵へのザマーに支障をきたすかもしれなかったから。
それを俺が知ってたら、グラスホッパー商会など作らずに、最初にジミーを殴りに行ってたかもしれないから。
そして、ジミーを殴って満足してしまう可能性もあったのだ。
鑑定スキルは、俺が見間違わないように、得意の取捨選択をしてくれていたのだ。
「糞っーー! 本当に、ジミーの奴、何やってんだ!
もし、ジミーが捕まらないで、エドソンが生き残ってたら、今とは違うけど、グラスホッパー家は平和に過ごせてたかもしれないのに……」
『ですね。取り敢えずは、誰も死んでなかったかもしれません。
ですが、ナナさんだけは、その時点で、トップバリュー男爵の性〇隷にされてたので、結局は、死に戻りしなくてはならなかったと思います……』
鑑定スキルは、冷静に指摘する。
「でもよー!」
俺は、ムシャクシャする心を抑え切れない。
『アッ! ご主人様、試合が始まりましたよ!
過去を振り返っても、どうしようも無いですから!
もう、死に戻りスキルは使っちゃった訳ですし、これからの未来を楽しく行きましょうよ!』
鑑定スキルは、明るく振る舞う。
「……」
しかし、簡単に割り切れるほど、俺は大人じゃない。
そんな感じで、珍しくシリアス展開になっていたら、
バキッ!
「「ウオォォォォォォォォーー!!」」
エドソンとアン姉ちゃんの試合を観戦してた、観客の歓声で、俺は我に返る。
『ご主人様! 見ました! エドソンさん、一撃で、アンさんを倒しちゃいましたよ!
本当にトンデモないです!
エドソンさんが勝つとは思ってましたが、僕、エドソンさんの実力を見誤ってました!』
鑑定スキルが、興奮気味に話し掛けてくる。
そう、鑑定スキルは、新たな情報を得ちゃうと、物凄く興奮しちゃう僕っ娘なのであった。
「えっ?! エドソン、勝っちゃったのか?」
なんか、珍しくシリアス展開に突入して、自分の世界に入ってた為、俺はエドソンの勝利の瞬間を見逃してしまった。
『も~仕方が無いですね』
鑑定スキルが、俺の目の前に、エドソンが、アン姉ちゃんをKOする場面を映し出してくれる。
「何、コレ?」
『ですよね! アンさんの上段からの剣撃を、右手で持った木刀で跳ね上げ、そのまま返す刀で、木刀を両手で握り、アンさんの脇腹に重い一撃を加えてます!』
「アン姉ちゃんを、有無を言わさず一蹴するって、一体、エドソンはどうなってんだよ!」
『だから、エドソンさんは、別格なんですよ!
伊達に、大戦の英雄だと言われてないんです!
サラス帝国も、エドソンさんの実力を恐れて、秘密裏に、トップバリュー男爵をカララム王国に送り込んで暗殺しようとしてたくらいなんですから!
ご主人様が死に戻ってからも、何度も、トップバリュー男爵の刺客が来てたでしょ!』
「アレって、グラスホッパー商会を潰す為じゃ無かったのかよ?」
『アスカは、そうかもしれないですけど、トップバリュー男爵に限っては違いますね!
厄介な、グラスホッパーの血筋を根絶やしにする為、動いてたと思います!』
「エドソンだけじゃなく、その血筋も含めてかよ……」
『ですね! 実際、セントさんも、トロワさんも、アンさんも、コナン君も、シスちゃんも、とんでもなく強く成長してますもんね!』
鑑定スキルは、わざとなのか、敢えて、ジミーの名前だけは言わなかった。
まあ確かに、ジミーは、グラスホッパーの血筋としては、弱っち過ぎだしね。
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