第39話 カタカタ
理科室の骸骨が動く。小学校でそんな噂が広まり、みんなで調べることとなった。
聡見と良信は、クラスメイトにどうしてもと頼まれて一緒に行かざるを得なかった。
「誰もいない校舎ってワクワクするね」
「先生がいるだろ」
「とみちゃんは分かってないなあ。そういうのじょーちょがないって言うんだよ」
騒いでいるクラスメイトの後ろを歩き、2人はコソコソと話をする。聡見はそこまで乗り気では無かったのだが、良信はいつの間にか楽しんでいた。聡見は帰りたいとも言えずに、気が済むまで付き合おうと諦める。
「それで、うちの学校にガイコツなんかいたっけ?」
実験などで理科室に行くことは何度かあったが、聡見は骸骨を見た覚えがなかった。
「準備室にあるんだよ。知らなかった?」
「準備室なんて入らないし。っていうか、誰が動くなんて言い出したんだよ」
「知らなーい。ただのうわさじゃないのかな」
「うわさって……それで確かめに行くなんて、みんなひまなのか?」
「ひまって言うより、探検したいお年頃なんでしょ」
同い年なのを棚に上げて、知ったような口を聞いている2人に、他の子は話しかけられる雰囲気ではなかった。遠巻きにしている理由は、2人の世界に入り込めないからだ。こういう時に誘うのだから、どちらかというと尊敬している。
「……本物?」
良信がいるから平気だと分かっていても、聡見はとりあえず確認しておきたかった。
すでに理科準備室に辿り着いていて、先に行っていたメンバーは中に入っている。
「いやあ、ガイコツは本物じゃないよ。本物だったら大変だって。人間の骨ってことになっちゃうよ」
「それもそうだな。ああ、カタカタ音が聞こえるのも嘘ってことか。早めに諦めてくれるといいけど……どうして、そんなに楽しそうなんだ?」
文句を言っていた聡見だったが、良信がニヨニヨと笑っているのに気がつく。
「ガイコツは動かないけど、人体模型は動くよ。それがカタカタ音を立てているんだよね」
「え……それって」
聡見が意味を理解したちょうどその時、準備室の中から複数の悲鳴が聞こえてきた――カタカタと何かが動く音も。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます