第8話
「でも、行かないと、もっとひどくなるかも……ミカルちゃん、病院の絵、かける?」
「えっ? うん……」
いきなり言われたけれど、ミカルは持ってくるのを忘れなかったスケッチブックを出した。
「できるだけわかりやすくね」
ミカルはすぐに病院の絵をかき上げた。モモコはすぐにその絵をもって、まわりにいた動物たちに「病院はどこにありますか?」と聞いて回った。
三びきめに聞いたイタチが教えてくれて、病院までの地図まで書いてくれた。
「連れていきましょ」
モモコが言って、エイタとユウヤとナオトとヒュウガが協力してオオカミを運んだ。オオカミはやっぱりいやがっているようだったけれど、このさいそんなことは言っていられない。
病院にはすぐ着いた。どうも先生はサルらしくて、オオカミはそれがいやだったようだった。それを知ったヒュウガが
「犬猿の仲ってホントなんだ」
と、感心したようにつぶやいた。
「なんだケンエンのナカって」
エイタが聞くと、ヒュウガが「とっても仲が悪いってこと」と教えてくれた。オオカミはイヌ科だからね、と、ちょっと笑う。
先生にみてもらったところ、エイタたちにはよくわからなかったけれど、とにかくオオカミはすぐに入院が決まったようだった。モモコの考えは正しかったわけだ。
「よかったね」
ベッドに入っているオオカミに、モモコはやさしくほほえんだ。
モモコの気持ちはオオカミにも伝わったようで、オオカミはモモコに手をさし出した。
「握手して、ってことじゃないかなあ」
ヒュウガがニコニコしながら言った。
モモコはとてもやわらかく笑って、オオカミの手を両手でにぎり返した。
「どうする? この世界、探検とかしてみる?」
病院から出てすぐに、そう言ったのはマナだった。
みんなそうしたいのはやまやまで、特にエイタやユウヤはちょっとワクワクしていたけれど、モモコが小さく「ううん」と言った。
「モモコ?」
「さっきの……オオカミさんにね、これ、もらったの」
そう言うモモコの手の中には、小さな水晶玉があった。
ちょうど、アリカの持っている水晶玉よりひとまわり小さいくらいの。
「なんだそれ」
「それって、もしかして、宝?」
「ええっ!?」
「宝って、こんなちっちぇーの?」
囲まれて、もみくちゃになりそうなモモコがあわあわと手を挙げた。
「待って、待って。だから船にもどって、ロボットに聞いてみなきゃかなって」
「でも、ロボットはバッテリー切れみたいだし……」
「なんかヒントがないかな? それに、予備のバッテリーとか、ありそうなもんじゃないか?」
ナオトが言った。確かに、宝を探せというのなら、ヒントが少なすぎるのはみんなあんまりだと思ったし、これはいちど船にもどってみたほうがいいかもしれない。
うん、とうなずいて、八人は招待状を空にかざす。
「船にもどる!」
光の柱がかがやいて、そこから八人はすがたを消した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます