第111話 カララムダンジョン攻略
70階層で、でっかいゴキブリを倒した後は、サクサク攻略が進む。
というか、頂上の88階層まで、何故か一本道で、尚且つ、全く魔物も出なかった。
多分、カララムダンジョンが、これ以上、聖剣ムラサメでダンジョンを破壊されるのを恐れたのであろう。
だって、最後のラスボスまで居なかったし。
どんだけ、俺というか、聖剣ムラサメを恐れているのだろう。
ヤッパリ、70階層を風通しを良くしたのが問題だったかもしれない。ダンジョンの外壁の70パーセントを破壊して、普通に空が見えてたしね。
とか、考えてると、
『ご主人様、なんか宝の山がありますよ!』
鑑定スキルが、話し掛けてきた。
「これって、とっとと、お宝持って帰ってくれという事か?」
『じゃないですかね?』
「だけどな……こんなガラクタいくら貰っても嬉しくないんだけど……」
そうなのだ。伝説の大工スキルを持つヨナンにとって、自分が作る物以外は、全てガラクタ。
何でも、自分で作った方が、良い物できちゃうし。
実際に、聖剣ムラサメを越える武器なんか、この世は疎か、全宇宙を見渡しても存在しないと思うし。
『ですね。鑑定してみると、どれも国宝級なんですけど、ご主人様が製作したものに比べたら、ゴミクズですね!
きっと、ご主人様が逆立ちした状態で、逆だった髪の毛で作った場合と、同じぐらいのお宝だと思います!』
鑑定スキルが、カララムダンジョンのお宝のレベルを鑑定する。
「流石に、髪の毛じゃ、大工道具を握れる訳ないだろうが!」
ヨナンは、猛烈にツッコミを入れる。
「じゃあ、試して下さいよ! きっと出来ますんで! 僕の鑑定結果が正しい事が、すぐに証明できますから!」
嘘が言えない鑑定スキルが、いつになくプンプンである。だけども、流石に、そんな訳ないだろ?髪の毛だよ。髪の毛。
「じゃあ! やってやんよ! 髪の毛じゃ絶対に握れないと決まってんだよ! ほらな!」
ヨナンは、手に持った金槌を、自分の髪の毛まで持って行くと、なんと!
「うっそ~ん! 金槌が、髪の毛でしっかり握れてるじゃないか~い!」
ヨナンは、目を玉飛び出すほど、驚いてみせる。
『最早、お約束のノリツッコミでしたね! 流石、ご主人様!』
ヨナンの事が大好きな鑑定スキルが、褒め殺しにしてくれる。
「まあ、俺も実際、お前が嘘付けないこと知ってるからな! 本当は、髪の毛で金槌持てるだろうと思ってたんだよね!」
とか、鑑定スキルとわちゃわちゃやってると、
「ならば、このお宝は、全て、ワシが貰ってもいいという事じゃな!」
ずっと、カララムダンジョンのお宝を物色してたアレクサンダー君が、ヨナンに聞いてくる。
「どうぞ! どうぞ!」
ヨナンにとっては、全くのガラクタなので、アレクサンダー君が貰ってくれるなら有難い。素材としての価値も、大森林産の素材の方が、遥かに価値があるしね。
「良き良き。全て国宝級のお宝じゃ! これを持ち帰れば、ワシがカララムダンジョンを攻略したと証明出来るじゃろう!」
アレクサンダー君は、ホクホク顔。
だがしかし、アレクサンダー君は、手ぶらでカララムダンジョンに来てたので、自分の魔法の鞄など持ってきていなかった。
なので、ヨナンは気を利かせて、その場で無限に入る魔法の鞄を作ってやる。
昔は、一々、買ってたのだが、ある日、自分自身で魔法の鞄を作れる事に気付いちゃったのだ。
でもって、最近では、自分で魔法の鞄を作ったりするのだが、ヨナンが作る魔法の鞄は、一味違ったりする。
普通は、物が大量に入って、鞄の中の時間が止まるくらいだが、ヨナンの魔法の鞄は、時を進めたり、時を後退させたり出来るのだ。
だから、あら不思議。
刃こぼれした剣なんかを魔法の鞄に入れておくと、新品同様に産まれ変わったり、下手すると素材に戻ってたりする。
まあ、その調整は、魔法の鞄の持ち主のさじ加減。
魔法の鞄が、勝手に、持ち主の考えを読み取り、適切な環境で持ち物を管理してくれるのである。
そんな魔法の鞄を、ヨナンは、アレクサンダー君にあげたのだ。
まだ、自分の家族にしかあげてない奴をね。
だって、相手は王様だし、変な物あげられないじゃん!
勿論、ジミーにはあげてない。
奴の事は、兄貴と認めてないし、普通に血も繋がってないしね!
てな訳で、結局、アレクサンダー君が、今回のカララムダンジョン攻略でゲットしたお宝で、1番高価な物は、この魔法の鞄だったというオチで収まった。
2番目は、ヨナンが作ってやった剣で、3番目は、ヨナンが作ってやった鎧だったりする。
まあ、カララムダンジョンを攻略しなくても、全て手に入れる事ができるものだが、そこの所は、しょうがない話だろう。
だって、カララムダンジョンを、アレクサンダー君が攻略しようと言わなかったら、実際、アレクサンダー君は、ヨナンが作った、魔法の鞄も、剣も、鎧もゲット出来なかった訳だし。
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