第26話 不審者
ヨナンとコナンとシスは、100キロ入る魔法の鞄を買った後、適当に屋台でご飯を食べる事にする。
「よし! 好きな物を食べていいぞ! 今日は、たくさん働いてくれたから、兄ちゃんが奢ってやる!」
「「わ~い! ヤッター!」」
まだ、ちびっ子のコナンとシスは、シンクロして大喜び。
まあ、2人とも、こんな大きな街に来た事ないので、とてもテンション高めである。
「僕、この串焼き欲しい!」
「私は、揚げパン!」
ヨナンは、2人に串焼きと揚げパンを買ってやり、食べながら馬車まで帰る事にする。
『あの、ご主人様、気付いてます?』
「ん?何だ?」
『ご主人様達、付けられてますよ』
「本当かよ!」
『絶対に振り向かないで下さいよ。右後ろ10メートル先に、男2人組がご主人様の様子を伺ってます』
「どうすればいいんだよ?」
『2人の不審者を鑑定した結果、コナン君とシスちゃんの方が普通に強いですね!』
「何だそれ?大人より、コナンとシスの方が強いって……」
『コナン君と、シスちゃんのステータス見てみますか?』
「え? 見えるのかよ!」
『僕、今、鑑定スキルLv.3ですから、13歳前の子供のスキルも、ユニークスキルが一体何かも分かっちゃうんですよね!』
「何だそれ! チートじゃねーか!」
『チートですよ! だって、僕は鑑定スキルLv.3ですから!』
鑑定スキルは、鼻高々にコナンとシスのステータスをヨナンに見せる。
名前: コナン・グラスホッパー
スキル: 剣術Lv.2、格闘Lv.2
ユニークスキル: みじん切りLv.3
力: 85
HP: 256
MP: 56
名前: シス・グラスホッパー
スキル: 薙刀Lv.2、殴り僧侶Lv.2
ユニークスキル: 水魔法Lv.2
力: 81
HP: 210
MP: 186
「何だこれ! 2人とも、ジミーのステータスより、スゲーじゃねーか!
というか、薙刀とか殴り僧侶とか、そんなスキル聞いた事ないんだけど、ていうか、激レアの魔法スキルだと……しかも、Lv.2って!」
コナンのステータスも化け物級だが、シスのステータスはこの世界でも、レアスキルばかり。しかも、完全に戦闘特化の極振りなんだけど。
「ヨナン兄ちゃん。いつも思ってたけど、一体、誰といつも話してるの?」
感の鋭いコナンがいきなり、ヨナンに質問してくる。
まあ、感と言うより、普通にまあまあ大きな声で喋ってるから、誰でも分かっちゃうんだけど。
「ええと……だな……俺は、自分の鑑定スキルと話してるんだ」
まあ、身内に嘘をついてもしょうがないので、ヨナンは正直に話してみる。
絶対に信じて貰えないと思うけど。
「ええーー!! 鑑定スキルって、喋れるの!スゲー!」
しかし、反応は良好。そして、
『ええ。喋れますよ!』
「「ほ……本当だーー!!」」
突然、コナンとシスが驚く。
「ええ! 何?! どうした!」
突然、コナンとシスが鑑定スキルに呼応するように反応したので、ヨナンがビックリする。
『あの、僕、鑑定スキルLv.3になって、ご主人様の近くに居る人と、普通に念話で話せるようになってたんですよね!』
鑑定スキルの突然の告白。
「本当かよ! というか、早く教えろよ!」
『言う機会が無かったので……』
鑑定スキルは、申し訳なさそうに答える。
「で、鑑定さん、さっき、スキルが何とかって、ヨナンお兄ちゃんが話してたんだけど?」
コナンが早速、鑑定スキルに質問する。
『はい。コナン君は、剣術スキルLv.2、格闘スキルLv.2、みじん切りスキルLv.3を持っていて、シスちゃんは、薙刀スキルLv.2、殴り僧侶スキルLv.2、水魔法スキルLv.2を持ってます!』
「スゲー!僕、ジミー兄ちゃんと同じ剣術スキルLv.2持ってるの!」
「薙刀と殴り僧侶?」
コナンは興奮してるが、シスは薙刀と殴り僧侶の意味がよく分かってないようだ。
「兎に角、2人とも強いって事だ!
でもって、今、現在、2人組の男が俺達をつけてきている」
ヨナンは、興奮気味のコナンと、困惑気味のシスに、今一番重要な事を伝える。
「うん。知ってるよ! さっきからずっとつけて来てるよね!」
「私も知ってた!」
「え? そうなの?」
『知らなかったのは、ご主人様だけみたいですね!』
「どうする?ヨナン兄ちゃん、僕が倒しちゃっていい?」
なんか、コナンはヤル気満々なようだ。
「いや、ここはお前らの兄貴である俺がやる!」
「いやいやいや、ヨナン兄ちゃん、戦闘訓練何もやってないじゃん!」
「私も、止めた方がいいと思う!」
コナンとシスは、全力でヨナンを止めに入る。
「いや!俺なら出来る筈だ!」
「いや、無理だって、ヨナン兄ちゃん!」
「鑑定スキル、俺が持てば何でも大工道具になるんだったよな!」
『なりますね。だけど、戦闘出来るかは未知数です』
「お前の鑑定を持ってしても、分かんねーのかよ!」
『だから、何度も言いますけど、僕の知識はデータベースに乗ってる事だけですから!』
「使えんな!」
『使えんって言うなら、試してみたらいいじゃないですか!その懐に隠し持ってる包丁で!それ、完全に大工道具じゃなくて、料理道具ですけどね!』
「アホか! これは護身用として持ってきてたんだよ!可愛らしいコナンとシスが、もしかして悪い奴に襲われるかもしれんだろ!」
「多分、僕、その辺の奴には負けないと思うけど……」
「私も、多分、大丈夫。お父さん以上の強い人、そうそう居ないと思うし」
なんかよくわからんが、コナンとシスは、相当エドソンに、戦闘の英才教育を受けてるらしい。
『あの……コナン君、シスちゃん。ご主人様、そうと決めると絶対譲らない所があるんで、危なくなったら助けてあげて下さいね』
「お前、俺が負ける前提で話すなよ!」
『僕は、もしもの事を思って言ってるだけです! 今度死んだら、また、もう一度やり直す事なんか出来ないんですからね!』
「わかってんよ!」
ヨナンは、懐から包丁を取り出し振り向く。
「オイ! お前ら、つけてきてる事は分かってんだよ!」
ヨナンは、包丁を両手で持ち、まるでヤクザの鉄砲玉のようにブルブル震えながら、2人の不審者に言い放つ。
「まさか、気付かれてるとは……」
「流石は、グラスホッパーの血筋か……」
なんか、よく分からんが、2人の不審者は、ヨナンに感心してる。
ヨナンは、全くグラスホッパーの血筋じゃないんだけど……。
「オイ! どうしたよ! 子供だからって舐めてんのか!」
ヨナンは、プルプル震えながらも啖呵切る。
「いやいや、やらないよ。というか、後ろの2人を抑えてくれないか?」
「子供なのに、そんな大人でも出せないような鋭い殺気を放たれたら、こちらも手も足も出せないよ!」
どうやら、2人の不審者は攻撃する気はないようだ。というか、後ろの2人?
ヨナンは、言われて後ろを振り替えると、木刀を持ったコナンとシスが臨戦態勢で構えていたのであった。
どうやら、相手は、ヨナンじゃなくて、まだ10歳のコナンと、9歳のシスを警戒してたようだった。
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