第17話 ダズ視点〜ヒモ男の哀れな末路(ざまぁ回)〜

 あれから俺はすべてを失った。

 期日までに大金の用意ができず、資産はすべて差し押さえられて屋敷もまた取り上げられた。

 そのせいで男爵の地位も失ってしまい、おかげでレイドリー家は我が代で取り潰しとなった。

 当然危惧していた通り平民落ちとなり、借金の片に俺は元貴族の肩書きを活かした高額な仕事を無理やりさせられている。


 ――そう、好事家マニア向けのというやつだ。


「喜べダズ、お前に指名が入ったぞ。例ののお貴族様だ」


「……分かりました、オーナー」


 トボトボと肩を落とし、俺はその貴族様が待つ個室へと足を運ぶ。


 あのデブ親父、俺を気に入って何度も指名してくれるのはありがたいが、プレイ内容がいちいちねちっこいんだよなぁ……。


「やあダズくん、いつ見ても可愛いねぇ。今日も一つよろしく頼むよ」


 個室の中で全裸になっていたその男はでっぷりとした腹を見せつけてくる。

 その下で既に滾っているアレを見て、俺の尻が条件反射できゅっと引き締まった。


「メレツ子爵、本日はご指名いただきありがとうございます」


「おい、違うだろダズくん? ここではわたしのことはご主人様と呼ぶように毎回言ってるよね」


「……申し訳ございませんご主人様」


「よろしい、それじゃあいつものように犬の真似をしながら――」


「はいご主人様っ、今日もダズのことをいっぱい可愛がってほしいワン!」


 憐れな犬畜生となりはてた俺は尻尾ではなく尻を振る。

 ああ、この悪趣味な生き地獄はいつまで続くのだろうか……。


                   (了)



__________


 読者の皆さま、最後までお付きあいくださってありがとうございます。

 

 少しでも本作を面白いと思っていただけたら、☆レビューやフォロー、応援に感想コメントなどをしてもらえると嬉しいです。


 またこちらの物語はこれで終了となりますが、最後におまけとして本作のダイジェスト版&本編と異なる設定やエンディングの読み切り短編を次話で公開いたしますので、そちらにもよろしければお付きあいくださると幸いです。


https://kakuyomu.jp/works/16817330655991765629/episodes/16817330655991780523

 ↑新作告知

『愚かな殿下へ。そちらの女性はどう考えても◯◯からの◯◯ですが、私は悪女のようなので黙っておきますね』という恋愛短編を公開しております。


 この作品も例によって婚約破棄からストーリーが始まりますが簡単な推理ミステリー要素もありますので、別の女性が好きでも〜とはまた違ったテイストで物語をお楽しみいただけるかと思います。


https://kakuyomu.jp/works/16817330658462743645/episodes/16817330658462861377

 ↑新作告知

『婚約者の浮気相手から別れるように迫られましたが、愛想が尽きたのでこちらから婚約破棄させていただきます』という恋愛短編を公開中です。


 溺れる者は婚約者を掴むをテーマにしており、最後までお読みいただくとその意味が判明しますので良ければ是非!


https://kakuyomu.jp/works/16817330655943269351/episodes/16817330655943303739

 ↑新作告知

『刹那に豊胸バーストアップ』という恋愛長編を公開しております。


 タイトルや設定はアレですが、中身は真面目で主人公がヒロインの影響で過去のトラウマを乗り越えていく純愛ストーリーとなっておりますので男性はもちろん女性も是非ご一読いただければと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る