第31話 見分け
成長するにつれて区別がつくようにはなったが、幼い頃の聡見は霊か人かの判断が上手く出来なかった。
もちろん、見た目ですぐに分かるのもいる。ありえない怪我や出血をしていたり、人の原形を留めていなかったり、そういうのならいいが問題は生前と姿形が変わらない時である。
それでも関わらなければ回避できるが、ふとした拍子に間違えてしまうことがあった。例えば細い道ですれ違う際、ぶつからないように避けたら人間ではなかったとか。まだ相手が気にしなかったから平気だったが、見えているのがバレたらろくなことにならない。無視して、霊ではなかった時も面倒である。
「良信は、どうやって見分けているんだ?」
これまでは相談できる人がいなかったが、聡見は最近自分よりも霊について詳しい良信と仲良くなった。
見分け方を教えてもらえば、少しは生活も楽になると期待しながら聞いた。
「別に見分けてないよ」
「え」
「なんとなくやってるかな」
なんとなく――聡見は良信との出会いを思い出した。人間かもしれない可能性を残しながら、それでも構わず豪速球を投げた。
全く参考にならない。聡見は良信に教えてもらうのを諦めて、自分で見分ける目を養っていくことにした。
霊と間違えた時があるのかは、話の内容が物騒になりそうなので、いつか受け止められる年齢になったら聞こうと決めた。後悔しそうなので逃げたとも言える。
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